シェリルさん救出作戦
今回はなかなフラグが建つ予定です
あれから10日が経つがシェリルさんは目を覚まさなかった
脈はあるようなので死んではいないようだが油断は禁物だ
何故かというと国中の薬では効果がなかったからだ
こんなのインフルエンザどころの騒ぎではない
そしてオレはロイ王に呼び出しされた
「ライトよ。シェリルの病気がわかった」
嫌な予感を抱きながらオレは話を聞いた
「ネイム病と言われる軽い病気だ」
ホッとしたのはオレだけではなくそれを知った時のロイ王もだろう
て言うかネイム病ってなんだ?
「だがな、こいつは軽い病気のわりに効果時間がとても長く、薬は希少な上に低確率で感染するのだ」
めんどくさそうな病気だ
「そこで、だ。ライトにはその薬を作る材料を持ってきて欲しいのだ」
「それは何処に?」
「場所は黒陽が案内する。日帰りは出来るであろうから明日にでも出発してくれ」
「(え?俺も行くの?)」
「わかりました」
とまぁこんな事があった訳でして、今はダークSUNに案内されてる真っ最中だ
「…なんで俺が」
「人助けに文句ですかダークSUN…」
「…そうではないが……他に適任はいた筈だ。…それに俺達2人があの国を空かしていいのか?」
た、確かに…
「…まぁいい、早く済ませて帰ればいいからな。…見えてきたぞ」
見えてきた?
「どこ?」
一面砂の世界に岩でもあればそれは目立つ
しかし辺りには洞窟どころか岩すら無い
「…すぐそこだ」
もう一度辺りを見回したが何もない
「もう、わかんないよ…」
「…そうか、少し下がってろ」
ダークSUNはオレの肩を後ろへ押すと、ちょっと高く飛び上がり風を起こした
「おおお〜」
スタッと形崩さず着地したダークSUNの後ろ姿は男のオレでも惚れ惚れするものだった
「…ほら、見てみろ」
「…ん?これって…」
ダークSUNの指差す先にあったのは何処かの地下へ通じるハッチだった
「…ってまさか、ここって遺跡!?」
「…冒険者と名乗るだけはあるな」
微妙な誉め言葉ありがとうございます…
ってもう入ってるし…
「ま、まってよぉ〜」
「(…珍しい反応だな。面白い)」
という訳でオレ達は謎の遺跡に入ったのでした
―?????兼謎の遺跡
「…随分と便利な腕輪だな」
「いいでしょ〜♪」
ダークSUNはオレが身に付けている光を帯びた腕輪『ライトリング』を見てそう言った
こいつは暗所では本当に便利で、夜道だろうが暗闇だろうがわりと遠くまで見渡せるくらいの明かりを出してくれるシロモノだ
ちなみに光量は腕輪の端に付いているダイヤルで調整出来るので某巨大遊園地やライヴに持っていっても程よい光量で大活躍間違いなし!だ
…まぁこの世界にキャラパレードの見れる遊園地やみんな揃って腕を振るようなライヴがある訳ないんだがな…
ちなみにこのライトリングは灯明の魔法だと目潰しを喰らうからという理由で創っ…あれ?手に入れ…あ…れ?
よくわからんが持ってたのだ!わはははは!
…うーん?
なんかの記憶障害かなぁ
「…どうした、ボーっとして」
「…え?いや…あの…うん。なんでもない…」
「…?…そうか(様子が変だな)」
しばらく広い通路を歩いていたら大きな空間に出た
そしてそこには2つの像があった
「…………」
なんだかカッコいいポーズをしている男の像と女の子の像だった
右が男、左が女の子だ
「…この女の子の像、なんだか悲しそうな顔をしてるね」
「…ああ、そうだな」
ダークSUNはそっけなく答えた
「像に興味は無し、ですか…」
まぁオレも像に興味はないが、初めて来た異世界の遺跡の像だ
『オレの冒険はここから始まった!』的な思い出になるだろうししっかり頭に残しておこう
「…ん?」
像の辺りを見回してオレの目に何かが映った
なんだろうと思って近付いてみたらそこには大きな箱があった
「ねぇダークSUN、この中には何が入ってると思う?」
「…無闇に触るな、罠だったらどうする」
まだ触ってないよ!ぷんすか!
…柄にもないね
まだ触ってない…まだ触ってないが…
「冒険者なら見つけた箱は何でも開ける。例えそれが罠であっても!」
だってほら、人食い箱だと解ってても僅かな期待に賭けて開けちゃう心理ってあるじゃん?
「っ馬鹿!よせ!」
「おーぷんじゃい!」
ぱかっ
シュゥゥゥー!
「な、なんだ!?」
「はぁ…こいつは馬鹿だ…。紛れもない馬鹿だ…」
突然箱から白い煙が出てきてオレの周りに集まってきた
そこ!呆れない!
…ダークSUNに言ってるのっ!
…ってあれ?これって本当にヤバイかも…
「だ、ダークSUN…!動…けない…!」
オレの体は金縛りにでもあったかのように動かなかった
「まずいな…待ってろ!(…こ、これは…。煙がライトに取り込まれている…のか?)」
「…ううう」
段々視界が悪くなってきたよう…な…
ねむ…く……な…てきた…よ……な……
・・・・・・・・・・・・
―サウシア王宮
―(ライトの夢の中)
『みんな、みんなどうして?』
…?なんだ?
『ねぇ、どうしてなの?』
何を言ってるんだ?
『答えられない?』
いやいや、何ぞ?
『そうよね…だってみんな…』
おう?嫌な予感が
『みんないなくなっちゃったんだもんね!あはははは!あはははは!あはははは!』
…この子はどうかしちゃったのか?
『あは、あなたも治して欲しいの?良いよ治してあげる』
こ、こっちくんな!
満面の笑みでこっちくんな!
小さい子は大好きだが君の場合は別だ。顔が病んでるもん!
『遠慮しないで?すぐに楽になるから♪』
わしは絶対にいやだぞ!こんなおっかない女の子に遠慮できない訳がない!わしは家に帰るぞ!
『…何処へ行くの?』
やだやだやだ!
動けないのやだ!
ついさっきトラウマになったばっかりなんだぞ!?
もう勘弁してくれ!
『…ふぅん、私の治療を受けたがらない変わった人もいるんだね』
君もなかなか変わってるよねっ♪
あ、ごめんなさいっ!
ああ、恐怖でテンションがおかしいな…
『でもだぁめ♪あなたからは疫病のようなものを感じるわ。きちんと治さないと』
嘘おっしゃい
おっしゃい!おっしゃい!
治されますか?…いいえ
『怖がらないで、すぐ終わるから♪』
うわーん!無限ループイベントかよぉぉぉ!
事実2択実質1択の場合によっては酷いイベだよぉぉ…。ふぇーん!
『さ、始めるよ♪』
―サウシア王宮VIP部屋
「…あばばばば」
「ライト様?(さっきからうなされてばっかり…)」
「…おじょぼぼぼぼ」
「ら、ライト…様?(流石にまずいんじゃ…)」
「……おっしゃい…おっしゃい…」
「…(それでも可愛いです、ライトちゃん♪)」
「…ぶっ飛べ〜、なのです〜☆」
「…!(ぐはぁ!!)」
「…僕に…僕に守る力があれば…」
「…?」
「…ほら、見てくれよ俺の両足…。こんなんじゃ立つことすらできねぇんだ…。立つことすらな…」
「…?(いい感じだったのに〜。もう起こしちゃいましょうか…)」
スルスル(何かが脱げる音)
「…えええい、おっさんはいいっ!おにゃのこを映せっ!…すぅ…」
クンクン
「…拓海・ヴィ・星光がm」
ちょん(敏感な何かの音)
「みゃああああ!?」
…あああ…何か駆け抜けてきそうな…変な…かんじ
「はぁ…はぁ…」
「…起きました?」
…ん?この声って…
「…んぁ…」
目を開けたらそこには青い髪の美人さんがにっこりと笑っていた
「よい目覚めですね、ライト様♪」
「シェリルさん!」
がばっ
「あらあら、ライト様はいつの間に甘えん坊さんになったのですか?」
俺は自然とシェリルさんに抱き着いていた
1ヶ月と数週間の間、寝るとき以外のほとんどをシェリルさんと過ごした
「だ、だって…」
この世界でやっとできた、わりと心を許せる人だ
その人が今、元気で目の前にいる
「よしよし、いい子です」
「うん…」
年甲斐もなく情けない…
でもたまには人に甘えることを許してほしい
「(はぁ〜!幸せな時間でしたぁ〜♪)」
「ご、ごめんね?急に抱き着いちゃって…」
しかしまぁ…うん
良い香りでした…ごちそうさまです
「いえいえ〜♪こちらこそありがとうございましたぁ〜♪」
「…?」
ガチャ
オレとシェリルさんがそんなやりとりをしているとダークSUNが部屋に入ってきた
「…生きてはいるようだな」
な、なんですかその物言いは!
オレが死ぬとでも?
また死ぬとでも?
でもオレが生きてるのってダークSUNのお陰だからお礼は言わないとね
「お陰様で生きてるよ。ありがとう、ダークSUN」
「…あ、ああ」
あれ?様子が変だな
「どうかしたの?」
「…どうもしない」
…?
「ライト様、黒陽様はライト様を心配していたのですよ♪」
「えっ?そうなの?」
なんだか凄く以外だ
何?ツンデレ?
クール野郎だからこれはクーデレ?
「大丈夫だ、間違っても心配はしていない」
ハッキリ言うなぁ…
「黒陽様、それはあんまりですよ」
「そーだよ、ちょっと酷くない?」
まぁ自業自得なのはわかってるけどさ
ちょっとだけ反発
「ふん、我が主なら呪いだろうとなんだろうとモノともしなかったぞ」
なんだかダークSUNが自慢げに話すところを見るのって初めてだよ
「黒陽様の主様ってどんな方だったのですか?」
シェリルさんがそんな事を聞くとダークSUNはいつものクールフェイスをちょっとだけ崩した
「我が主は本当にお強い方だった。デタラメな程に…。人よりも高く跳び、人よりも早く走り、人よりも早くエモノを振り、そして誰よりも敵を殲滅した。戦場でのその凄まじきお姿はまさに大嵐そのものだった」
おお…あのダークSUNがよく喋る…
本当に主って何者だよ…
「…黒陽様の力が既に大嵐だというのに、その黒陽様が主様を大嵐と…。私には見当もつきませんよ…」
「…オレもだよ」
「実際に主の力を拝見しても訳がわからない者までいるくらいだ。お前達の反応は普通とも言える」
その後は3人で色々話して時間を潰していた
ダークSUNも機嫌がよくなったのかいつもより少し口数が増えて何処か楽しそうだった
そして夕方くらいになるとオレとダークSUNはロイ王に呼び出されて王の間へ向かった
・・・・・・・・・・・・
―サウシア王宮
―王の間
「よくきたな2人とも。シェリルを救う為よく働いてくれた」
「………」
ダークSUNはいつも通りだんまりだ
一応偉い人の前なんだからさぁ…
人の事言えないけど…
「ライトも無事でなによりだった」
「はい、ありがとうございます」
「…ライトよ」
「はい…?」
どうしたのかな?
「あまり無理はするな…」
なんだか少し怒ってる?
「お前は我々に希望を与えてくれた新しい光なのだ。今回の様に無理をして倒れてもらっては我の心臓がいくらあっても足らん」
「はい…」
無理というより自業自得なんだけどね…
それを言えるほど軽い空気ではない
「今後このような事はないようにな。本当に心臓に悪い」
…心配してくれたんだね
「…ごめんなさい」
なんだか素直に謝れた
「わかればよいのだ」
…………。
ちょっとの沈黙の後、話を始めたのはダークSUNだった
「ライトだけでなく俺も呼んだ理由をお聞かせ下さいませんか?」
「おお、そうであった」
ロイ王はダークSUNの言葉でハッとしたような顔をしたあと、とんでもない事を言った
「…敵軍だ」