12.バット (2019/7/29)
解体が終わると先ほどの兵士のことを考えていた。
行きは、兵士の人は、特に何ともなかったからさっき会った兵士の人がおかしかったのかな? あんなことする人が兵士になれることに驚きだが……。
でも朝まであの人がやっているとは、限らないけどもしかしたら同じような人だと困るよな……。
「それなら東門の方に行ってみればいいか。一応、入れるかも聞いて無理そうならそっちで夜を明かそうかな?」
そう思って早速準備をして移動を始めた。
私は街の外壁の位置を確認しながら山の中を歩いていた。
それから大分歩いてそろそろ東門に到着するかな? とそんなことを思い始めたとき何かがこちらに向かって来た。魔法の反応は私の近くにいるはずなのに姿が見えない。
「どうして?」
そんなことを思っていると何かが迫って来るのを感じてもしかしてと上を見上げたらコウモリ型の魔物がこっちに向かってきていた。
「もしかしてバット?」
とりあえずバットの攻撃を躱すとそのまま通過してから上昇した。よくみると羽の一部分が尖っていた。もしかしてあれで私を切りつけようと飛んできたのかな? そんなことを思っているともう一度突っ込んできたので槍で切り払うと簡単に倒せた。
「思っていたよりも弱い? いや、でも……」
とそんなことを思いながらその死体を回収してから歩き出した。それからしばらくするとまた魔物がやって来た。もしかしてまたバットかな? そう思って待ち構えているとまたバットがやって来た。同じように倒してから回収して念の為もう一度周囲を確認したら多数の反応があった。
「え!?」
その反応は、今までで一番多く、いくつも重なっている感じで大きな反応となっていた。私の近くまで来ると今度は、一斉に広がり私を包囲するように私の周囲を回っている。
「この大群はさすがに不味いかも……」
これほどたくさんのバットが一斉に攻撃をして来たらかなりやばいかも……。
「とにかく数を減らさないと。『エアカッター』」
そう思い放った魔法で半分ほど数を減らした。するとバットも攻撃を受けたことに気付いて一斉に襲い掛かって来た。
『エアカッター』
そうして襲い掛かって来たバットに向かって魔法を放ち突っ込んできたバットの攻撃を躱しながら数を減らしていく。それから襲い掛かって来るバットを何度か同じようなことをして数も大分少なくなった頃、何故か嫌な予感がした。何でそんな風に感じたのか判らないけど先ほどと同じように躱そうとしたとき背後からものすごい勢いで何かがやって来た。
「!?」
しかも槍で切り払った後というまさに最悪のタイミングで……。何とか躱そうとするが完全に躱しきることができずに左腕を思いっきり切り裂かれた。
「っ!」
激しい痛みに顔を顰めながらも攻撃して来た魔物もしっかりと確認した。その姿は、ほとんど普通のバットと変わらなかったが一回り程体が大きく色が通常のバットよりも黒かった。すぐに視界から消えたがちゃんと魔法でどの辺にいるのかは、把握しておく。また同じことになったらさすがに危ないから……。
そういうわけで先ほどの大きいバットに警戒しながらも確実に仕留めていく。そして先ほどの大きいバットが動きを見せて背後から私の方に来たので魔法で攻撃をする。するとその攻撃はバットに当たり片翼を失い木に激突して動かなくなった。魔法には反応がないためちゃんと斃せているけど、釈然としない終わり方に少し不満が残る。あのバットのせいで怪我をしたのにこんな終わり方をするなんて……。そんなことを思いながらしばらくして、他のバットも全部倒し終えた。周囲も確認したが問題なさそうなので辺を見渡すとバットの死骸が大量に落ちている。
「さすがにこの数は多すぎるわよね……」
そんなことを思いながら少し気を緩めると左腕から痛みを感じた。
「そう言えば戦闘中で怪我をしたのに治療をしていなかったわね」
そう思い左腕のあたりを確認すると切り裂かれたその周囲と左袖が血だらけになっていた。
「ちょっと出血が多すぎるかも……」
そう思ったがあの戦闘中に治療なんかができるわけがないが……。一応、傷口をみてみたが血は、止まっているようだったので傷口を綺麗に洗っておいた。
「まだ左腕は痛いけど、とりあえずこれでいいかな?」
それから周囲に散らかっているバットを回収した。まぁ、大変な目にあったけど、かなりの数を斃したからそれなりにお金になるかな? と思いながらバットを回収すると、普通のバットが35匹で大きいのが1匹の計36匹だった。1匹当たりは、そこまで強くはないけど、ここまで数が多いとかなり危険だったと思いながら後処理をして東門へと歩き出した。
それから少し歩くと東門が見えて来た。後少しで東門に到着していたのにバットと遭遇したのか……。と思ったが過ぎたことは仕方ないと思い、臨時収入があったと前向きに考えることにした。そうして東門へと到着したが門は閉じていた。日が暮れているから開いているとは、思っていなかったけど、一応、入れるか聞いてみることにした。