□#なんか謎世界07
公爵様? とやらが来るまでの間、手乗り豚さんなのでこの謎世界における現状をここに纏める事にする。
□地球西暦20××年/×月×日 スマホ時計20時17分現状
1.謎世界の都市部では現代とファンタジーとサイバー感が混ざり合っていて(何処かで見覚えがあるようなないような)そこでは仮想イベントが行われている。
2.都市部から離れると人の姿はほぼ無く、景観も昔のゲームみたいに雑い。
3.私の住むマンションも存在していたけど推しの【夜月剣牙】関連のグッズとその存在がネット上からは消えていた(ついでだけどその他Vtuberも消滅していた)
4.この世界では前世で私がハンネとして使っていた【ムラサメミスイ】というのが私の名前になっているらしい。そしてどっかの令嬢らしい。
5.日本から西洋に数分でいける。
6.王宮には私の部屋があり(ここで産まれて暮らしてた?)そこには実家に置いてあったお人形やランドセルがあった。
7.正確な年齢は不明だけど若返ってた(肌年齢からの推定15~18歳くらい)
こんなところかな。
ねぇ誰かそろそろ答え教えて、この謎すぎる状況の正解。
ていうか神様やら女神様の職務放棄でしょこれ、一切の説明がないんじゃどう動くかも決められないじゃんか。
これがまだなろう作品の定番転生みたいにファンタジー世界とか昔やった乙女ゲーの舞台とかだったらそれなりに理解して対応もできるんだけど……現代なのかファンタジーなのかタイムリープしたのか違う世界線に来たのか全部正解で全部間違いみたいな矛盾孕んだ曖昧さ加減に混乱ですよ。馴染みの定食屋で生姜焼頼んだら生姜焼に似た民族料理が出てきたみたいな──なんて訳のわからない思考時間を過ごしてたら誰かが扉前に近づいてくる足音がする。公爵様とやらがやっと来たのかな。
けど待って、私が令嬢ってことは公爵ってのは……お父さん?
幼女時代に転生してここで過ごしたとかならともかく、見ず知らずのおっさんをパパとか呼びたくないんだけど。色んな意味で危ないしそれ。
けど、さっきの執事青年の時には混乱しすぎて情報を引き出せなかったから何とかして公爵だかジャガイモだかにこの世界の事を聞き出さないと。
大丈夫、こう見えて初対面の人と話すのは上手いんだから私。初対面の時限定の陰キャあるあるだけど。
複数っぽい足音は扉前で止まってコンコンと音が鳴った。
数秒経ったあと、扉越しから聞き覚えのある声が『よろしいですか?』と私の返答を待つ感じで優しく投げかけられる。女性の声だ。
「……はい、どうぞ」
警戒していた私をだいぶ弛ませるくらいに、私はその声の正体を知っている。
正直に言うと、私の持ち物が置いてあった時点でその可能性を考えなくもなかったけど。
でもなんで???
答えを探すよりも早く、開かれた扉から部屋に入ってきたのは……まさに貴族って感じの煌びやかな白色のドレスで身を包んだ若かかりし頃の実の母親だった。