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6.集団ゴブリン戦 (2019/7/20)



 それからしばらく待っているとゴブリン達がやってきた。数は、12。


「反応した数は、これで全部かな?」


 そう思いながらゴブリンの様子を観察していると、何かを探しているようで辺りをキョロキョロしていた。もしかしたら警戒しているのかもしれない。そんなことを思いながらゴブリンの武器を確認すると剣や槍、棍棒などを持っているのもいた。


「今まで倒していたゴブリンと少し違う?」


 今まであったゴブリンは武器を身につけていなかったのだが、今回現れたゴブリンは武器を持っている。それと統率が取れているような気がする。もしかしたら気のせいかもしれないけど……。とりあえずいつもと違うゴブリンに気を付けようと思った。


「まずは、武器を持っているゴブリンから倒そう」


 そう思い武器を持っているゴブリンに向かって風魔法を放った。


「エアカッター」


 そう言うと風の刃が6つ飛んでいき、武器を持っていたゴブリンの首を切り落とした。


「……え?」


 同じ魔法を何回も使って倒すつもりだったのに、1回の魔法で6つも出た。しかも武器を持っていたゴブリンの首に全部当たって首が落ちた。確かに武器を持っているゴブリンの首を落とそうとして放ったけど、一度に全部の首が落ちたことに驚いていた。そして近くにいたゴブリン達は、いきなり仲間の首が落ちて固まっていた。


 少しの間呆然としていたが、まだ他のゴブリンがいることを思い出して同様に魔法を放った。すると残りのゴブリン達も、先ほどと同じように風の刃が首へ当たって首が落ちた。たくさんのゴブリンを相手にするのは大変だと思っていたのに、魔法を2回放っただけで終わって少し拍子抜けだ。


「それにしても魔法を複数出すことは難しいのかと思っていたけど、こんなにも簡単にできるとは……」


 少しだけたくさん出たらいいなと思ったけど、それで先ほどのような結果になった。どうしてできたのかわからないけど、優先的に倒そうとした武器を持っているゴブリン全部に当たったから、意識したある程度の数なら出せるということかな? まぁ、魔力的には限りがあるかもしれないけど……。あまり減ったような感覚もないかも? そんなことを思いながらゴブリンの魔石を回収していると、あることに気付いた。


「? なんか魔石が大きい?」


 武器を持っていたゴブリンの一部と武器を持っていなかったゴブリンとでは、魔石の大きさが一回りぐらい違った。


「もしかして武器を持っていたゴブリンの一部は上位種になるのかな?」


 それからゴブリンが持っていた武器も回収する。


「ん?」


 武器を回収していたときに、なんとなくだけど槍が良さそうな武器に見えた。剣と短剣は1つずつまともそうなのはあったが、他の武器は錆びていたり刃が欠けていたりするものだった。試しに手に持ってみた。背の問題だと思うけど、槍はかなり大きく感じる。大体2メートル位だと思う。少し重く感じるが振れなくもないという感じだ。


「武器とか持ってないから、この良さげな槍をメイン武器にして使おうかな?」


 そう思って試しに振ったり突きを放ったりしてみたが、問題なく振るえている。まぁ、ゲーム時代にも使ったことがある為、ある程度のことならできそうだ。そんな感じで素振りをしたり持ったまま走ったりと、ちゃんと槍を使うことができるのかを試していた。


 初日の体力を使わないようにとか思っていたことは、この時にはすっかり忘れていたりする。まぁ、本人は自覚がないかもしれないけど、小さい時から山を歩き回っていたから体力はかなりあったりする。だからほとんど問題ないのだが、本人はそんなことに気付くはずもないが……。




 槍の扱いを大体把握したところで先に進むことにした。まだ薄暗いがちゃんと先が見えるから問題ないしね。


 それから夜まで途中で休憩を挟みながら歩いていた。道中はゴブリンが何度か出たのだが、何故か複数でグループ行動をとっているようなゴブリンを多く見かけた。最初は、グループで動いているのは稀だろうと思っていたけど、流石にこう何度もゴブリンが出てくるのはおかしい気がする……。


 ゴブリンは魔法で首を切ったり、槍で首やら頭を貫いたりして斃した。気のせいかもしれないが、この前倒したときよりもゴブリンが弱くなった気がする。もしかしたら戦闘に慣れてきたのと、武器を持っているのも影響しているのかもしれないけど……。


 そんな感じで2日が過ぎていった。




 今日も山道を歩いていると開けた場所に出た。見渡すと、下に道らしきものが見えた。


「あれってもしかして……」


 そう思って山を下りていくと、ちゃんとした道みたいなのがそこにあった。土が踏み固められていたから、それなりに人が通っているのかもしれない……。


「それにしても、どっちの方が町に近いのかな?」


 まぁ、そんなことは、考えてわかるものではないか……。

 そんなわけで(なんとなく?)で行く方向を決めて、街道に沿って歩き出した。




 それから日が傾き出して数時間ほど経った頃、外壁と思われるものが見えてきた。


「あと少しで、街に着くかも?」


 そう思いながら逸る気持ちを抑えて、街の外壁と思われる場所を目指して歩いた。



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