一大任務?
まだ足場固めも終わってないのに超展開
もしかしたらこの辺りはまだブロローグに過ぎないのかもしれませんね
「うむ、来たようだな」
「……あんまり来たくなかったんですけどね」
「ははは、そう言うな」
いつぞやの宣言通りオレはロイ王に呼び出された。
あんましこの王様は信じられなくなってしまったが、今は一応養ってもらってる側だから断れないのが現状だ。
「ちょっとライトには頼み辛い用件なんだが聞いてくれるか?」
「内容によります」
「…ふむ、では単刀直入に言うぞ」
オレに頼み事…
それも知り合って間もない上に国の人間ではない者に王直々の頼みとは…
「我が国サウシアに力を貸して欲しい」
「…?」
な、なんぞ?
「了承してくれるか?」
「単刀直入過ぎて意味が分かりません!…もうちょっと詳しく…。出来れば動機などをですね…」
「ふむ、では話そう」
「いきなり機密情報から話すがよいな?」
「い、良いですよ?」
うわぁ、いきなり機密情報ですか…。
何?破壊神とか?魔王とか?すっげーwktk
「あ、その前にライトがどのくらい世界の情勢…というか情報を持っているか聞かせてくれぬか?」
「…オレの知ってる事なんて微々たるものですけどいいですか?」
オレは話した
この世界には魔法があり、この国は各ある国のなかで一番魔法に特化しているという事
どの国も均衡を保っていて戦争などあんまり無いという事
何百年前かに魔王が現れ、何十年か前に何者かに倒されたという事
「ふむ、やはりあの国以外にも国があったか」
「…あの国?」
「そう、一番輝く星が沈む方角に進むと見える国があるのだが、この前やって来た大使に脅迫状を叩きつけられてな」
「なるほど」
「向こうの国の大使は何千という大軍でこの国に来た。更に本国には何十万という兵士がいるらしい」
凄いのか凄くないのか解らないな…
無双シリーズだと千人斬りなんてしょっちゅうあるからなぁ…
「こっちの国には何体の兵士がいるんですか?」
「…悲しい話だが、我が国の兵士は千人なんて大層な数は無いのだ…」
「え?えぇぇぇぇっ!?」
何十万の大軍と何百の小隊…。詰んでるじゃん!
「しかもあの国の要求は無茶苦茶だった。『お前達の国を栄光ある我らの国の植民地とし、奴隷として扱ってやろう』だ」
「うわぉ」
そいつぁ無茶苦茶だな
しぇんぱいにウィザたん、…って知ってる人物はそんなに居ないけどこの国がメチャメチャになるのは嫌だな…。
この国の建物はみんな綺麗で元の世界じゃ世界遺産モノだよ?
しかも綺麗なメイドさんもいらっしゃるんだよ?
それを国力が強いからって全部頂こうなんて暴君のする事だ。CIVじゃあるまいし…。
何?向こうの国の王はモンテスマなの?
進んで戦争はしないけど始めると案外乗り気なルイ14世なの?
「実はな、我が国の兵士は皆、自ら国を守りたいと申請して出来た国民による兵士なんだ。この国の周辺に魔物なんて滅多に見ないし必要性は低かったのだ…。とにかく国力の強化を怠った私の責任だ」
「よし決めた!力を貸そう!いや、貸させて下さい!」
「本当か!?」
「二言はありません!力に溺れたその愚かな国をボッコボコにしてやりましょう!」
そう言ってオレは右手を差し出した
「…ん?その風習は…。いや、何でもない。新たな英雄様からの握手だ。喜んで受けよう」
よく解らない事を言いながらロイ王は右手を差し出し、オレ達は握手握手を交わした
「…まぁ協定を結んだところで言いますが、オレ1人で潰しに行きます」
「何?単騎でか?」
「大丈夫です。人を殺した事なんて一度もないけど頑張ります」
「いや、1人じゃ無茶だろう。(やはり人を殺した事もない子だったか…。そんな子に私は…)」
どーやって攻めようかな?
非道な国の軍だし無惨な死に方しても文句は無いと思うし…。
そうだ、その前に
「相手国はその大量の軍でこの国を囲んでくると思われます。だからこの国に結界を張ります」
「おお、私は戦術には乏しいがライトは違う様だ。それに結界とな?」
言い出したのは良いが大丈夫か?
不安だなぁ…
「この国の周囲に見えない壁を創ります。出入りが可能なのはオレが許可した人間と王様とウィザたんだけです。外側から触れればその体はこの国の牢屋に飛ばされます」
「ず、随分な魔法だな…。そんな魔法誰も知らないぞ?」
「まぁ、やってみますよ」
結界だって『創造』出来るよね?
「この国の(ryよ出てこい!」
ふわぁっとした感覚が右手に来た
「…小さくないか?」
「ホントだ」
右手に出てきたエメラルド色のラインが網目状に繋がっている透明な球体がそこにあった。
「あ!」
もしやと思い魔法の時の様に解き放ってみた
「おうお?」
透明な球体はみるみる大きくなり、オレを包むほどの大きさとなった
「既にガラス細工の域だな。一体Gガラス何枚分なのだ…」
それはロイ王を包みこむどころかこの部屋を突き抜けていって見えなくなってしまった。
バタン!
ちょっとしたらウィザたんが扉を開けて慌てて来た
「な、何が起きているのですか!?」
「おお、よく戻ったな」
「お帰りウィザたん」
「ライト!貴様か!……いや、すまない。年端も無いライトを責めるなど愚かであったな…」
スッゲー剣幕…
大体予想はつくけど何があったんだろう…
「何があったのだ?」
「それが…、…王国の至るところに魔法反応が出ています。民は気付いていませんが、国のちょっと先の所まで強力な魔法反応が埋め尽くしています」
「ははは、そりゃいい!」
「良い訳無いでしょう!相手国は我々を一瞬で吹き飛ばす力がある事の証明をしているに違いありません!」
「まぁ落ち着け」
(省略します)
あれから数日経って『あの国』の大使や兵が何人か牢屋に飛ばされたのを確認した。
直ちに尋問…いや、お話をする為にオレはロイ王につられて牢屋へ行った
「…くそ、どうなってんだいったい!」
「…だ、誰か来たぞ!?」
俺が捕まっていた牢屋のとなりには2人程の軽い武装をした人がいた
「くそ!ここから出せ!お前達は我らの国に恥をかかせた。今なら許して貰えるように王へ言ってやるぞ!」
何を抜かすか
「この世界にまともな通信手段がある訳無いだろ?ハッタリなんてかまして何になる?」
「ライトの言う通りだな」
「同じく」
「へへ、噂の魔法王国にも無い通信魔法があるんだよなこれが」
…そうか、科学が無くても魔法があったよね
「おい、お前は国に連絡を頼む」
「ああ」
「ううむ、参ったのう」
ありゃ、詰んだ?
いや、どのみち戦うんだし大丈夫かな。
こいつら小物臭が凄いし
「あ、あれ?魔法が使えないぞ?」
「何だと!?」
「やはりアレか?」
「はい、恐らくライト殿の特大魔法の影響でしょう。あまり信じられませんが」
「全く、大した奴なんてレベルではないな」
やっぱあの魔法?
融通がきくね
「さて、捕まった以上は有利な条件が揃うまで出す事は出来まい」
「くそ、何から話せってんだ」
ありゃ、すぐに口を割るとは愛国心が足りないな…
「物分かりが良いな。では前提として、お前達は本当にこの国へ攻めるつもりなのか?」
「当たり前だ。奪える所はガンガン奪って領地も技術も金も奴隷も増やしていく。こうして我々の国は大きくなっていった」
うへぇぇぇ。こりゃ不満とかヤバいだろうなぁ…。その内反乱とか離反とか起こりそう…。
だけど…
「可哀想にね。そんな超大国もオレみたいなちんちくりんに滅亡させられるんだもんね」
「ら、ライト!?」
「へん!冗談はもう少し大きくなってからにしな嬢ちゃん!」
イラッ☆
「あ゛!?こっちはテメェ等処かこんな世界なんぞ一瞬で吹き飛ばす力があるんだぞ!!小物の分際でエラソーな口きいてんじゃねえよカスが!!」
「「(なんかいつもより余計にグレた!?)」」
そう言ってオレは両手に全ての破壊魔法を集結させた
バチチチチ!
ブオォォォ!
シュォォォ!
ファイアストーム級のファイアボール
ブリザード級のアイスジャベリン
片手で扱える様にしたライトニングテンペスト
火、氷、雷の三大魔法はもはやトライアタックどころの威力ではないだろう
「す、凄い威圧感のする魔法だ…」
「な、なんだよそれ!?サウシアの魔法使いはそんなヤバそうな魔法を平気で使えるのかよ!?」
「ああ、当たり前だ」
「ちょっとロイ様!?(手にあんな感じのエフェクトを宿らせるくらい誰も出来る。だがあれは…)」
「どっちから消えたい?」
ちょっとオーバーな気もするけど糞みたいな国の大使や兵はみんな糞って事でこんな脅し方でもいいよね?
「…あの、ライト殿?多分その魔法はこんな所で使うと大変な事になるから辞めて頂きたいのですが…」
それもそうだな…
オレは手の中の魔法を封じ込めた
「じゃあこれはどうかな」
・・・・・・・・・・・・
まぁ、ドレモラさんを2体も召喚したらビビるわな
牢屋の2人は気絶してしまった
「…はぁ、完全に宣戦布告を受け取ってしまったな」
「スミマセン…」
ま、まぁこれで心おきなく戦える…かな?
「あ、サウシアってアレありますか?」
「アレ?」
鬼畜の俺はとんでもない事を思いついた
「武器を造る所ですよ」
「ああ、それならいくらかあるぞ?」
「…ふふふ、面白い武器を造ってみせます」
「面白いって…。そんなんで勝てるのか?」
「もちろん」
そんなこんなでオレはロイ王にその場所まで連れていってもらった
…でも案内って王様のする事じゃないよね?
「(ただでさえとんでもない事をやってのけるライトだ。どんな武器か楽しみだな…)」
「流石というか平和というか…」
「…鉄を原石から精製して日用品を造る為の施設だ。そもそも武器なんて短剣などしか造らん。数少ない民営兵の分しか剣など造ってないからな…」
「ま、まぁ切れるモノが造れる施設と砥石さえあればいいんですよ…」
本当に小さい施設だった
しかも聞けば国の施設ではなく個人の施設だとか
「まさか自分の鍛冶屋に王自ら来て下さるとは思いませんでした。王の役に立てるのならこのラミスも心残りなどなくなりましょう」
お、オーバーな…
それにラミスさんか…。いかにも鍛冶屋な名前だね
「ふむ、ではラミスにはこのライトという娘の要望を叶えてもらいたい」
「…承知しました」
可哀想だな…。オレみたいな見た目の女の子に命令されるなんて…
いや、命令とかはしないけどさ?
「あの、王様!」
「なんだ?」
「えっと…。ちょっとの間はラミスさんの所に居させてもらえませんか?」
「…?何故だ?」
「いやぁ、この国はナメられてるみたいなので…」
「なるほど。正式な国軍を創らせるつもりなのだな?」
「はい。戦うかは別として抑止力としては…」
「致し方あるまい。なるべく速く国軍の建物みたいなのを建てておく。それまでにラミスには武器の調達を頼もうか」
おお、通じたみたいだね
「武器…ですか?解りました。なんとか揃えましょう!」
「頼んだぞ。では、後はライトに任せるとしよう。我々は我々の仕事をするからもう行くぞ」
そういってロイ王は何処かへ行ってしまった
「えっと…ラミスさん。これからしばらくお世話になりますね」
社交辞令だね
「宜しくお願いしますライト様」
「そ、そんなにかしこまらなくても…。もっとソフトに出来ませんか?」
「しかし格上の方には敬語を使うのが世の中のしきたりですから…」
「オレは貴族でも公爵でも何でもないから大丈夫だよ!」
オレも敬語じゃなくなったしラミスさんも普通に喋ってくれるかな?
「貴族の方ではない…と。それなら過度な敬語はよくないですね…。以後改めます」
「よ、よろしく…」
「ああ、よろしくなライト」
そしてオレ逹はラミスさんの家に入った
「力の制御及び力の書物の配置、選ばれし仮の英雄を選別する小さな思念体5体の配置を完了しました」
「そうか、つまりこの世界は久々の『観測地』になるのだな…」
「しかしこれは拓海様の願いなのでは?」
「…アイツの願いはなるべく叶えろとは言ったが世界を狂わす事はなかろうに」
「ぬるま湯に浸っては成長などしないのでは?」
「…まぁそれもそうだな」
「…ところでライトの様子はどうだった?」
「拓海様と大差はありません。ライト様も私をオッチャンと呼びます」
「アイツ等…。揃いも揃って『渋さ』が解らない低能だったか…」
「…一発かましておきました」
「…ああ、馬鹿には力で解らせるしかないからな。どんどんやれ」
「分かりました。では、観察を続けます」
「任せたぞ」