□#なんか謎世界02
「とにかくコンビニ探さなきゃ」
異世界転生を果たして異界の地に降り立った私の第一声がこんなんだなんて情緒もへそごま? も無いね──なんて思いながらこうしてスマホに現状をメモる辺り私って真面目だなって思う。
テレビかなにかで見たけど緊急事態になったときはこうやってメモを取っておく方がいいらしいから。メモするだけならバッテリーちょっとしか喰わないしね。
本当ならすぐに警察へ助けを求めたり両親に連絡するべきだろうけど……間違いなく『頭ヘンになった?』としか思われないだろうし。
流石にいい齢して親に心配かけるのはあれだからね、ここは一人で何とかするしかなさそう。こんな事になるなら異世界転生についてもっと勉強しとくべきだった。
まぁとにかくそういうわけで、現状を正確に把握するため私はベンチに腰掛けてこうして周囲を観察しながら記録しているというわけです。リアタイで剣牙の配信を見たい欲を押さえながら。なんて冷静なんだろう私。
「普通に街中の広場って感じなんだけど……どこだろここ?」
東京タワーがある程度見えるってことは東京の港区あたり?
それだったら私のマンションも近いから一旦帰ってみるのもあり寄りのアリ?
けど流石にマップ開かないとたどり着けないし、それで充電きれたらアウトだしな~なんて考えてると向こうから人が歩いてきた。
「ママー、スマホ買ってよー」
小学生くらいの背丈の女の子と母親っぽいのが手を繋いで、座っている私の前をそう言いながら横切っていく。女の子はお母さんにスマホをねだっているみたいだけどお母さんは『まだ早いよ』って女の子をあしらっているみたい。
買い物に行くのかな?──なんにせよ、こうして文章に書き起こして切り取って見れば単なる平和な日常風景。
一つ問題があるとするなら今の母子……なんか【着ぐるみ】来てた。二人共。あれ、絵文字のやつ。少し前に流行ったぴえんのやつ。
フリーゲームかなんかでそういう殺人鬼から逃げるやつあったよね。
仮装かな? 今ハロウィンでも何でもない時季なんだけど……まぁ港区だしどっかでイベントでもやるんだろう。
「でもこの異世界、普通にスマホあるんだ」
じゃあモバイルバッテリーも当然あるよねと思いつつ、普通にスマホ流通してるんじゃ異世界でアドとってスマホ無双できないな~なんて思ったりもした。
「さて、観察終わり。コンビニ探そ」
建造物と風景以外はたいして変わった事もないし、だらだらしてたら充電なくなっちゃうと思った私は──異世界のコンビニを探しに立ち上がった。
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