9.ゴブリン討伐 (2019/7/24)
街の外へ出るとエレナさんが言った通り、東にある森の中へと入って魔法を使いながらゴブリンを探していた。すると魔法に引っ掛かった魔物がいたのでそこに向かうとゴブリンが1匹いたので背後から頭部を狙って槍を突き刺した。そして槍を抜くとゴブリンは倒れた。
「不意打ちだと狩るのが楽ね」
そんなことを思いながらゴブリンを狩っていた。と言ってもそんなことができるのは、1匹しかいない時だけだが…。
それから魔石を取り出した。そして、その死体を魔法で適当に穴を作って埋めた。
「う~ん。一匹ずつこんなことをしていたら面倒かな? でも、魔法の練習には、なるかな?」
そんな感じで山の中でゴブリンを探しては、槍で突き刺したり切り裂いたりしていた。そして途中で薬草を見つけては、採取ということを繰り返していた。
それから近くでは、何も反応しなくなって奥に進んで行くと今度は、複数の反応があった。
「? 今度は、集団で動いているのかな?」
そう思い反応があった場所に行ってみると5匹のゴブリンがいた。そして、その中の1匹は、剣を持っていた。
「あれは上位種かな? でも、さっきまで単体でしかいなかったのに……」
そんなことを思っていたけどこの街に来る前にも同じようなことになっていたことを思い出した。
「そう言えばこの街の近くに来た辺りからゴブリンの遭遇率が増えていたよね? もしかして何かあるのかな? まぁ、とにかくゴブリンを斃そうかな」
そう思い武器を持っているゴブリンの背後に近づき先程と同様に槍で頭部を突き刺した。
するとその周りにいた1匹のゴブリンがそのことに気付き声を上げた。
「ゴギャ!?」
そうすると他のゴブリンもそのことに気付いた。その時には、先に声を上げたゴブリンの首を槍で切りつけて絶命させている。残った3匹のゴブリンは、私に向かって襲い掛かって来たが大した攻撃じゃないためあっさりと避けて足や胴体を切り付けて倒れたゴブリンの頭部に目がけて突きを放った。残りのゴブリンは、2匹となった。そして殴りかかろうとしているゴブリンの攻撃を避けて首を切りつけると背後からもう1匹のゴブリンが襲い掛かって来たので柄を振り回してそのゴブリンの頭部に叩きつけるとゴブリンが横へ数メートル吹き飛んで動かなくなった。そして辺りに何もいないことを確認して一息つく。
「ふぅ、魔法を使わなくても案外倒せそうかな?」
そんなことを思いながら辺りを見渡すとゴブリンの死体や血が散らばっている。そしてある場所をみる。そこには、先ほど柄で吹き飛ばしたゴブリンの頭部だ。その頭部は、半ば程まで陥没していた。
「確かに思いっきりやったけどこれほど陥没するかな? それとも、力があるのか思いのほか力を伝えるのが上手いとかかな?」
とそんなことを考えていた。先ほどは、とにかく倒すことしか考えていなかったけど、最後の槍の柄での攻撃ではゴブリンを斃せるとは、思っていなかったから少し驚いていた。頭を殴れば一旦怯むと思ってやったらああなったから……。
「まぁ、力があるのならそれは、それでこの世界で生き残りやすいかな?」
そんなことを思いながらゴブリンが持っていた武器を回収してから魔石を取り出す作業にとりかかった。
取れた魔石は、武器を持っていたゴブリンだけやや大きくやっぱり上位種だったみたい。他のゴブリンは、全部同じような感じだ。武器を持っていれば上位種と判断していいのかな? まぁ、多分だけど武器を持っていれば必ず上位種とは、限らないと思うがその可能性は高いかも? と思えばいいかと思った。
それからも同じように探索をしていたら辺りが暗くなってきたので街に戻ろうと思って歩き出した。山の中を探索していて思ったけど探索魔法の精度が上がっている気がする。まぁ、使えば使うほど上達する物だと思うし魔物を探すのが楽になるからこれからも重宝するかも、とそんなことを思いながら歩いていた。
翌朝
朝食を食べたら早速ギルドに向かった。昨日は疲れていたからギルドには寄らなかったから朝早くに魔石と武器を売りに行くためだ。
そうしてギルドの中に入ったが朝早いこともあって他の冒険者は誰もいなかった。いつも思うがこのギルドに入ってから他の冒険者をあまりみたことがないような? まぁ、他の冒険者と会って、この前のように面倒ごとに巻き込まれたら面倒くさいから会わない方がいいのか……。そんなことを考えていると、受付にいたエレナさんが私に気付いて声を掛けてきた。
「レーナさん、今日はどうしましたか?」
「依頼の報告と素材売却に来ました」
「分かりました。こちらに出してください。それとギルドカードも」
そう言われたので昨日倒してきたゴブリンの魔石が入った袋とギルドカードを出した。
「あ、あと武器とかって売れますか?」
「大丈夫ですよ」
「じゃあこれもお願いします」
そう言って剣、槍、棍棒とゴブリンが持っていた武器を出した。するとエレナさんが少し驚いたような表情をした。まぁ、アイテム袋を持っていることにでも驚いているのだと思うけど……。でも、このアイテムボックスが便利だからギルドでは使わないとたくさんの物が売れないからね?
「……アイテム袋を持っているのですね」
「はい」
「人前では、あまり使わないようにしてくださいね? レーナさんから奪い取ろうとする輩がいると思うので……」
「なるべく気を付けます」
そういうとエレナさんは、素材の確認作業を始めようとして袋の中から出てきた魔石になぜか驚いていたが……。
それからしばらくすると鑑定作業が終わったようだ。
「鑑定が終わりました。清算の結果ですがゴブリンの魔石が26個で銀貨7枚と銅貨8枚、ゴブリン上位種の魔石が5個で銀貨5枚、それから先ほどの武器ですが全部合わせて金貨1枚の買い取りになります。合わせて金貨2枚と銀貨2枚、銅貨8枚になります。それと依頼を達成していたので記録を付けておきました」
そう言ってお金とギルドカードが渡されたので受け取った。
「……先ほどの魔石等全部レーナさんが倒したのですか?」
「そうだけど?」
どうしてそんなことを聞いて来たのかな? 私、ソロで活動しているのに……。と思ったが口には、出さないでいた。
「その、魔石の数が多いので少し気になりまして……」
と言いながらこちらの様子を窺っていた。
あの魔石の量がそんなに多いのかは、よく分からないがどうやって探したのか気にしているのかな? と思った。流石に魔法を使っているとは言えないから昔から狩をよくしていたから探すのが得意とか言えば大丈夫かな? まぁ、あながち間違っていないし……。
「昔から狩りをしていたから探すのが結構得意なだけだよ?」
「そうなのですか……。分かりました」
納得したのか分からないがこれ以上追及をしてこなかったので私はギルドを後にした。
それにしてもあれらの武器が全部で金貨1枚ってそれなりにいい武器だったのかな?とそんなことを思っていた。
まぁ、実際は、武器としていいものでは、なかったのだが鉄の量が多かったのと質もそれなりに良かったから高めの値段で買い取ってもらえただけなのだが。