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6.武器屋 (2019/7/24)



翌朝


 目が覚めると見知らない天井が目に入った。


「そういえば昨日ようやく街に着いたんだった……」


 外を見ると日は大分昇っている。思っていたよりも長いこと寝ていたみたい。まぁ、昨日までの生活を考えると疲れていても仕方ないかもしれないけど……。とりあえず身支度をして朝食を食べるために食堂へ向かった。




 食堂に入って中を見渡すがほとんど人がいない。時間的にも遅いから人がいなくてもおかしくないか……。そんなことを思っているとラナさんは私が来たことに気付いてご飯を持ってきた。


「レーナちゃん今朝は、随分と遅いのね?」


 といいながら朝食を私の前に置いてくれた。


「かなり疲れていたから思っていたよりも長いこと、寝ていました」


「そうなの? 無理をし過ぎないようにね?」


 ラナさんはそう言って厨房へと戻って行った。それから私は、朝食を済まして部屋に戻った。




 部屋に戻ると今日は、どうしようか考えた。


「しばらくは、この宿で泊まりたいからお金を稼がないといけないよなぁ……」


 とりあえず宿の延長と武器を少し見に行こうかな? あの槍を使っているけど、ずっと手で持っているのもなんだからせめて背中で背負えるようにしたい。


「いい武器屋さんとかわからないなぁ……。ラナさんにでも聞いてみようかな?」


 そう思いラナさんに聞きに食堂へと向かった。




 食堂に行くとちょうどラナさんが休憩をしていた。すると、私が食堂に入って来たことに気付いて私に声を掛けて来た。


「レーナちゃん、どうしたの?」


「ラナさん少し聞きたいことがあって……、今大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。聞きたいことは何かしら?」


「武器屋に行きたいけど、昨日この街に来たばかりだからどこにあるかわからなくて……、それでラナさんならいい武器屋を知っているかも? と思って聞きに来ました」


「武器屋なら、この宿の近くにもあるよ。腕は良いと思うけど、どうかな?」


 宿屋の近くに武器屋があると聞いてそんなに近くにあるとは思わなくて少し驚いたけど、ラナさんは腕が良いと言ったから良さそうな武器とかも売っているかもしれない。そう思いラナさんにその武器屋さんのことを聞くことにした。


「ラナさんが教えてくれた武器屋さんに行ってみようと思うのでどこにあるのか教えてもらえませんか?」


「この店を出て右に行って、次の角を右に曲がって歩くとその武器屋があるよ」


 ラナさんは宿の近くにあると言っていたけど、宿の裏辺りにあるとは思っていなくて少し驚いた。わざわざ細い道に入らないとその武器屋さんに気付かないかも……。とそんなことを思った。


「なるほど、ありがとうございます。早速行ってきます」


「気をつけてね?」


「は~い」


 そうしてラナと別れて武器屋さんへ向かった。




 ラナさんに教わった通りに横の道に入った。道幅は、狭く2メートルくらいしかない。人通りもないそんな道を歩いていると武器屋らしい建物があった。


「もしかしてここかな?」


 そこにあったのは少し暗い感じのお店だった。武器が置いてあるから武器屋だと思うけど……。とりあえず中の様子を確認してみるとそれなりに武器が置いてある。ただ今営業しているのかわからないので確認してみようと思って声を掛けた。


「すいませ~ん」


「なんだ」


 そういいながら奥から出てきたのは、厳つい顔の男性だ。チンピラだと言われたら納得しそうな顔をしている人だ。


「えっと、……営業していますか?」


 一瞬大丈夫なのかな? と思ったがラナさんが教えてくれた所だからそんなことはないと思い今営業をしているのか確認した。パッと見やっているのかわからなかったから……。


「……している。……何をしに来た」


 と店の人がちょっと不機嫌そうに言ってきたがとりあえず私の欲しいものを伝えることにした。


「武器の手入れをするものと短剣を買いに来ました。あとできればこの槍を背負えるようにしたいです」


「……その槍少し貸せ」


 そう言われたので槍を渡すと槍をくまなくみていたがしばらくしたら無言で槍を返されると奥の部屋に消えて行った。


「えっと……」


 まさかの無言で槍を返されて奥に消えるとは……。この後どうしたらいいの? 待っていればいいのかな? それとも……。と考えていたらお店の人が戻って来た。


「これを使え」


 そう言って短剣と砥石、油のようなものを渡された。……もしかして、ただ口数が少ないから不機嫌そうに感じただけなのかな? とそんなことを思っていると声を掛けられた。


「あと、これはおまけだ」


 そう言って渡されたのは大き目なベルト? みたいなものだった。


「それを斜めに掛けて紐の間に槍を入れれば背負えるようになる」


 私は言われた通りにやってみると槍を背負えるようになった。思っていたよりもいいものかも。とそんなことを思いながら槍の出し入れしていた。


「どうだ?」


「なかなかいい感じです。……それでこれ全部でいくらですか?」


「……銀貨1枚」


「え? そんなに安いの?」


 予想以上に安くて思わずそう聞き返したが頷くだけだった。少し困惑したがとりあえず代金の銀貨1枚渡した。


「……布は、服屋に行って切れ端でも貰って来てくれ」


 そう言って奥に行こうとしていたけど、服屋がどこにあるのかわからないのでどこにあるのか慌てて聞いた。


「ど、どこに服屋がありますか?」


「……知らないのか?」


 ……分かりにくいけど多分驚いているのかな? そんなことを思いながら私がこの街に来たばかりだということを伝えた。


「昨日来たばかりだからわからないです」


「……ついてこい」


 そう言われたので後をついて行った。



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