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86.目を覚ます



「クシュン」


 そんな可愛いクシャミの音で私は、目を覚ました。


「ん?」


 何の音だろう?そう思って顔を上げると目の前にユアがいた。ユアは、というと私が起きたことに少し安心したような顔をしていた。あれ?何でユアがこんな所に?そう思いながら体を起こすとユアが声を掛けて来た。


「大丈夫?」

「ん?うん」


 そう返事を返しながらさっきまで何をしていたのかな?と思ったら何をしていたのかを思い出した。


「!?ユアは、大丈夫なの?」

「えっと…多分?…クシュン」


 と大丈夫という事を伝えて来たけどその後でクシャミをした。


「あ!」


 ユアの状態を見て思い出したけどユアの治療をしているときに服を切っていたことを忘れていた。今は、日もだいぶん落ちて辺りが暗くなってきているから寒かったみたいでこうしてくしゃみをしている。私は、着ていたローブをユアに掛けた。


「ごめんね?治療の為にこんなことしちゃったけど」


 と言いながらユアの服をチラッと見ながら謝るとユアが首を横に振った。


「そ、そんなことないよ。私の治療をしてくれたという事は、分かったから。それにレーナちゃんが他にも何かしてくれたみたいだし…」


 そう言ってもらえると嬉しいけど今の言い方だと私が目覚める前から起きていたということなのかな?


「…もしかして、結構前に目覚めていた?」

「…」


 するとユアは、少しの沈黙の後に頷いた。


「どれくらい前から?」

「…たぶん3時間ぐらい前かな?」

「え、えぇ…」


 それって…私が気を失ってから1時間ほどで起きたって事?思っていたよりも早く目を覚ましていたのか…。そもそもどうして私が気を失ったの?治療のあまり魔物に気付かなかったとか?…でもそれだと私達が生きていないかもしれないからそんなことは、ないか…。となると魔力の使い過ぎかな?とそんなことを考えていた。


「その、レーナちゃんは、魔法を使っていたの?」

「え?」


 まさか、ユアからそんなことを言われるとは、思っていなくて驚いているとユアが私の知らないことを話し始めた。


「私が目を覚ましたとき、レーナちゃんが青い顔して意識が無かったから魔力を使い過ぎて倒れちゃったのかな?と思って」

「それってどういうこと?」


 魔力を使い過ぎたら倒れるって言う事でいいのかな?それだと魔力を使い過ぎたら動くこともできないって事だから大変じゃない!とそんなことを思ってユアに聞いてみると話してくれた。


「えっと分かる範囲で言うと魔力が底を突くと顔色が蒼くなるけどその容量を超えて一度に使うと意識がなくなるって聞いたから」

「そうなの?」


 何それ、初めて聞いたけど…。それにしてもユアは、どこでそんな話を聞いたのかな?



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