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36.今度こそ街に戻ろう (2022/2/7)



 それからゴブリンの解体を終えるとユアが私の所にやって来た。


「レーナちゃん、こっちは、終わったよ。はい」


 そう言ってユアが解体した分の魔石を私に渡してきた。


「ユアが貰ってもいいよ?」


 そう言うとユアは、手と顔を横に振った。


「いいよ。レーナちゃんのお手伝いをしようと思ってやったことだから……」 


 う~ん。何かユアの為になる事は、無いかな? とそんなことを考えていたらあることを思い出した。


「それなら、この前買った防具は、私のお手伝いをしたお礼として貰った。という事にしなさい」


「え?」


「また今回のようなことがあったら危険だからそう言う事にしておくの。いい?」


「う、うん」


 と私の勢いに押された感じだったかもしれないが頷いたからとりあえずそれでいいと思うことにした。


「そう言う事なら受け取るね?」


 そう言ってユアから魔石を受け取った。


「……それじゃあ街に戻ろう?」


「うん。でもその前に少し汚れを落として行った方がいいかも……」


 と言ってユアは私を見た。そう言えばゴブリンの返り血などで私が汚れていたことを思い出した。


「……そう、ね。近くで汚れを落としてからの方がいいかも。近くにある川で洗ってから街に戻ろっか?」


「そうだね」


「え~と。……確かこっち」


 そう言ってユアの手を掴む。


「え?」


「じゃあ行くわよ?」


 と言ってユアの手を引きながら歩いて行く。




 それからしばらくすると川が見えてくる。


「本当に川に着いた」


 ユアはそう言って驚いていたけど、私は川に入って汚れを落とし始めるとユアも同じように汚れを落とし始めた。


「よし終わったかな?」


 そう言うとユアがこっちを見て来た。そしてじっとこちらを見つめてくる。何かついているのかな?


「…どうしたの?」


「!えっと、その、顔にもまだ血とかが…」


「そうなの?」


 と言って水で顔を洗い始めるが水がすごく冷たい。とにかく耐えないと! そう思い我慢しながら水で顔を洗った。


「落ちたかな?」


「う、うん。顔は、落ちたけど髪には、まだついているよ?」


「髪ぐらいなら街に戻ってからでもいいよ」


 流石に見えないからと言って全部水で洗えない。冷たいし……。どこに付いているのか分からないのなら宿に戻ってからゆっくり洗った方がいいからね? とそんなことを思っていたらユアがこんなことを言ってきた。


「それなら、汚れが付いている所は、私が洗うよ」


「そこまでしなくてもいいよ」


「大丈夫。小さい子達の髪とか良く洗っていたから。それに一部の汚れを落とすぐらいすぐ終わるから」


「……分かった」


 私がそう言うとユアは私の髪の汚れを落とし始めてくれた。




 それからユアは、丁寧に落としてくれたのかは、分からなかったけど思っていたよりも時間が掛かった。もしかしたらかなり汚れていたのかもしれないけど……。


「終わったよ」


 とユアがそう言ったのでようやく終わったみたい。


「ありがとう」


「ど、どういたしまして」


 とユアは、少し照れくさそうにしていたけど、時間がそれなりに迫っているからユアには、悪いかもしれないけど早く街に向おうと思った。


「……終わったばっかりで悪いけど、そろそろ街に行きたいからすぐに出発しても大丈夫かな?」


 とユアに聞くと頷いたので街に向かって歩き始めた。



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