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17.服屋へ (2019/8/23)



 その後、エレナさんに割れた魔石で返却された分について聞いたら、買い取りはできないと申し訳無さそうに言われた。割れていても大きいものは使い道があるからその魔物の討伐報酬よりは少なくなるけどお金を貰えるそうだが、買い取れないものは返却もしくは捨てるそうだ。やっぱり、細かいものは買い取ってくれないか……。とそんなことを思いながら割れた魔石の活用方法は何かないかな? とそんなことを考えながらギルドを後にした。


 ギルドの外に出るとお昼ぐらいの時間帯になっていた。朝ごはんはさっき食べたばっかりだし、このまま服屋さんに向かうことにした。この前、上着が破れたときその替え服がないことに気付いたのでその服を買いに行くためだ。でも、前回買いに行ったときちょっと大変な思いをしたからできれば何事もないといいなぁ……。とそんなことを思いながら歩いていた。




 そしてローナさんの店に到着すると早速店内に入った。するとカウンターにいたローナさんが私に気付いて声を掛けて来た。


「あ、レーナちゃん。いらっしゃい」


「こんにちは」


「今日は、どうしたの?」


「上に羽織るものが欲しいと思って買いに来ました」


「そうなの? どういうのがいいの?」


「なるべく動きやすいのがいいかな? 後、できれば防水になっているといいかな?」


 そう言うと店の中と奥に行って何着か持ってきた。


「動きやすいのだとこういうのがあるよ」


 そう言って出してきたのは、ローブ。大きさや色、形が違うものを何着か持って来てくれた。その中から自分の中で気に入ったのを2つ選んだ。


 一つは、焦げ茶色、もう一つは、緑色のローブだ。山の中だと隠れることができそうだと思いこの2つを選んだ。


「それと防水用だけど一応あるけど結構大きいから引き摺るかもしれないわ。でも、手直しならできるけど……」


 そう言って出してきたのは、黒色の大きいローブだ。大きさ的には、150センチぐらいかな? 確かに大きいかもしれない。自分の背は……、だいたい140センチ位かな? 自分の年齢にしては、大きいような気がするけど、成長が早いのかな? とそんなことを思いながら防水用のローブをみていた。


「どうする? 手直しなら少しお金かかるけどできるよ?」


 引き摺らないようにするくらいなら自分でもできそうだからそのまま買おうかな?


「このまま買います」


「そう?」


「後この靴下も、全部でいくらですか?」


 そう言って先ほどのローブ2着と防水用のローブと靴下をローナさんに渡した。するとローナさんは、少し驚いたような表情をしたけど、心配そうにしながら話してきた。


「……レーナちゃん、これを全部買うと結構お金がかかるけど大丈夫かな? 無理して買わずにまた買いに来ても大丈夫だよ?」


 ローナさんは私の金銭面の部分を心配してきた。何歳に見えているのかは、わからないけど、こんなにたくさん買えるほどお金を持っていないと思ったみたい。


「大丈夫です。それでいくらするの?」


「え、ええと、……全部で銀貨8枚ぐらいかな?」


 そう言われたので私は銀貨8枚をローナさんに渡した。


「!? ちょっと待っていてね!」


 するとローナさんは、私がそんなにお金を持っていたことに驚いたみたいだったけど、お金を持ってカウンターで何か作業をしてから戻って来た。


「これがお釣り」


 そう言って銅貨3枚とみたことのない硬貨が5枚を受け取った。


「これは何?」


 そう言って見たことない硬貨についてローナさんに聞くと驚いた顔をした。


「もしかしてレーナちゃん、これをみたことないの?」


 と言って私が持っていた硬貨を見ながら聞いて来た。


「うん。初めてみた」


「そうなの。……これは、鉄貨というお金でこれが10枚で銅貨1枚分の価値があるの。生活をしていたら見る機会があると思うけど本当に見たことないの?」


 ローナさんがそう聞いてきたので私は頷いた。この街に来てから銅貨よりも下の貨幣をみたことがない。魔物の討伐や素材を売っても最低買い取り価格が銅貨だったし……。もしかしたら買った量が結構多かったからかもしれないけど。それに硬貨なんてこの街に来てから初めてみたし……。


「そうなの……」


 それからローナさんは、私が買った服を大きな布で包んでから渡してきた。


「この布はいいの?」


「いいわよ。たくさん買った人に持ち帰りしやすいように布で包んでいるだけだから。それにその布は、そんなにいいものじゃないしね?」


 ローナさんは、そう言っていたけど私には、それなりにいいものだと思う。まぁ、本職の人がそう言っているからこの店ではそうなのかもしれないけど……。そんなことを思いながら買ったものを受け取った。


「ありがとうございます」


 そう言って店を出ようとしたら新たにお客さん? というか私と同じぐらいの子が入って来た。髪は、青みがかった黒色で背中まで伸ばしている。何となく誰かに似ている気がする。そんなことを思っていると女の子がローナさんに駆け寄って行った。


「ただいま」


「あらお帰り、早かったわね?」


 彼女とローナさんがそんな会話をしているから多分ローナさんの娘さん何だろう。とそんなことを思いながらそっとお店を後にして宿へと向かった。


 宿に戻ると先ほどのローブの手直しをしたり武器を整備したり宿の延長をしに行ったりしてその日を過ごした。



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