19.エレナ視点 (2019/8/28)
今日もいつも通り朝のラッシュが終わり、もう少ししたら少し休憩ができるかな? とそんなことを思っていた。すると入り口からフードを被った女の子が入って来た。彼女は、最近入ったばかりの新人冒険者のレーナちゃんなのだがこの子が持ち込んで来る素材などの量が普通の新人冒険者と比べて異常なほど多い。アイテム袋を持っているのもあると思うけど、それなりに大きい物を持っているようなので、悪い人達に知られて襲われないかが心配だ。
最初の頃は、どうやって大量の素材を手に入れたのか疑問に思って聞いてみると小さい頃から狩りをしていたから魔物が集まりそうなところがなんとなく分かると言っていた。確かにそういうことが分かればたくさんの魔物を狩ることも難しくはないかもしれない。だけど本当にそんなことが分かるのかな? と思った。冒険者ギルドの規則もあり深くは、追及しなかったが……。
それから何度か素材を持ってきたがどれも量も多かった。極め付きは、その子が解体したと言う素材の良さだ。ベテランの冒険者でも、そこまで綺麗に解体するのが難しいはずなのにこんな小さな女の子がそれをやってのけるのだから……。ギルドとしてはそんないい素材を売ってくれるのはありがたい。
小さい頃から狩りをしていたというのは、嘘じゃないのかもしれない、そう思い始めた。でも、誰が小さい子にそんなことを教えたのかが謎だった。
そんなことを思っていると女の子が売却したいと言ってきたので早速作業に取りかかろう。そう思って、女の子が素材を出したとき驚いた。なんかいつも以上にたくさん入った袋が複数出てきたからだ。とりあえず中身を確認すると、その袋に詰められたものは全部ゴブリンの魔石だった。どんなに少なく見ても100は、余裕で超えている。もしかしたら200も超えているかも……。とそんなことを思っていたとき、こんなにたくさんのゴブリンが街の近くにいるのなら不味いのでは……。そう思い上司にも聞いてみようと思い。レーナちゃんに待ってもらって奥の部屋へと向かった。
奥の部屋に入るとギルドマスターが上から降りて来たみたいでちょうど出くわした。
「あら、エレナ、受付はどうしたの?」
「ちょっとお聞きしたいことがあってここに来たところです」
「そうなの? それで何があったの?」
と聞かれたので先ほどの袋を渡した。ギルドマスターがそれを受け取って中身を確認すると驚いた表情をして私に聞いて来た。
「これどうしたの?」
「その、冒険者の人が持ってきたのですがあまりにも多いゴブリンの魔石で何かあったのでは、と思って他の人の意見を聞きにきました」
「なるほど。とりあえずこれは、いつ狩った魔石なのか聞いてからどの辺りで狩ったのか聞いてきなさい。考えるのはそれからよ」
「分かりました」
「とりあえず数が多いから他の人に手伝ってもらいなさい」
そうギルドマスターに言われたので近くにいた人達に手伝ってもらって作業を終わらせ、お金を持ってレーナちゃんの元に戻った。
それからレーナちゃんの話を聞くとゴブリンを狩ったのは、街の近くだと言った。ただ一週間ぐらいであれだけのゴブリンを狩ったらしい。それからレーナちゃんと別れた後、奥の部屋に行くとギルドマスターがいた。
「どうだったの?」
「それが……」
と言って先ほどの話をギルドマスターに話した。
「なるほど。期間は、それなりにあるみたいだけどやっぱり森の様子がおかしいわね」
「はい」
「とりあえず、森の調査依頼でも出しておきましょう」
そう言うとギルドマスターが依頼書を作成し始めた。その様子をみながら私は、何もないといいなと思いながらその様子を眺めていた。
森の様子がおかしいのに何もないことは、ありえないと思うけど……。