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8.はじめての依頼 (2019/7/24)



 ふと目が覚めて外を見るともう昼時が過ぎている時間になっていた。


「いつの間にか寝ていたんだ……。思ったよりも疲れていたのかな?」


 と先ほど服屋であった出来事を思い出してちょっと苦笑い。いい人では、あるが私にいろんな服を着せていたときの目の輝き? 生き生きとした表情? は、とても楽しそうだったが私は、慣れないことだったから……。


 そんなことを思いながらお昼寝をしちゃったわけだが生活するためにお金を稼がないといけない。だからご飯を食べた後、簡単な依頼でも受けようかな? と思って食堂へと向かった。




「あら、レーナちゃん、もしかして昼食食べに来たの?」


「うん。お願いできますか?」


「大丈夫よ。それで何を食べるの?」


 そう言われてメニューをみていたけどメニューをみてもそれがどういう料理なのか分からない。分かったとしても魔物の肉を使った料理ということしか分からない。ただ、その中でおすすめメニューというものがあった。


「ラナさん、おすすめメニューっていうのは、何ですか?」


「それは、私が今日おすすめだと思った料理を出すってことだよ。日によっていいものとかあるからそれをおすすめメニューとして出しているわ。そのかわり何が出るかは、お楽しみだけどね? それにそのメニューは、一律銅貨3枚で提供しているから結構お得よ?」


 なるほど、ラナさんのおすすめか……。昨夜食べたご飯もおいしかったからそれを頼んだらおいしいご飯が出てくるってことだよね? そう思いラナさんのおすすめメニューを頼むことにした。


「じゃあ、ラナさんのおすすめメニューをください」


 そう言うとラナさんは、何か思い出したような表情をした。


「そう言えばレーナちゃんは、このお店で注文するのは初めてだから説明しておくけど、ここでご飯を食べるときは、先払いだから先にお金を払ってもらってもいい?」


「分かりました」


 そう言って、銅貨3枚をラナさんに渡した。


「ちょうどね、少し待っていてね」


 そう言ってラナさんは厨房の奥へと消えていった。


 それから、しばらくするとラナさんが料理を運んで来た。


「これが今日のおすすめのメニューよ」


 そう言って出てきたのは、何かのステーキに、パンとスープだった。


「いただきます」


 そう言って早速ステーキを食べようとナイフで切った。するとそれほど力を入れていないのにあっさりと切ることができた。その柔らかさにも驚きながら肉の断面をみると赤身のお肉みたいで脂があまり入っていない感じだった。そのお肉をぱくりと食べるととても柔らかい。しかもステーキにかかっているソースが肉のうまさを引き立てていてとてもおいしい。スープも出汁がしっかりと効いていてとてもおいしい。そんなおいしい料理は、あっという間に完食してしまった。このお店の料理本当においしいなぁ。と思いながらこの宿を紹介してくれたエレナさんにも感謝をしないといけないかも……。


 食事が終わるとラナさんにお礼を言ってから私は、冒険者ギルドに向かった。



 冒険者ギルドに着くと昼過ぎということもあってほとんど人がいない。掲示板でどんな依頼があるのかみたけど張られている依頼は、ほとんど常駐依頼しか残っていない。


「昼過ぎだし仕方ないか」


 そう思いゴブリンとウルフの討伐依頼と薬草の採取の依頼を取った。依頼内容は、こんな感じ。


 ゴブリンの依頼内容は、5匹のゴブリンを斃し、魔石を持って来ること。1匹辺り銅貨3枚。


 ウルフの依頼内容は、3匹のウルフを斃し、魔石をもって来ること。1匹辺り銅貨5枚。毛皮や肉、爪を持ち帰ると品質によって追加で報酬がもらえる。


 薬草の依頼は、薬草3つ1セットを1束とし最低5束採取すること。1束銅貨3枚。


 それ等の依頼書を持って受付にいたエレナさんの所へ向かう。


「これ、お願いします」


 そう言ってエレナさんに依頼書を渡した。


「討伐依頼と薬草採取ね。どこで出るかとかは、知っている?」


「わかりません」


「じゃあ、どこに出るか説明をするけどまずゴブリンは、東門から出た辺りの森で度々発見されているからそこに行くと遭遇しやすいかもしれません。ウルフに関しては、西門から出て街道沿いをしばらく進んだ辺りの森で目撃情報があります。ただ、森の奥の方じゃないとあまり見かけないそうです。薬草は山の中を頑張って探してください。後、取ってきてほしい薬草はこちらになります」


 薬草を見せてもらったのでどうゆうのを採ってこればいいのかは、分かったのだが薬草に関しては、ざっくりとした内容なのが気になったがそれよりも気になったところがある。


「ありがと。それで東門と西門ってどこにあるの?」


「ああ、そう言えば昨日来たばかりでしたね」


 エレナさんは、そう言いながら少し苦笑いをしていた。まぁ、まだ街すら碌に回ってないからね……。


「東門は、ギルドを出て左手に向かってもらえばあります」


 それを聞いてその東門というのは、私がこの街に入ったときに通ったところだ。そういえばこの街に来る道中よくゴブリンに遭遇していたかも? と思った。どの辺りを歩いていたのかは覚えていないけど急にゴブリンとの遭遇率が増えた場所があったよなぁ。


「西門は、ギルドを右に出て真っ直ぐいくと大きな広場に出ます。そこにある一番大きな通りを進んでもらえれば西門へと着きます」


「なるほど」


 とりあえず東門の西門の大体の位置は分かったから次は薬草のことを聞いてみようと思った。


「……それで薬草については、もう少し詳しい情報はないの?」


「すいません。そう言うのを専門に扱っている人ならばもっといろいろなことが分かるかもしれませんがそういう人たちは、それを独占してお金を稼いでいるためその手の情報はほとんど出回らないのです」


 そんなことしたら薬草があまり手は入らないのでは? とそんなこと思った。


「それだとあまり薬草が手に入らないんじゃあ……。ギルドは何も言わないの?」


「ギルドで必要な分をお願いすればその分は、しっかり納めているためこれと言って何も言っていません」


「他の人と揉めないの?」


「ギルドでは、冒険者同士の争い事は基本的には干渉しません。ただ薬草を採取するよりも討伐系の依頼をこなした方が多くお金が手に入ることが多いためそのようなことでは、あまり問題は起きないです」


「そうなの?」


 冒険者同士争いを止められる人が少ないのかもしれない……。いや、そもそもギルド職員と揉めたら依頼の関係で不味いからそんなことする愚か者はあまりいないのかもしれない。それに薬草を採取するより討伐系の依頼をこなした方がいいのならそんなに揉めることもないか……。


「はい」


「とりあえず依頼の受注はこれでいいの?」


「これ全部ですか?」


 エレナさんは一度に3つもの依頼を持ってきたことに少し驚いているようだった。もしかして何か問題でもあるのかな? と思った時、実は依頼に期限があるのかもと思った。


「……もしかして依頼に期限とかありますか?」


「常駐依頼でしたら特にないのですが1週間を目途にしてほしいです」


 どうしようかな? 薬草とウルフに関しては、遭遇することや採取できるのかわからないからなぁ……。たまたま見つけたでも依頼達成になるのかな?


「受けていない依頼でも条件を満たしていればその依頼は達成になりますか?」


「達成にできますがそれは、他の人がその依頼を受けていない場合に限ります。他の人が受けた依頼だと適用することはできません。依頼としてではなく討伐した報酬は、受け取れます。ですが人によっては、揉め事にもなるので気を付けてください。ただ常駐依頼は、別ですので問題ないです」


 なるほど。そう言うことならゴブリンの依頼だけ受けようかな? ゴブリンの依頼ならその日の内に終わりそうだしもし途中でウルフや薬草を見つけたときは、狩ったり採ったりすればいいかな?


「分かりました。ゴブリンの討伐だけ受注します」


「分かりました。ギルドカードを出しください」


 そう言われてカードを渡すと何やら作業をしてから返却された。


「依頼の受付が完了しました」


 そう言われたのでギルドを後にして早速ゴブリンが出ると言う東の森へと向かった。



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