88.ユアについて
野営の準備と言ってもたいしたことは、しない。毛布と風を通しにくい素材を出して夕食の準備をする。まぁ、パーティで行動していているとテントを組み立てることもあるみたいだけど私は、個人で行動しているから包まるものがあれば野営は、何とかなる。今回は、ユアがいるからそれだけじゃあ心許ない気もするけど…。
そんなことを思いながらその辺に落ちていた落ち葉や枝など拾って火を起し、そして昼と同じように肉を焼いていく。
「え?え?」
と後ろからユアの声がしたから振り返るとユアが体を起こして驚いていた。何か驚くようなことがあったかな?そんなことを思いながらユアに声を掛ける。
「どうしたの?」
「その、地面にしては、冷たくないし硬くないなぁ。と思っていたけどウルフの毛皮の上で寝ていたと思っていなくて驚いたの。それに、このウルフの毛皮の量は…」
そうユアに言われて気がついたけどユアのことをどうにかしようとしか考えていなかったらからどんどん物を出して使っていた。ここまで使っていたらばれてもしょうがないかな?まぁ、ユアだから内緒にして?とお願いすれば多分大丈夫だと思うしね?
「…もしかしてレーナちゃんってアイテム袋とか持っているの?」
「まぁね?…一応、内緒にしておいてよ?」
「う、うん」
「まぁ、そんなことよりユアに何があったのか教えてほしいの」
と言ってユアを見つめると少し緊張した様子を見せながら何があったのか話し始めた。
「…この前レーナちゃんと別れた後孤児院から出ることなく過ごしていたけど今日になってオノマ達が孤児院に来たの」
え?ユアが死んだみたいなことを騒いでいたのにどうして孤児院なんかに来たの?来る用事なんてないと思うけど?とそんなことを思いながらユアに聞く。
「どうして来たの?」
「彼等は、私が死んだと思って私の持っているものを引き取りに来たとか言っていたの」
「そういう形で孤児院に来たのか……流石にそれは、予想外だわ」
「うん。でも、私がいるとわかって彼等は、すごく動揺していたの。だけど小声で「死んでいればあいつの物が手に入ったのに」って言っていたの」
「それって…」
「うん…私の私物をとりに来たみたいなの」
あいつら何を考えているの?と思ったけど自分たちのことですら上手く考えられていないというのか目先のことにしか目がいかないと言った感じなのかな?より多くお金を得るためにユアを使っている面があるからそんなことをやってきても仕方ないかもしれない。とそんなことを思った。