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10.広場 (2019/7/27)



 冒険者ギルドを出るとこれからどうしようか考えていた。


「そう言えば干し肉とか大分少なくなったから買い足しておこうかな? ついでに調味料とかも調達しようかな」


 そう思い広場があるという場所に向かって歩き出した。


 なぜ広場に向かって歩き出したのかというと広場って言うくらいだから市場的なものがあるのでは? と思って行動している。まぁ、あながち間違っていないから問題ないが…。




 そうして広場に着くとそこは、市場のような感じで露店が立ち並んでいた。


「思っていたよりも大きいかも?」


 そんなことを思いながらお目当ての調味料と干し肉を探していると干し肉を売っている場所を発見したのでお店の人に声を掛けた。


「おばちゃんこの干し肉って何のお肉?」


「これかい? これは、ウルフのお肉だよ」


 ウルフか。そう言えばエレナさんがウルフは、肉も買い取ると言っていたからこれがそれなのかな? そう思い1つ食べてみようと思った。


「この干し肉1ついくら?」


「これは、1つ銅貨1枚だよ」


「じゃあ1つちょうだい」


 そう言って銅貨を1枚渡して干し肉を貰った。そしてそれを少し千切って食べてみた。


「お、おいしい」


「……嬢ちゃん、もしかしてその干し肉初めて食べたのかい?」


「そうだと思う」


「もしかしてウルフのお肉とかも初めてだったりするのかい?」


「多分」


「そうかい。このお肉は、街では、一般的に食べられているものだから値段もそこまで高いわけじゃない。でも、干し肉となると少し高くなるがね」


「へぇ~」


 ウルフのお肉って一般的に食べられているのか。もしかしてお肉を売らずに持っていた方が良いのかもしれない。まぁ、どれくらいで売れるのか確認してから決めよう。とりあえず干し肉の補充は、このお肉にしようと思った。


「おばちゃんこのお肉10個ちょうだい」


 そう言って銀貨1枚渡した。おばちゃんは、少し驚いていたが麻袋に入れてお肉を渡してくれた。


「袋は、おまけだよ」


 そう言って袋ごとくれたのでありがたく貰って、調味料を探しに広場をウロウロしていた。

 因みにおばさんから貰った袋は、こっそりとアイテムボックスにしまった。




 それから広場で調味料を探したが胡椒と塩以外は、発見することはできなかった。塩は、銅貨5枚分買ったが胡椒は、高く塩の10倍以上だったため今回は、買うのを諦めた。まさかそこまで高いとは……。屋敷にはそれなりに置いてあったから普通に持って行っていたけどここまで高いとは思っていなかった。


「(まぁ、一応貴族だったからお金には余裕があったのかな?)」


 そんなことを思いながら一応買いたいものは買い終えたので宿に戻って武器の手入れでもしようかな? とそんなことを思いながら宿へと戻った。




 武器の手入れが終わると布の切れ端と伸縮性のある紐を使ってシュシュを作ることにした。普段は、フードを被っているからあまり必要性はないが戦っているときは、フードを被っていないこともあるため、たまに髪で一部視界を塞いでいたときがあったのでまとめることでそれを防ごうと思ったのだ。髪を切ればいいじゃん! と思うかもしれないけど私は自分の髪を気に入っているのと母親似の綺麗な髪だったためどうしても切る気になれなかったのだ。昔の自分ならさっさと切ったかもしれないが……。そういうわけでシュシュを作ろうと思ったわけだ。




 そういうことでシュシュを作っていたのだが思いのほか夢中になっていつの間にか3つも作ったためもう昼頃になっていた。それで完成したのが水色、ピンク色、白色だ。布の切れ端から作ったので色の種類は、割と豊富だったのでとりあえずこの3色を作ってみた。3つ作ってから思ったのだがちゃんとできているのか確認していないことを思い出して試しにシュシュを付けてみたが問題なさそうだ。とりあえず上着を着てから昼食を食べようと食堂に向かった。




 食堂に入ると中は、人がいっぱいで座るところがなかった。すると近くにラナさんが来て声を掛けてきた。


「レーナちゃんごめんね? 今人がいっぱいで席が空いていないから少し待ってもらえる?」


「う~ん。それなら一度部屋に戻ります。少し時間が経ったらまた食堂に来ます」


 そう言って部屋へ戻ろうとしたらラナさんがこんな提案をしてきた。


「あ、それなら部屋にご飯を運ぶかい?」


「え? いいの?」


「いいよ、いいよ」


「それなら、お願いします」


 そう言って銅貨3枚渡した。


「ちょうどだね。なら部屋で待っていてね?」


 そう言うと厨房に戻って行ったので私は、部屋に戻ってラナさんがご飯を持って来るのを待っていた。




 それからベッドに腰を掛けて待っているとノックがあったので扉を開けるとラナさんがご飯を持って立っていた。


「え~と、レーナちゃん?」


「? そうだけど?」


 扉を開けるとなぜかラナさんにレーナであるのかを確認してきた。どうしてだろう? そう思って首を傾げているとラナさんは私がどうして首を傾げているのか気付いたようでどうして確認をしてきたのかを教えてくれた。


「あ、ごめんね? 初めてレーナちゃんがフードを被っていなくて一瞬誰かわからなかったの」


 そう言われるとこの街に来てからフードを脱いだことなかったような……。


「そう言われるといつもフードを被っていたかも?」


「だから、レーナちゃんがこんなに可愛いと知らなくて少し驚いちゃった」


「お世辞は、いいよ。それよりご飯」


「あ、ごめんね? (別におせじじゃないけどなぁ……)」


 謝った後ラナさんが何か言ったようだが上手く聞き取ることができなかった。でも、ご飯を机の上に置いてくれたことによって私の意識はご飯へと移った。お腹がすいたから早く食べたいと思った。


「食器は、廊下に置いといてくれれば後で回収するからね」


「分かりました。ありがとうございます」


 そう言ってご飯を受けとるとラナさんは、他の仕事があるみたいで部屋を出て行った。




 昼食を食べ終わると廊下に食器を置いて今日の魔物を狩りに行くことにした。前回も昼過ぎに出たからさほどは、変わらないだろうと思った。


「せっかくだし、西門の方から出てみようかな?」


 そう思い西門の方へ向かった。



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