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第4話

魔性創生回です。

「うし、休憩完了。ダンジョンの細かい整備は後でやるとしてまずは≪魔性創生モンスタークリエイト≫!」


 スキルを発動した俺の目の前に≪迷宮創生≫の時と同じように半透明のスクリーンとキーボードが現れる。スクリーンに映っているのは黒い霧状の何か…というかこれ俺自身だな。

というわけで俺の容姿とか客観的な視点から見た概要とかについて説明するか。


・蝕む黒霧の王

迷宮≪名称未設定≫の魔王。

霧形態と人間形態の二つの姿を持つ。

容姿は霧形態では黒い霧が集まっただけの姿。人間形態では黒髪黒目に黒い装束を身に着け、肌の色も夏の砂場で日焼けをしたような色をしている。

情報不足につきこれ以上のデータは現在無し。


「…。あー、うん。まあそうだよな。まだ一日すら経ってないのに詳しい説明が載っているわけないよな。」

 少し残念な気持ちもあるがここは流しておく。


「じゃあ、とりあえず、生み出せる奴から生んでいくか。」

俺はキーボードを操作して召喚するモンスターを選択する画面を呼び出す。

 そこには一体のモンスターが表示されている。どうやらまずはこのモンスターを生み出すしかないらしい。


「まっ、生み出す前に確認できる情報は確認しておくけどな。」

俺はモンスターの説明を呼び出して読む。


・フォッグ

身長30cm程のいたずら好きな精霊系人型魔性

薄い靄の様な魔力で肉体が構成されている。

力は弱いが空気中の魔力さえあればいくらでも増殖することが可能。

召喚コスト:1体につきMP1


 某国民的RPGにおける青い不定形生物みたいな存在っぽいなぁ…これ。

まあ、フォッグ。つまりは霧だからこいつが俺の特性に合った魔性と言えるんだろうな。俺自身体が霧で出来ているわけだし。


「とりあえず…MPしか消費しないなら100体ほど生み出すか。」

魔力が抜けていく感覚と共に俺の周囲に魔法陣が現れ、そこから光と共にフォッグが100体生み出される。で、


『『『キャハハハ』』』『『『ワーイワーイ』』』『『『ブーンブーン!』』』


 とても五月蠅い。とりあえずこちらの指示を聞いてくれるかは分からないが静かにするかこの場から離れるか選ぶように指示する。

まあ、そしたら当然のように全員どこかに行った。とりあえずこちらの指示を聞いてくれるのを確認できたからいいとしよう。


「さて、これで生み出される魔性は…うん。増えてる。」


・薄靄狼

体長1m程の獣系狼型魔性

常にうすい靄のようなものを纏っているため状況次第では感知しづらい性質を持つ。

召喚コスト:一体につきHP,MP,SP各5


・沼飛魚

体長0.7m程の魚系飛魚型魔性

沼地に潜み獲物を見つけると体当たりもしくは剣のように鋭いヒレで攻撃する魔性。体当たりのスピードは100km/hを超える。

召喚コスト:一体につきHP,SP各3

創生前提条件:沼地もしくはそれに類するものが存在していること


・乱し水蠆(ヤゴ)

体長1m程の虫系ヤゴ型魔性

水場に潜み獲物を見つけると平衡感覚を奪う水弾を当てて抵抗できなくしてからその肉を食らう。成長すると乱し蜻蛉に進化する。

召喚コスト:一体につきHP,MP,SP各7

創生前提条件:水場もしくはそれに類するものが存在していること


さて、どう生み出すか。とりあえず実際に見てみない事には詳しいことまでは分からないみたいだし…。面倒だから各種30体づつ生んでおくか。

「というわけで実行。」


 その言葉と共に俺の周囲に先程と同じように魔法陣が発生し、そこから光と共に魔性が生み出されていく。で、それぞれの姿を見た感想。


薄靄狼:靄のせいで細かい姿が分からないがすごくモフモフしたくなる姿をしている。というか出て来た時に思わず一体モフモフした。だってあの柔らかな毛並みにつぶらな瞳。おまけにこっちが近づくと「クゥーン」と鳴きながらすり寄ってくるんだよ!全く持って可愛いは正義だね!


沼飛魚:試しに飛んでもらったらすごく速かった。あのスピードで霧の中からいきなり現れたらかなり怖いと思う。


乱し水蠆:キモい。いや、なんというか予想外のキモさだった。昆虫ってのはあのサイズだから許容できるものなんだなと思わず納得。とりあえず、見た後は薄靄狼をモフモフして心を癒させてもらいました。


 で、感想も言ったところでとりあえずこいつらもフォッグと同じように適当にダンジョン内に放つ。

 ん?こいつらの飯?生きていくだけなら俺と同じように魔力さえあれば問題ないらしい。増えたり成長したりするためには肉を食べたりする必要があるらしいけど。もちろん共食いは禁止しておく。数が減るだけで益がないらしいし。


「これで一通りは召喚したんだよな。HPとかはまだ大丈夫だしダンジョンの整備を進めるか。」



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 それからしばらくの間は俺は入口に休憩所と兼用で霧が外に漏れないようにしたり、人数制限をかけやすくするためのエアロック的なものを作ったり、対外的にはクロキリと名乗ることを決めたり、沼地でも育つ樹木や蔦を設置したり、詳細は控えるけどいくつかの罠に相当する敵や仕掛けを施したり、薄靄狼をモフモフしたり、数を増やしてモフモフ祭りをしたり、魔性の数や地形効果のグレードアップをしながら過ごした。


 そして気が付けば俺が魔王化してから一年が過ぎようとしていた。

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04/08文頭一文字空けの改稿をしました。

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