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敵の襲来と沈む街




さて、響さんを抜かして投稿する訳ですが…


どちらも今大変です!


響さんは季節に合わせないといけないし、ライトさんは早く序章を終わらせたい


どっちも急げ状態です…








「………ー?」


「…起きましたかライト様?」


目覚めると目の前には見惚れるような美人さんの顔があった


「…VIPメイドさん?」


「そろそろ名前で呼んで下さいよぉ〜」


「…名前、何だっけ?」


「シェリルですよぉ」


「…シェリル…さん?」


「はい♪」


…か、可愛いなぁ


「…え、えっと…オレは…その…」


「はい、気絶しているライト様を黒陽様が運んできました」


「黒陽?」


うーん、確かオレは黒陽とかいうパツギンのチャンニーとトルバったんだっけ


そんで…ん?


「負けた?」


「…そうですねぇ。気絶していたということは…。はい、そういうことになります」


ま、負けただと…?

ドラゴンスケイルの魔法は完璧だった筈…


「シェリルさん」


「はい♪」


「敗因はなんだと思う?」


「ライト様は今、無傷といっていいくらいに体に傷がありません」


「…確かに痛みとかは無いかも」


一応ドラゴンスケイルは機能してたっぽいな


「なんらかの衝撃波を喰らって気絶したのかと…」


「衝撃波…かぁ」


あの超人的な感じの黒陽なら衝撃波くらい出せそうだな…




その後しばらくVIP冥…シェリルさんと他愛ない話をしていると、ロイ王と黒陽がやって来た



「大丈夫そうだの」


「…ライト、すまなかった。子供相手に少し力を入れてしまった」


す、少し?

ガッツリ攻撃してきてた様な気がしてしょうがないんだがなぁ…


「しかし我に余裕で慈悲を与えるライトですら勝てないとはな…」


「…当たり前だ。主以外の存在に負ける訳にはいかない」


なんという忠誠心…

一体どんな主なんだよ…


「とにかく、荷台を一瞬で破壊するライト、そしてライトより更に強い黒陽。この2人がいれば今回の戦いは勝てるかもしれん」


えっ?黒陽も戦うの?


「黒陽も戦うの?」


「…ああ、この国には借りがあると我が主はよく言っていた」


黒陽より強いと想定されるその主に借りを作ったサウシアってなんなの…


「ライト様、今は無理をなさらずに…」


「う、うん…」


ああ、シェリルさんって超優しい…

本物のメイドさんってやっぱり配慮とかそういうレベル高いなぁ…


「おお、そうだライトよ」


ロイ王が話し掛けてきた


「はい、なんですか?」


「フェスティバルは楽しめたか?」


なーんだ、そんな事か


「楽しかったですよ。出店の人達は気前がいいし…」


「「(それはライト(様)が可愛いからだろう…)」」


「子供達とも仲良くなれたし…」


「そうかそうか…それはよかった」


ロイ王は本当に嬉しそうな表情を浮かべていた

まるで子供を心配していた親のように…


この人ってホントは良い人なのかな…?


いや、まだわからない

大人は表情を作るくらい余裕で出来るんだから…


「(今回のフェスティバルはライトの為に開いたのだからな…。楽しんでもらえたのならそれでいい)」








ダダダダダッ!


「ロイ様!ロイ様はこちらにいらっしゃいますか!?」


「…なんじゃ一体」


「…ん〜?」


だれだよ〜…

折角寝てたのに〜


「ってロイ様、それにウィザード様に他の方までなんで寝てるんですか!」


「…その声はコルシオンか」


コルシオン?…誰だっけ?


「はい!コルシオンで御座います!」


「…ぬぅ、まさか良からぬ事が起きているとでも言うのではあるまいな?」


「…敵軍です」


「…そうか。現在は何の刻だ」


「ちょうど頂の陽の刻で御座います」


…陽の刻?敵軍?


(※陽の刻とは太陽が見える時間帯の事を指し、頂とはそのままの意味で太陽が頂上にある事を指します。簡単に言うと正午です)


「発見場所は?」


「かの大国があるとされる北東の方角に設置された砦から発見されました。砦の兵士が双眼鏡で見つけたらしく、早くしないと砦が落ちてしまいます」


「把握した。では住民にインサンドの魔法の要請を頼む。砦にはライトを向かわせよう」


「ライト…。荷台を一瞬で破壊した者…。この子ですよね」


「そうだ。ではよいなライトよ」


「え?う、うん」


咄嗟に返事しちゃったよ

まだ頭が回らない…


「(この子だよね?あれ?この子なのかな?…不安だなぁ)」


「よし、現地ではライトに任せよう。初陣だからな。まだライトの力を詳しく知らない故、作戦を練る事が出来ぬのだ」


…もしかして俺、戦うの?

参ったなぁ…


「さて、いつでも戦えるな?」


「一応大丈夫です」


「そうか、では我に着いて来い」



そんな訳で俺はロイ王の後に着いて行った






「…着いたぞ」


「…おお〜」


ロイ王の後に着いて行った先にあったものはサウシアの街並みだった


そう、ここは宮殿のベランダ的な所だった

…宮殿にベランダっちゃないわな。…テラスかな?


「凄いものを見せてやろう」


「凄いもの?」


俺がそう返すとロイ王はフフッと笑って両手を空に掲げた


「準備はよいかー!!」


「ーーーー!」


………?

ロイ王がなんかのやり取りをしてるのは分かる

だけどそれ以外はサッパリ解らない


「では、組織プロジェクト魔法『インサンド』!!」


「ーーーーー!」「ーーーーー!」「ーーーーー!」「ーーーーー!」


「「ーーーーー!」」


遠くて聞こえないけど、国中で何かが起きてる


組織プロジェクト魔法?

国中?


まさか国民全員でなんかスッゴい魔法を出して地球砲的なものを出すのか!?


(※地球砲 世界中の気合を集結させ、地球外の何かへ向けて放出される気合ビームです。元ネタ分かる人居るかな?)


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「わっ、揺れてる!?」


「ははは、そりゃそうだ。街が変わる呪文だからな」


街が変わる…?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「街が…沈む?」


砂でできた沢山の家で構成されていた街並みは、ゆっくりだが確実に沈んでいっていた


「どうだ?凄いだろう?」


「…いや、なにがなんだか解らないです…」


「ははは、ライトといえどこのような特大魔法は知らなかっただろう(…あ、あれ?そういえばライトって特大結界魔法を1人で張っていたような…)」


「それより大丈夫なんですか?家が沈んじゃってますけど…」


「…ふむ、砂が砂に沈んでも問題は無いと思うが?」


…なんとなく解んない


「それに中身を守る形で沈むから住民も安全だ」


…取り合えず戦闘体勢が整ったのは解った


「ここまでは良し。しかし問題は他にあるのだ」


「…?」


「ライトよ。ここから北東の砦へ向かって間に合うと思うか?」


「…ちょっと厳しいですね」


「黒陽、起きてるか?」


「…もちろんです。要件も把握しました」


あ、起きてたんだ


「この男は馬よりも速く動く事が出来る。黒陽の速さなら最悪の事態が起こる前には間に合うだろう」


う、馬より速く!?

人間なのこの人?


ってオレが言えた身じゃないけど…


「…ロイ様、作戦は?」


「無い。ライトには好きにやらせてお前は見ておけ。ライトが本当にピンチになった時は助けてやれ」


「…了解しました。では行くぞライト」


ガシッ


「……?」


黒陽はオレに近付きひょいっと掴むと、そのままオレをおぶさりテラスから飛び出した


「ーーーー!?」






・・・・・・・・・・・・




「…よし、着いたぞ」


「…………」


「…着いたぞ」


「……はっ!?」


な、なんだ!?なにが起きてる!?


「…気絶してたのか」


え、えっと…砦がどうのでダークSUNがオレを掴んで…


(※ダークSUNとは黒陽の新しいあだ名みたいです)


「そ、そうだ。ここは?」


オレが辺りを見回すとそこにはダークSUNが居た


「…ロイ王のいっていた大国寄りの砦だ」


「おーい、そこに居るのは誰だー?」


ん?


「…砦の兵のようだ」


オレ達に問いかけてきた兵の人はそのままこっちへ向かってきた


「ここはもうすぐ戦場になるんだ。危ないから避難しなさ…い?」


あーーーーっ!


「お、お前はっ!?あの時の!?」


しぇんぱいだー!


「…知り合いか?」


「ダークSUNはオレが牢屋に入れられた事があるのは知ってる?」


「…知らないな」


「その時のオレの担当さんだった人だよ」


「(あ、あの時は死ぬかと思った…)」


「…ライトが大人しく牢屋で過ごしていたなんて考えられないな」


「ああ、大人しくはなかったよ。なにやらよく解らない物を沢山出してたな。あれは本当になんだったんだ?(それに何処から出したんだ?)」


「…アレとはなんだ?」


「ふふふ、サウシアの人達にはちょっと解らない物かな」


「…?それは馬鹿にしてるのか?」


そんな怖い顔しないでよしぇんぱい…

それに説明書を渡したのに理解出来なかったのはしぇんぱいだよ?


…ま、まぁ理解出来たらそれはそれで凄いけど


「あれは魔法とは異なる進化を遂げた古代文明の遺物なんだ」


「…なるほど。ライトは確か冒険者だったな。確かに古代の遺物は俺にも分からない。すまなかったな」


「こっちもごめんね。サウシアの人達が悪いみたいに言っちゃって」


「いいさいいさ。古代の遺物なんて大層なもんは王様や上の人以外じゃ調べようともしないからな」


「…水を差すようで悪いが、向こうから既に土煙が上がってるぞ」


「「えっ?」」


ダークSUNに言われてオレとしぇんぱいはダークSUNの指差す方向を見た


…凄い数だ

いや、数はまだ分からないけど土煙が横に広がってるのを見る限りじゃかなりの軍隊だ

単に全ての兵列を横に伸ばしただけなら話は変わってくるが、それでも200人は軽く居るんじゃないかな


「お、おい…いくらライト嬢ちゃんでもこれは…。なぁ黒ずくめ」


(黒ずくめ=黒陽)


「…いや、俺だけで十分だ」


サラッと言うねぇ

…でもダークSUNって滅茶苦茶強いし本当になんとか…。いや、どう考えても無理でしょ

やっぱ無双するのは主人公じゃなくちゃ!


別にオレは主人公って訳じゃないけどさ。能力ならどんな漫画の主人公より便利だと思うよ?


「ダークSUNは見てる役ね」


「…わかった」


「お、おいおい…。いくら魔法が強いからってあんな大群相手じゃ流石に…」


「大丈夫。みんなには黙ってたけど、オレはまだまだ本気を出してなかったんだ。本気を出せばダークSUNだって木偶と同じだよ」


「…ふん」


「…なるほど、よく解らないがこの黒ずくめも中々な手練れだということは解った。だが…」


「…やめておけ。…この娘には先方を任せて俺とお前達兵士はこの拠点を死守すればいい。…ライトがピンチになった時にだけサポートは許される。…これはお前達の王の令だ」


「…王様の命令とあれば。っよーしみんな!配置に着け!俺達の堅さを敵に思い知らせてやるんだ!」


「「おおおおおお!!」」


うんうん、なんだかこういう熱い展開って好きだな

男ならみんな正義に憧れるもんだよね

やってる事が善悪に限らず自分が正義と思った事をする。素晴らしいね


「…一度誓った以上は醜い様を晒すなよ?」


「たとえ子供っぽい容姿であっても容赦はしないんだね…」


「…俺は老若男女問わず平等に扱う。世間が平等平等言うのだから仕方ない」


…あ、あんたどこの世界の人なんだよ…

滅茶苦茶オレの元居たの世界のひねくれ者みたいな台詞じゃん


「ライトの嬢ちゃん。本当に殺れるんだな?生半可な覚悟って訳じゃねえよな?」


「…………」


そうか、オレは人を殺すことになるのか…


「ねえ、しぇんぱい」


「なんだ?」


「コレ、持ってて」


そういうとオレはしぇんぱいにチートブロンズナイフを渡した


「……?」


「武器を持ってなくてもオレは勝てる…。だから持ってて」


そう告げるとオレは土煙の出てる方向へ走った


「お、おい!まさか武器も持たずに魔法だけで勝とうなんて…」


「そのナイフ凄く切れるから間違っても体に当てないでね」



そしてライトは後ろを振り返らずに走っていった






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