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13、ドラゴニック・ファイヤー!

 ゴブリンの亡骸を燃やし尽くしたあと、鯉の内臓の残骸も綺麗に焼き尽くす。

 念のため苦玉だけは保管しておくことにした。

 ヘビトンボの殻を容器にして少し離れた所に置いておこう。



「いてててっ」


 結構ざっくりとやられている箇所もある。

 まだまだだな。

 こんな姿をお師さんに見られたら、絶対どやされる。

 そして増やされる修行メニュー…。

 おのれ!


 地球のことは置いておいて、湖で傷を洗おう。

 裸になろうと羽パレオをとめている触覚ベルトを外すとバイーンと羽が広がった。

 変態チックでちょっとウケる。

 そういえばパレオも槍で切りつけられたのに、全然傷ついてないな。

 思ってる以上に頑丈なのか。



 ザバッ ザバッ


 傷が少し痛むが、汚い槍だったので念入りに洗う。

 ついでに喉が乾いたのでゴクゴクと水を飲んだ。


「プハーッ、うめぇ!」


 生き返る。

 生きてるぜ、シュナイデック!

 秘匿道場で修行のあと、お師さんはよく酒飲んでたな。

 今はその気持ち、何となくわかるよ。

 水だけど!


「あれ?傷が治ってきてるような…?」


 もっと深い傷に思えたんだけど、もう癒着している。

 魔法かっ!


 ……魔法か。あるかも。

 ゴブリンがいるなら魔法だってあるかもな。

 俺も魔法が使えたりして…。


「ドラゴニック・ファイヤー!」



 ……使える訳ないか。

 シュナイデックが得意とする魔法なんですが。

 格好つけて突き出した腕が虚しい。

 これじゃゲーム好きで夢見勝ちな忍者先輩を笑えないな。

 まぁあの人はゲームの忍者キャラが好き過ぎて、実際の忍者に弟子入りし、そしてウチの秘匿道場にまで流れてきた、筋金入りロールブレイヤーだ。

 突き抜けている。

 まぁ俺のほうが投擲系アスリートとして名を馳せるも、種目をコロコロ変える変人としてみんなから白い目で見られていたけどねっ。


 ここはゲームじゃない。

 リアルだ。

 死んでも復活はできない。

 傷の治りが早いようだけど、慎重に行動せねばあっという間に命を失うことになるだろう。

 でもそのこに対してワクワクと楽しんでいる自分もいたりする。

 業が深い。

 業深いが天現捨投流に携わったものなら、分かってくれるだろう。

 ここは理想の世界なんだと。



 さっぱりしたので水から上がり、体を乾かす。

 なんのことはない、風に晒すだけですが。

 さて、ゴブリンがまた襲ってきた時の対策ですが、やはり石を投げて対抗したいと思います。

 接近戦はリスクがある。

 先程投げつけた石苦無は粉々に砕けてしまった。

 作り直さねば。

 ゴブリン相手には刃をつける必要もなさそうだ。

 明らかにオーバーキル。

 質より量でいこう。

 ということは採石場まで敵を引き込めれば、石を投げ放題ではないか!

 勝てる!

 早速投げやすい大きさに石板を割っておこう。

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