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15.Fランク (2019/10/26)



 ギルドに着くとエレナさんの元へと向う。するとエレナさんは何か作業をしているようだったので声を掛けてから先程の素材を置いた。


「これお願いします」


「あ、はい……!?」


 エレナさんは、一度私を確認してから袋を受け取ってその中を見ると何やら驚いた顔をしていた。もしかしてさっきのバットの話がこれだと気付いて驚いたのかな?


「……これを1人で倒したのですか?」


 とエレナさんは恐る恐るそんなことを聞いて来たので私はゆっくりと頷いた。


「ちょっと待っていてくださいね」


 そう言うとその袋を持って奥の部屋に消えていった。




 それからしばらくするとエレナさんが戻って来た。


「お待たせしました。先ほど少し話をしてきましてレーナさんのランクを1つ上げることになりました」


「え? いいの?」


 まさかのランクアップの話で少し驚いたけどそんな風にランクを上げてもいいのかな? と思った。まだ依頼は、4つしか達成していないのに……。


「問題ありません。先程話していたバットのことですがギルド側でも問題になっていたため依頼を出そうとしていた所ですから」


「そうなの?」


「はい。被害にあったという冒険者達によると10匹以上で襲われたと言っていたのでEランク依頼として出そうと思っていたのですがレーナさんが持ってきた素材の鑑定をしていたらその中にブラックバットというバットの上位種も確認しました」


 ブラックバッドってもしかして私に怪我を負わせた一回り大きいバットのことかな? そういえばその魔石と爪は、通常のバッドよりも少し大きかったかも?


「その魔物がいる場合は、依頼のランクが1つ上がってDランクの依頼になります。つまりレーナさんは、Dランクの依頼をこなせるだけの実力があるというわけです。まだ張り出していない依頼ですがレーナさんが依頼をこなしたとして処理をします。それを功績にランクアップということになります」


 私のランクが上がった理由は分かったけど、本当にいいのかな? それに怪我とかもしていたし無傷とかじゃないけど……。


「でも、バットの集団を倒すのに怪我とかもしてギリギリだったけど本当にいいの?」


「怪我をしない人は、いません。それにランクを上げる際は、ギルド側が選別しているため問題ありません。それに依頼の難易度とレーナさんのランクから考えてもFランクにするくらいは、問題ありません。むしろDランクになれるだけの実力は、既にあると思います」


 依頼の難易度的には、ランクを上げるくらいは、確かにいいのかもしれないけどいくら何でもDランクでも行けると言うのは、言い過ぎだと思う。あのバットの集団がDランクの依頼だったとしても、結構ぎりぎりだったのにDランクになれるのは、ちょっとどうなのかな? と思った。


「いくら何でもDランクになれるほど実力は、ないと思うけど……」


 あくまでも現段階では、だけど。


「そんなことは、ないはずです。ギルドの基準では、十分です」


 まぁ、実力の有無に関わらずもっと強くならないといけないかも。


「とりあえずギルドカードの更新を行うので出してください」


 そう言われたので私はエレナさんにギルドカードを渡すとそのギルドカードを他の人に渡した。するとその人はギルドの奥へと消えて行った。


 それからしばらくするとギルドカードを持って行った人が戻ってきて返却してもらった。そうして返されたギルドカードを確認してみるとFランクと記入してあった。それをみて、本当にランクが上がったんだ。と思った。何だかこう、ランクを上げることは難しくて大変というのを想像していたけど、こんなにあっさりとしたものなのかと思った。ちょっと拍子抜けって感じだ。


「どうしたの? あんまり嬉しそうじゃないね?」


「あ、いや、そんなことは……?」


 確かにあんまり嬉しそうにはしていなかったかも? と思って否定しようとしたがうまく言葉が出てこなかったけど、いつものエレナさんと口調が違うことに気付いてエレナさんの方をみながら少し首を傾げていた。


「どうしたの? ……あ、もしかして口調のことですか?」


 エレナさんが私をみて少し不思議そうにしていたけど自分の口調のことに気付いたようでしまった! みたいな表情を一瞬見せたが何事もなかったように聞いてきたので頷いた。


「先程のことは、気にしないでください」


 そう言われると逆に気になるのだが……。と思いながらとりあえず頷いた。


「それでは、先程の清算の結果ですがバットの魔石が30個で金貨1枚と銀貨5枚、その爪は、品質が非常によかったため70個で金貨1枚と銀貨4枚と、ブラックバットの魔石が1個で銀貨1枚、その爪は、品質が非常によかったため2個で銀貨1枚、それから割れた魔石ですが大きいものは買い取らせていただきましてそれらが全部で銀貨1枚、それと今回は、バットの集団討伐依頼ということになりましてその依頼料として金貨3枚、合計で金貨6枚と銀貨2枚になります」


 思っていたよりも多くの報酬がもらえるということに少し驚きながらも私はエレナさんからお金を受け取った。



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