第44話
GW中は積極更新です。
「ここが北方の最前線ですか…」
「ええ、そうなります。」
「寒いですねー」
「どうして僕まで…。」
現在私、アリア、ホウキ、チリトの四人?は北にあるX-J4の魔王『凍てつく銀の雪翁』が生み出した魔性と戦うための最前線基地に来ています。転移陣を使ってから歩きで1週間。遠かったですわね。
ちなみに北の大地は完全に雪翁に支配されているそうで、最前線と言うのは北の大地とこちらを繋いでいるトンネルの事になります。何でも制海権を奪われている関係でどちらにとってもこのトンネルを壊すわけにはいかないとか。
ただ、ここまでの道中でも時折『白霧と黒沼の森』産以外の魔性と遭遇して戦う事になったので、完全に防衛し切れているわけではないようですわね。
「それで、まずはここの司令官である大多知。と言う方に会えばよろしいのですよね。」
「はい。主からはそう伺っています。」
主…ですか。アリアは戦力としては間違いなく優秀ですが、やはり純粋な魔性ですしクロキリを倒すという分野では信頼できませんわね。
「それならば、早いところ会ってしまいましょう。チリト、ホウキ、運が良ければ今日はベッドで寝れますわよ!」
「それは嬉しいですねー」
「暖かいお風呂とかもあるかなー」
「きっとありますわ!さあ行きましょう!」
そうして、私たちは北方解放前線基地と名付けられた基地の中に入っていきました。
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「可能なら今すぐお帰り願いたい。」
「なっ!どうしてですの!」
基地を訪れた私に待っていたのは辛辣な物言いでした。
私の周りには今は誰も居ません。私たちが基地を訪れ、大多知さんに会おうとしたら三人とも指令所とされている建物の外で待つように言われたのです。
「そんなもの決まっているだろう。訓練を受けていない一般人が居ても我々の連携を乱すだけだし、君らを養うための食料・暖房・武器・その他生活必需品をどうしろと言うのかね。おまけに君ら全員ともまだ子供だろうが。」
「む…ぐ…。」
せ、正論過ぎて言い返せません。ですがここで引くわけにはいきません!
「私たちは!「お話し中失礼します。」
なっ、アリア!?いつの間に私の隣に!それに私の口を塞がないでくださいませ!
「君は眷属ですらなさそうだね。」
「はい。私は『蝕む黒霧の王』様が生み出した魔性ミステスの一体。アリア・ミステスと申します。」
「何の用かな?」
「はい。我々としては別に貴方方との連携は必要なく、ただ戦う場が与えられればそれでいいという事を伝えに来ました。」
「どういうことかね。」
「そのままの意味です。私たちの目的は経験値稼ぎであり、ここで戦う許可そのものは霧王様と首相から貰っています。」
「…。」
むっ。大多知さんが黙りましたわね。何かを悩んでいるような感じですわね。
「はあ。分かった。そういう事なら向こうと繋がっているトンネルに行け。案内役も一人付けてやるからついでに鍛えてやってくれ。」
「ありがとうございます。」
「それと寝床ぐらいなら用意してやるから、疲れたら戻ってくるといい。」
「あ、ありがとうございますわ。」
私とアリアは大多知さんに礼を言って建物の外に出ます。
と、外に出た所でホウキとチリトが寄ってきました。
「リョウお嬢様。挨拶の方はどうでしたか?」
「それと、今晩はベッドで寝れそうですか!」
「安心しなさい。どちらも問題ありませんわ。案内役…と言う名の監視でしょうけど兵も一人付けてくださるそうです。」
私の言葉にホウキは笑みをチリトは喜びの表情を返してくれます。
「それでは、その案内役と合流したら早速行きますわよ!」
「了解ですお嬢様。」「分かりました。」「えっ…」
そうして私たちは立壁ツヨシという兵士さんと合流し、トンネルへと向かいました。
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「それはマジですか…。」
「私が冗談を言うとでも?」
「いえ、そんな事は無いですけど。何で…」
俺は今、大多知隊長の部屋に呼び出されている。そしてそこで言い渡された任務は…
「何で俺が首都から来た霧人のお嬢様一行の子守なんすか…。」
まさかの子守任務である。というか霧人にはあのマッドサイエンティストや『霧の粛清』の件で色々とヤバいものを見たからこれ以上の関わりは勘弁してもらいたいんだが。
「お前が一番の適任だからに決まっているだろうが、というより他の人間に『霧人』の対応をさせるのは無理だ。『霧の粛清』の件で誰もが『霧人』に恐れを抱いているからな。」
「それは俺もなんですけどね…。」
一応反論をしてみる。
「それでもお前は大分マシだ。久野イチコの件で霧人でも精神面は人間と変わらないことをお前は理解しているからな。」
「はあ、分かりました。ならこの任務受けさせていただきます。」
「よろしい。ついでに上げられるだけレベルも上げてこい。」
「ハッ!」
そして俺は建物の外に出て、霧人のお嬢様に宛がわれた建物へと向かうことにした。
05/04 誤字訂正