第131話
第六階層が出来てから一年。
この一年は昔から居たモンスターたちのランクアップが頻発した。
まずイズミに付いて行ったモヤ助こと靄大狼がランクアップして靄魔狼になった。
・靄魔狼
体長4m程の獣系狼型魔性 靄大狼の上位種
基本的なスペックは靄大狼と大きくは変わらないが、新たに周囲に纏う靄を障壁のように性質を変化させることにより様々な用途に使用できる能力を得た。
外見的な変化としては額に紋章の様なものが浮かんでいる。
召喚コスト:1体につきHP,MP,SP各2200
靄魔狼の実力に関してはイズミからの報告だが、霧の障壁を利用した突撃の火力が相当の物らしく、さすがは上位種と言ったところである。
また、モヤ助が靄魔狼になったのを機に、他の靄大狼も経験値を多量に稼いだ個体に関してはランクアップの兆しが見えている。
そして、靄魔狼が出て来たのに続いてアリアがミステスからノーブルミストに進化した。
・ノーブルミスト
身長1.7m程の精霊系人型魔性 ミステスの上位種
霧の様な魔力で構成された体を持った女性型精霊。
ミステスを統治する役割を持つと同時に、多種多様な霧属性のスキルを使いこなす。
召喚コスト:1体につきMP2500、HP,SP各1500
ノーブルミスト最大の特徴はやはりその多種多様なスキルである。
≪霧の矢≫≪霧爆≫≪幻霧≫は当然として、≪霧の槍≫≪霧弾≫≪霧鎌≫…etc.と一部の強力なスキル例えば俺の使う≪尖水柱≫と同格の霧属性スキルなどは使えないようだが、少なくとも下位に属するようなものならほぼ全てが使えるのではないかと思われている。
ただ、ノーブルミストに関してはずっと『白霧と黒沼の森』内で大切に育ててきたアリア以外は入れ替わりが激しいためにランクアップへはかなり遠そうである。
続いてのランクアップは泥兵士の上位種である泥騎士。そして泥魔法使いの上位種である泥魔術師の2種である。
・泥騎士
身長1.7m程の魔法生物系人型魔性。泥兵士の上位種
経験を積んだ泥兵士がランクアップし、与えられた装備に対して高い適性を示す魔性で、適性装備の扱いについては≪○習熟Ⅱ≫を得られるレベルの力を持つ。
与えられた任務を忠実にこなすだけでなく、必要とあれば自主的に考えて行動する能力を持つため、様々な用途に用いることが出来る。
コアを破壊されない限り装備を含めて自動回復していく。
召喚コスト:1体につきMP1500
・泥魔術師
身長1.7m程の魔法生物系人型魔性。泥魔法使いの上位種
経験を積んだ泥魔法使いがランクアップし、泥属性の魔法に対して高い適性を示すようになった魔性。使用スキルは≪泥魔法習熟Ⅱ≫を得ているのと同程度の力を持つ。
使用可能なスキルの種類はミステス以上ノーブルミスト以下と言ったところ。
与えられた任務を忠実にこなすだけでなく、必要とあれば自主的に考えて行動する能力を持つため、様々な用途に用いることが出来る。
コアを破壊されない限り自動回復していく。
召喚コスト:1体につきMP1800
どちらも部隊のリーダーを任せられるだけの知性を有しているために非常に便利である。
というか、並の人間PT(レベル3以下6人)なら一体で殲滅したりすることもあるからな。普通に強い。
ただ次の奴にこいつら、それと靄魔狼&ノーブルミストなのだが、これらのモンスターは共通して一度ランクアップで出現するまでは魔性創生に出てこないと言う厄介な性質があった。恐らくだがレベル6以降はそんなモンスターが大半を占めているのではないかと思う。
で、件の次のモンスターはクエレブレの上位種である。
こいつがまだ問題児でな……。
・ハイクエレブレ
体長25m程の竜系大蛇型魔性
攻撃を受けるたびに硬質化していく鱗と毒のブレスが特徴的なドラゴン。
クエレブレと比較して全ての能力が上昇しており、鱗の硬さと鋭さはただの突進が致命傷になるレベルであり、毒のブレスは並の人間ならば少し吸っただけでも全身に毒が回って死に至る。
召喚コスト:1体につきHP,MP,SP各2500
備考:ステータス不足につき命令を聞かない可能性あり
うん。またステータス不足だよ!
こいつ一匹のせいで一体何匹の一般クエレブレとその他大勢のモンスターたちが犠牲になったか……
最終的には第一階層の端に隔離部屋を作ってそこに封印しましたよ。もしまた蛸王が攻めてきたら長距離転移陣を使って敵陣のど真ん中に投下する予定ですとも。
命令を聞かないモンスターとか以前のようにフルコントロールする暇がある状況じゃないと使えないからな。そして今の俺にそんな事をする暇はないのだ。
さて、本音を言えばここまでは前座である。
なにせ、こんなメッセージが突然俺の脳裏に流れてきたからだ。
『『蝕む黒の霧王』の眷属。『霧人』茲炉イズミが特定の条件を満たしました。』
『只今より、満たした条件に基づいて茲炉イズミを魔王化します。』
進化回その一でした。