81.エレオノーラ
食堂に入って空いている席に座るとラナさんが夕食を持って来てくれたのでお礼を言って食べ始める。ラナさんの料理美味しいなぁ。と思いながら食べていると女の人が私に近づいて声を掛けて来た。
「嬢ちゃんちょっといいかな?」
そう声をかけてきた人を見ると20代中頃から後半位の女の人がいた。髪は、それなりに長く白に近い薄い黄緑色をしている。どうしてこんな人が声をかけてきたのかな?そんなことを思いながら要件は、何かな?と思いながら食べながら頷く。
「私は、エレオノーラというわ。…それであなたに聞きたいけどポーションとか作っているかな?」
「どうして?」
(さっきまでポーションを作っていたから服にでも臭いが付いていたのかな?)
とそんなことを思いながらなぜ急に声を掛けて来たのかが少し気になった。
「あなたから薬草の臭いがしたからもしかして作っているのかな?と思って…それでどうなの?」
そう聞かれてもこの人のこと良く知らないのに作っていますとか言っても大丈夫なのかな?ただの怪しい人と言うのもありそうだけど…そんなことを思いながらエレオノーラさんをじぃ~と見ていた。まぁ、ご飯も食べ終わったことだし去っちゃってもいいかな?
「…もしかして怪しまれている?」
エレオノーラさんは、首を傾げながらそんなことを言った。まぁ、合っているけど…。とそんなことを思っているとラナさんがエレオノーラさんの目の前にご飯を置いた。ラナさんがやって来たことに今気が付いてラナさんの方を見ると私とエレオノーラさんを見ながらこんなことを聞いていた。
「エレオノーラさん彼女と知り合いなの?」
「そうじゃないけど(違います)」
と私とほぼ同時にそう言った。そもそも初対面だし。
「そうなの?それならどうして彼女に話しかけているの?彼女が少し困っているように見えるけど?」
とラナさんは、私を見ながらエレオノーラさんに訊ねた。
「それは…そうかもしれないけど彼女から薬草の臭いがしたから少し気になって…」
「そうなの?でも、彼女は、エレオノーラさんのこととか知らないでしょ?それにエレオノーラさんの事だから名前くらいの自己紹介しかしていないでしょ?」
?今の会話を聞いているとラナさんとエレオノーラさんは、知り合いってことかな?ただどういう関係なのかわからないけど…。
「うっ」
とエレオノーラさんは、少し気まずそうにしていた。
「レーナちゃん。エレオノーラさんは、怪しい人では、ないわよ」
「そうなの?」
「ええ、私のおばあちゃん家の近くに住んでいてそれなりには、知っているけど凄腕の錬金術師らしいよ?」
「錬金術師?」
「もしかして初めて聞いたのかな?」
言葉だけなら前世でも聞いたことあるけどこの世界では、初めて耳にしたかも…。屋敷にいたときに読んだ本には、そう言った内容とかなかったし。とそんなことを思いながら頷いた。
「それな「私が説明しよう」」
ラナさんが錬金術師について説明をしようとしたらエレオノーラさんがそれを遮り説明すると言い出すとラナさんが苦笑いしながら「仕事に戻るわ」といってその場を後にした。それからエレオノーラさんは、錬金術師とは、どういったものなのか説明をし始めた。
「私は、錬金術師と言われているけど錬金術という学問を修めて活動している人の事を錬金術師と言うわ。その錬金術とは、どういった学問なのかというとまぁ、簡単に言えばいろいろな素材を使って便利なものや役立つものを作るということよ」
「たとえば?」
「例えば…この宿のお風呂って入ったことある?」
「ありますが?」
「そのときにお湯を出す道具があるわね?あれが錬金術で作られたマジックアイテムというわ」
(なるほど。あれが錬金術で…)
「そう言った仕組みを作ったり、特殊な染め物、ポーションと言ったものなども錬金術で作られたりするわ」
?前ポーションを買った時に高いランクの物を作るなら薬師さんの弟子にならないと教えてもらえないとか言っていたけどその辺のことは、どうなっているのかな?
「ポーションって薬師さんが作っているのでは?」
「それも一応錬金術の一部よ?」
「そうなの?」
「ええ、でも、ランクの低いポーションは、誰でも作れるから別枠みたいな感じになっているけどね?」
なるほど、レシピ自体は、一般公開されていたから作ろうと思えば誰でも作れるかもしれない。
「まぁ、実際には、ランクの低いポーションを作る旨みが少ないからレシピを公開しているのもあるらしいけどね?錬金術師もそれほど多くいないから…」
そう言った事情でレシピとか公開されていたのか…。まぁ、錬金術師が少ないのなら仕方ないのかもしれないけど…。