16.ポーションについて (2019/8/23)
「それにしても1度にたくさん稼ぎましたね?」
とエレナさんが少し苦笑いしながらこちらをみていた。
「でも、他の人達はもっと稼ぐでしょ?」
「それは人にもよるかもしれませんが1人頭で割るとそこまで多くありませんよ? それに討伐前の準備や討伐後の装備の点検などによっては、それなりにお金がかかってレーナさんが受け取った10分の1くらいになるかもしれません。それにその依頼が1日で終わるとは限りませんし」
なるほど、そう言われるといろいろお金がかかるかも。でも、準備って何をするのかな? と思ったときにあることを思い出した。
「エレナさんポーションってどこで売っているか知りませんか?」
「ポーションですか? ギルドでも売っていますよ? ……もしかして知りませんでしたか?」
え? 何それ? 初耳なんだけど?
「そんな話、聞いていませんが?」
と少し不満げに言うとエレナさんが申し訳なさそうに頭を下げて謝ってきた。
「そ、それは、申し訳ありません」
ちょっと不満に思ってそう言っただけだったけどエレナさんが凄く申し訳なさそうにしていて何だか悪い気がしてしまった。
「……そ、それよりギルドではどんなポーションを売っているの?」
「ギルドでは3つのランクを販売しています」
「え? ポーションにランクがあるの?」
「はい。一応、5段階に分けられて売っていますが基本的には、E~Cまでしか出回っていません。ギルドで扱っているのもその3種類です」
「それより上は?」
「作れる人が限られています。ただAランクポーションについては、近辺に作れる人がいないです」
「そうなの?」
「はい」
Aランクポーションはこの辺では、ないのか。あったとしてもものすごく高そうだけど。とりあえずギルドで取り扱っているポーションの値段を聞くことにした。
「それぞれのポーションはいくらなの?」
「ギルドで売っているのは、下から銀貨1枚、銀貨5枚、金貨1枚です」
「効力は、どれくらいなの?」
「一番下は、止血効果で、次は、止血と再生の促進効果、その次は、数センチくらいの深さなら止血して皮膚がゆっくりと再生します」
「なるほど。……それならC1つとD2つ頂戴」
「分かりました。少しお待ちください」
そう言うとエレナさんは部屋の奥へと消えて行った。それからしばらくすると瓶みたいなものを持って戻って来た。
「これがそのポーションになります」
そう渡されたのは、瓶に入った液体が3本、一本は、濃い緑色をしていてそれ以外は、緑色していた。
「この緑色がDランクで濃い緑は、Cランクのポーションです。全部で金貨2枚になります」
私は金貨2枚をエレナさんに渡してポーションを受け取った。これがあればもし怪我をしたときの応急処置くらいはできるかな? それにしてもこのポーションは、どうやって作っているのかな? 門の詰め所前で使わせてもらったポーションが自分でも作れたらいいなと思った。おそらくCランクのポーションだから作るのは難しいと思うけど。そんなことを思いながら駄目もとでエレナさんに聞いてみた。
「エレナさん、ポーションってどうやって作られているの?」
「ポーションの作り方ですか? それなら一般に公開している作り方なら」
エレナさんはそう言うと紙にサラサラっと書いて渡してきた。そこに書かれていたのは必要な材料と手順だった。軽い気持ちでポーションの作り方を聞いたら本当に教えてもらえるとは思っていなくて本当にこんなものを受け取ってもいいのかと思った。
「これ、本当にもらっていいの?」
「はい。この作り方は誰にでも教えていますので」
「……因みにこの通りに作ったとしてポーションのランクは、どれくらいになるの?」
「良くてCランクだと聞いています。それ以上になると薬師の弟子になって教えてもらうぐらいしかないと思います。研究すれば上のものを作れるかもしれないですが教えもなしに作るのは、難しいと思います」
Cランクまで作れるということに少し驚きながらそんなものを一般的に公開していても大丈夫なのかな?
「その情報を公開してもポーションを作っていた人達には、影響はないの?」
「それは、問題ありません。公開しているレシピには細かいことを書いていない大雑把な手順らしいのでそう簡単には高ランクのポーションは、できないそうです」
そう言われると何をするという手順しか書いていなくて、どれくらいの時間その作業をするのかは、分からなかった。
「なるほど。それじゃあ作る人は、そこまで多くないということなの?」
「そんなことは、ないですが最低ランクのポーションぐらいは、できるのである程度は、役立っているそうです」
なるほど、公開をしているだけはあって一応役立っているのか。それなら、ポーション作りをしてみた方がいいかも? もしかしたらランクの高いものが作れるかもしれないし。多少の節約にはなるかな? とそんなことを思っていた。