82.勧誘
それにしても、錬金術師と名乗っているからそれなりの凄い人ということは、分かったけどどうして私なんかに声を掛けたのかな?と思い聞いてみることにした。
「一応、エレオノーラさんは、凄い人っていうことは、分かったけどどうして私なんかに声を掛けたの?」
「それはね、あなたのポーション作りが上手と思ったからよ」
「?どうして?」
何を思ってポーション作りが上手いと思ったのかな?それに、ポーションを作りもまだ2回しかしていないけど上手いの?と聞かれるとよくわからない。まぁ、ギルドで売られているポーションがCランクまでしかないけど一応、Bランクまで作ることができるからそれなりだと思うけど…。
「あなたからする薬草の臭いからある程度の事は、分かるわ。少なくてもあなたは、Cランクほどのポーションを作れると思うから」
「薬草の臭いで?」
「そう。ポーション作りをしていたときに何か心当たりとかない?」
心当たりかぁ…と思いながらポーション作りをしているときどのようなことをしていたのか考えているとポーションの濃度を上げようとしていたときのことを思い出した。作っているときに薬草の臭いがきつくなっていたかもと思った。
「…臭いのきつさですか?」
「そうそう」
「臭いのきつさでポーションのランクまで分かるものなの?」
「それは、よく作っているからある程度なら分かるわよ。まぁ、自分で作ればランクぐらいも調整できるわ」
「そうなの…」
よく作っていたら分かるものなのかな?しかもランクがコントロールできるなんてとそんなことを思ったけどたくさんのポーションを作っているわけだからそれくらいできないといけないのかもしれないと思った。
「それで何だけど…私の工房に働きに来ない?」
「え?」
何か話があって声を掛けて来たとは、思っていたけどまさかそんなことを言われるとは、思っていなくて驚いた。そもそも初めて会った人にそんな勧誘をするの?と思った。
「あなたまだ若いでしょ?もしその気があるならいい錬金術師になれそうだと思ったんだけどどう?」
(うう~ん。どんなことをやるのかわからないけど錬金術というのも少し気になる…でも、いきなり何か作ることは、ないと思うから雑用ばっかりやらされるのかな?それに冒険者として活動していきたいしなぁ…)
「錬金術というのも気になりますが今の生活があるので…難しいです」
「生活面なら面倒見るわよ?」
そう言われたら少しだけ気になるけどユアの事は、少なくても片付けておきたい…。それに刀の事もあるし。
「他にもやることがあるので…」
「そうなの」
とエレオノーラさんは、残念そうにしていた。残念そうにするほど私に価値があるのかは、分からないけどまぁ、悪い人では、ないのかな?多分とそんなことを思った。
「まぁ、無理に連れて行ってもあなたが困るかもしれないから今回は、諦めることにするわ。でも、あなたも錬金術が気になっていたらいつか私の工房に来たら少し教えてあげるわ」
行くことがあるのならば寄ってみるのは、いいかもしれないと思いエレオノーラさんの拠点を聞いた。
「わかった。因みにエレオノーラさんは、どこで工房をやっているの?」
「私は、王都アシネスで工房を構えているわ。私の名前を誰かに尋ねればどこか教えてもらえると思うわ。これでも、有名なのよ?」
「そうなの?」
「ええ、…それであなたの名前を聞かせてよ?」
そういえばまだエレオノーラさんに名前を教えていないことに気が付いた。
「わたしは、レーナよ」
「レーナね。覚えたわ。もし機会があればよろしくねぇ?」
「はい」
それから少し言葉を交わしてエレオノーラさんと別れて自分の部屋に戻った。