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12.レーナの買い物? (2019/12/26)



 それから店を出るとユアがこんなことを言ってきた。


「レーナちゃんは、何を買うの?」


「え?」


 ユアにそんなことを聞かれて思わず聞き返してしまった。ユアの装備を買うことしか考えていなかったから何も考えていない。でも、ユアに一緒に買い物に行こうと言ったから何も買わないということはまずいかな?


「……もしかして私にちゃんと装備を買わせるためにそう言ったの?」


「ま、まぁ、それもあるかな? ユアの装備が気になっていたから……」


 そう言うとユアは少し不満そうな顔をしていた。


「……でも、心配してくれてありがとう」


「ど、どういたしまして?」


 するとユアが急にお礼を言ってきたので思わず返事をすると疑問形になってしまった。でも、ユアは嬉しそうにしているからそれでいいかと思った。


 とりあえず自分も何か必要なものがないかと考えていたとき欲しいものを思いついた。


「ユアは、鍋とかすり鉢とか売っている場所とか知らない?」


「それなら知っているところがあるけど……」


 ユアはそう言ったが何故か少し言い淀んでいた。ユアが教えてくれるのだから大丈夫だと思うけど何か言いにくい理由でもあるのかな?


「ユアの知っている場所でいいから教えて?」


「……分かったの。ついて来て?」


 そう言ってユアが歩き出したので私はその後をついて行った。




「ここだけど」


 そう言ってユアが案内してくれた場所は、それなりに奥まった場所にある少し薄暗い感じのお店だった。店内を覗くと多くの物が置いてある。


「見た目より良さげなお店だね?」


「まぁ、そうかもしれないけどほとんど中古の物だけどね」


 なるほど、中古の物を売っているからユアが知っているということなのかな? 孤児院の生活が厳しいとか言っていたし。それにさっき言い淀んでいたのはもしかしたら中古品ばっかり置いてあるから私に教えてもいいのか悩んでいたのかも?


「そうなの。まぁ、欲しいものをさっさと買って来るね?」


 そう言って私は店内へと入った。


 そうしてお目当ての鍋やすり鉢などを購入した。購入金額は、銀貨1枚と銅貨5枚で、そのお金はユアが出した。まぁ、ユアが出したと言っても今回の報酬の残りがちょうどだったのもあるけど今回のお金を全部使っちゃったけどよかったのかな?


「今回の報酬を全部使いきっちゃったけど大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。また明日頑張ればいいから。それにレーナちゃんのおかげで足の痛みもなくなったし靴下やブーツ、防具も買えたから……。でも、レーナちゃんから貰ってばかりだからお返しができるように頑張るから。だからレーナちゃんが必要としているもので私に協力できそうなことなら何でも言って欲しいの」


「分かった。考えておくね?」


「うん、それじゃあ私は、戻るね?」


「気をつけてね?」


「うん。今日は、ありがとう、それじゃあね?」


 と言ってユアは、去って行った。そんなユアが見えなくなるのを見届けてから私は宿へと戻った。




 ユアと別れて宿に戻ったのは夕方ぐらいだったが夕食まで少し時間があった。


「まだ時間があるから試しに作ってみようかな?」


 そう思い、先程買ったものと薬草、そしてメモを取り出した。


「ええっと…」


 それからは、紙に書いてある手順通りにそれを作ってみた。

 鍋に水を入れて湯を沸かし、薬草を綺麗な水で洗ってから沸騰した鍋に薬草を入れて煮込む。ある程度煮込んでから薬草を取り除くとポーションが完成する。


「メモに書いてあるざっくりとした手順だとこんな感じかな? 時間の指定とかがないからどれくらいやればいいのか分からなし……。まぁ、調べてみようかな? たくさん煮込んだ方か効果とか濃縮しそうだし」


 そう思って完成したポーションを鑑定魔法で確認してみた。


ポーション Eランク

 止血効果


 一応、ポーションにはなっているみたいだ。それなら、と思い少し取り置いてそのポーションをさらに煮詰めみた。


 それから先ほどの半分の量になるまで煮詰めてからもう一度調べてみる。


ポーション Dランク

 止血と再生の促進効果


「やっぱりランクが上がったか」


 ポーションの濃度をあげればある程度ならランクも上がるかな? と思っていたけど、どうやら私が思っていた通りの結果になった。それなら薬草をすり潰すと効果が出やすいかも? そう思ってすり鉢を使って薬草をすり潰していく。そしてできたものを少ない水で煮詰めてできたものを確認してみた。


ポーション Cランク

 止血と再生効果(とにかく苦い)


「何この苦いって……。あ、薬草を取り除いていないからか」


 そう思いある程度大きさのある布を使って今作ったポーションを濾過してみる。そしてもう一度調べてみた。


ポーション C+ランク

 止血と再生効果(UP)


「? 何これ?」


 何故か濾過をしたらポーションのランクが上がった。しかも効果も少し上がっているようだ。


「濾過をしてランクが上がるのかな? でも、ポーションのランクって5段階に分けられているってエレナさんが言っていたような?」


 もしかして大まかなランク分けだったのかな? それとも私が作ったものがおかしいのかな?


「そう言えばCランクのポーションを1つ持っていたから確認してみればいいか」


 そう思って前ギルドで買ったCランクポーションを出してみる。


ポーション C-ランク

 止血と再生効果がある


「? Cランクじゃない? でもエレナさんが言っていた効果はあるみたい。でも、私が作ったのよりは、性能が低い?」


 ギルドのポーションがどうなっているのか分からないけど自分で作ってここまでのものができるならもう買う必要は、無いかもしれない。


「でも、これより効果をあげる方法って何だろう?」


 とそんなことを考えていた。まぁ、ここまでのことは、ただ濃度をあげることだけ考えていたから、他の方法とかでもあげられそうな方法は、ないかな? とそんなことを考えていた。


「……薬草を乾燥させてみようかな?」


 確か乾燥したものは、栄養価が高かった……はず。だから乾燥したものだとより濃縮できるかも? そう思い薬草を乾燥させてみることにした。


「でも、直ぐには、できないからとりあえず乾燥させてみようかな?」


 そう思いいくつかの薬草を窓際に並べて夕食を食べに行った。



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