79.刀を作ってもらう
「…この武器の値段は?」
「…金貨20枚」
「(ふむむ!)」
(…多分金貨6枚ぐらいは、足りない。でも、頑張れば買えなくもないかも?数日頑張れば行けるかもしれない。とりあえず取り置いてもらえるかな?)
そう思って店主に聞いてみる。
「この武器が欲しいけどお金が足りないから少しの間、取り置きとかできませんか?」
「この武器が欲しいのか?」
と少し意外そうに聞いて来た。どうして意外そうにしたのかは、分からないけど取り置きに関しては、否定しなかったからもしかしたら何とかなるかも?と淡い期待を抱いた。
「はい。先程見ていた武器とは、違う金属ですがかなりいいものですよね?」
「そうだ。それは、ミスリルでできている。だが剣と違って使いにくいが…」
ミスリルと聞いて少し驚いたけどそれならもっと高くなるのでは?とも思った。
「それは、大丈夫だと思うけどミスリルでできている割には、安いような気がしますが?」
「…売れないからだ。この辺じゃ見慣れない武器だからな」
「なるほど」
そんな理由で安く売っているのなら私としてもありがたい。
「一応、取り置きとかお願いできますか?」
「別に構わんが本当にこの武器でいいのか?使いにくいと思うが?」
そう心配そうに聞かれたけどゲームをしていたときに使っていたから多分使えるはず。まぁ、少しは、練習しないといけないかもしれないが…。
「多分大丈夫です。少し練習をしないといけませんが…」
「…ミスリルでは、ない刀を作ろうか?」
「え?作ってもらえるの?」
「あぁ、流石に先にお金を払ってもらうが…」
予想外の申し出に驚いて聞くとお金を払えば作ってくれるらしい。
「いくらしますか?」
「金貨1枚。そのかわり柄の部分は、簡易的なものになるが…」
金貨1枚。どれぐらいの出来になるのかわからないけど置いてある武器は、いいものだから問題ないはず。
「どれくらいで出来ますか?」
「…いつまでに武器が欲しい?」
「それは…明日の朝は早すぎますか?」
「…問題ない」
「では、お願いします」
そう言って金貨1枚渡した。
「…分かった」
そう言って奥に行こうとしたので慌てて店主さんを呼び止める。
「あ!店主さんここに置いてある武器の取り置きもお願いします」
すると後ろを振り返って来た。何となくだけど少し驚いているように見える。
「…あれも、買うつもりなのか?」
「もちろん。その為に稼ぎに行くので」
「…そうか」
と心なしか少し嬉しそうに見える。
「エギル」
「え?」
「名前だ。これから作業をする」
そう言ってエギルさんは、部屋を出て奥へと行こうとしたので私も慌てて名乗った。
「私は、レーナです!」
私がそう言うとエギルさんは、私の方をみて頷き今度こそ奥へと消えていった。ここの店主さんは、エギルさんというのかと思いながら一応、用事が済んだので宿に戻ることにした。