前へ次へ
35/849

4.ユアの日常? (2019/9/8)



 そこでふと、ユアは休みの日に何をしているのかな? と気になって聞いてみることにした。


「……ユアは休みの日に何しているの?」


「休みの日は、1人で狩りに行ったり、採取系の依頼をこなしたりすることが多いかな?後は、武器をうまく扱えるように練習したり、孤児院の子と遊んだりとか、かな?」


 その話を聞いていると体を休ませる時間がないように思える。そんな生活を送っていて彼女は、本当に大丈夫なのかな?


 レーナ本人は、気付いていないかもしれないがレーナも似たような状態になっている。

狩りを兼ねた武器の扱い練習や魔法の練習、時間が空くと物を作ったり買い物に行ったりといった具合に……。


 本人がそれで休めていると言うのなら問題ないのかもしれない。結局のところは、当人しか分からない。それに、自分では休めているつもりでも自分の体調の変化に気付いていない可能性もある。


「ちゃんと疲れとか取れているの?」


「一応? パーティ行動しないときは、長く寝ているはずだけど……」


 う~ん。どうなのかな? でも、見た目や手を握った感じ的には、危ないような気がするけどなぁ。ユアが無意識に我慢している可能性もあるし……。


 そんなことを思っているとユアは彼等がいる方を気にしながらこんなことを言って来た。


「そろそろ戻った方がいいかも?」


「あ、ごめんね? あまり話していたらユアが困るね」


「そ、そんなことは、ないよ。ほとんど、私の話をレーナに聞いてもらっていただけだから。むしろこんな話をされてもレーナちゃんが困るのに……。ごめんなさい」


 そう言ってユアは頭を下げて謝ってきた。


「それは、ユアが謝ることじゃないよ! 私が気になって聞いてみたことだから気にしないで! むしろそんなことを無理に聞いちゃった私が悪いから」


 私が気になったことを聞いただけなのにそのように気にするとは、考えていなくて悪いことをしてしまった。と思った。話しにくいことを聞いたのは私なのに……。


 それにユアがいじめられているのを見て何かしないと! と思った部分もあるけどあまり変に突っ込んでは、今までユアが築いたものが台無しになってしまうかもしれないと思った。ようやく安定してきたものを私が何かをして彼等にさらに彼女をいじめるようなことがあっては行けないと思った。とりあえず、彼女が困っていることがあればなるべく助けてあげながら彼等のことをどうするか考えないと! とそんなことを思っていた。すると彼女が両手を横に振りながらちょっと嬉しそうにこう言ってきた。


「そんなことないよ。話せて少しすっきりしたよ」


「それならよかったわ」


 と少し安心しながら私はそう言った。ユアが話せて少し楽になったのなら聞いてあげてよかったのかな? とそんなことを思いながら彼等がいる場所へと私達は歩き始めた。




 そうして彼等が見えるところまで来ると何やら頭を寄せ合って話をしているようだった。


「何を話しているのかな?」


 そう言うとユアは、少し暗い顔をしていた。


「どうしたの?」


「え? ああ、その……」


 そう聞くとユアは歯切れの悪い反応をした。


「何かあるの? 私にできることなら手伝うよ?」


「え? でも、それは……」


「私がユアと話していたことが原因のような気がするから私にも責任があると思うの。だから、その、心当たりがあるのなら教えて欲しい」


 私がそう言うとユアは、少し悩んだ様子を見せたが私をみて何か諦めたような表情をしながら話をしてくれた。


「多分だけど、どんな嫌がらせをしようか考えているのだと思うの……」


「悪戯? 嫌がらせ?」


 彼等のことだから、よくないことを考えていると思っていたけど、そんなことを話しあっていたとは……。ユアをいじめるためにそんなことを話しあうのなら私がなんとしても阻止しよう! と思った。


「うん。前もあんな感じで話し合っていたとき、どのような悪戯や嫌がらせをするのかを話していたの」


「……もしかしてユアに?」


「いや、私じゃないけど……」


 ? ユアのことでないのなら良かったのかな? でも、話し合わないといけないということは弱い者いじめでは、ないのかな? それだと誰にそんなことを?


「……その、前のパーティの人にやっているみたいなの」


「あ~、なるほど。腹いせなのかな?」


「多分そうだと思うだけど、そのパーティの人が悪い人に見えないの。だからオノマ達にしたことは本当なのかな? って……」


「それはどうなのかな? でも、彼等の様子を見る限りその人が本当に悪いのかは分からないわ。もしかしたら彼等がいろいろやらかしてその補填として報酬を減らされていたと言う可能性もありえるから……。仮にそうだとしたら、あいつ等はお金のことにしか目が行かなくてさも相手が悪いように言っているかもよ?」


「な、なるほど」


 ユアは、私の意見を聞いて少し驚いていたけどその考えはなかったみたいな顔をしていた。もしかしてユアにはそう言う経験がないのかな? もしそうだとしたらユアは相手が言ったことを鵜呑みにしているかもしれない。一応そう言ったことを注意しておいた方がいいかな?


「ユアは、人の言うことをそのまま鵜呑みにしていない?」


「え? ……そう言われるとそうかも」


「それなら、人の言ったことを疑うということも覚えた方がいいよ」


「え? で、でも……」


「今までそう言った経験が無かったのかもしれないけど、騙そうとして話しかけてくる人もいるからね? 全部が全部疑え! というわけじゃないけど自分が見聞きしていないことなどは、せめて自分である程度確かめるというくらいはしないと。さっき言っていた冒険者のパーティについてもユアは、悪い人じゃないと思うと言ったのは、そう言うことだよ? いつも彼等を見ているなら、何をするかぐらいは、大体分かるでしょ?」


 そう言うとユアは、頷いていた。


「ユアは、彼等に同調するとは、思わないけど彼等が言ったことが本当にそうなのかぐらいは、他の人に聞けばある程度分かると思うよ? その彼等と問題があったと言うパーティのことを知っている人で、聞きやすい人に聞いてみたら?」


「……分かった今度聞いてみる」


 ユアは何かを決意したかのようにそう言ったので、この件に関しては大丈夫かな? と思った。


 それからは、ユアと別れて私は、街へと戻った。本当は、ユアについて行こうとしたけど、『レーナには、迷惑かけたくないから』と言って断られた。まぁ、そのかわりに何かあったら相談や助けに行くからと言ったら、少し驚いていたけど、嬉しそうな顔をしながら「ありがとう」と言われた。


 ユアのことは、少し不安だけど、今の私では何とかなることを祈ることしかできない。そんなことを思いながら山道を歩いていた。




 そうして夕方になる前くらいに街へと着いた。今の時間帯だとそこまでギルドは、混んでいないはず。ついでに少し聞きたいことがあるから人が少ないときの方がいいからね? とそんなことを思いながらギルドへと向かった。






前へ次へ目次