次へ >>  更新
1/50

プロローグ

さぁ、いよいよ始まりましたね


遂に作者も多作同時進行という無茶振りモードへと突入するわけです…



プロローグだけは多少修正を入れましたが、2話以降は当時のままで変な所だらけなので気を付けてくださいね…

人々はこの世界をアルスフィガーデンと呼ぶ


アルスフィガーデンは

「アルスフィ」と「ガーデン」と言う単語に分ける事が出来る


アルスフィは光

ガーデンは庭や園に近い意味を持つ


つまりこの世界は


『光の庭』


とでも言うのだろう…



それはそうとたった今この世界に飛ばされた1人の青年が居る

青年の名は『星光拓海(せいこうたくみ)』というこの世界じゃ珍しい名前だ

まず言語が違う


しかしこれには訳があったのだ…







俺は星光拓海

しがないニートだ

いや、働くニートだからフリーターかな?

どっちでもいいや


もう俺は三十路前

親は学生の時に死んだ。2人共…


生命保険に入っていた親は多額のお金を残して俺の手の届かない所へ行ってしまった…。


泣いてなんていられない

俺は保険にあまり頼らずバイトをしながら生活費だけ月1万ずつ使おうと思っていた。


しかしいきなり親戚面してやって来た奴(今まで会った事の無い叔母)に

「拓海君にはこんな大金まだ預けられないわ。私が預かるわ」


と言い許可なく勝手に持っていった。


月1万ずつ口座に振り込まれるので当初の予定した(ギリギリの)生活だから問題無い、と思っていた俺が馬鹿だった


ある日叔母がご機嫌取りに俺んちに来た際に落とした通帳を見て俺は驚愕した。


預金高の減りが早い


俺が子供だと思って誤魔化せるとでも思ったのだろう。


俺は叔母にこの事を聞いた。

そしたら…


「しらなければ良かったのに…。もうアンタの所へは金は来ないわ。この金は私が使うのよ。フヒヒ!それじゃあね♪」


何故か後を追えなかった

そう言えば叔母の持ってきたまんじゅうを食べるといつも眠くなる


目が覚めた時には既に叔母は居なくなっていた。


最初は訴えようとした。

でも無理だと分かった。


訴えても奴は弁護士を雇うだろう。

…俺にはそんな金は無い…。


銀行に金を借りようともした。

でも学生に貸せる金額なんてたかが知れてる。

借金の利益が重くのし掛かる



俺は絶望した。

こんな俺が道を外すのも時間の問題だった。



学校でも急に人が変わった様に冷たくなった俺をみんなは心配してくれた。

しかし何も変わらない、進展しない…

様々な要因で俺の周りに人は居なくなった。



高校、大学と卒業して就職もした。


しかしバイトはともかく会社は人付き合いは大事な要素。


俺に会社なんて無理だった。

会社のメンバーに嫌われ、退職に追い込まれた。

……いや、俺の自己中心的な被害妄想かもしれないが、俺が辞める要因にはなっていたのは確かだろう。


俺はそれから働くニートになった。

バイトを掛け持ちにして一日中働きまくった。

道の外れた娯楽(二次元)に手を伸ばしても、沢山のバイトと究極の節約術を駆使し、お金は次第に貯まっていった。


そのお金は弁護士を雇うのに使う


全てはあの叔母を倒す為、ムショの臭い飯を食わせる為、『復讐の為』


もはや保険金などどうでも良かった。

俺の心は『復讐』の闇に染まっていた。


それから幾年の時間が流れた




『もう泣かない』


ずっと昔に決めたのに。

ずっと昔から守って来たのに…


その日は涙を流した


遂に、遂に弁護士を雇う金がまとまったのだ。

その時の涙はきっと嬉しい涙だったに違いない。


しかしそんな俺に悲劇が起きた。


『叔母と音信不通になった』


相手の場所が特定しなければ裁判も糞も無い…。


『もう叔母を倒す事は出来ない』


そう悟った瞬間、嬉し涙が悔し涙に変わった。

働き詰めの俺に他の対策を練る知識は無かった。


最初から作戦なども無く、ただ単に金を集めて弁護士を雇う事しか頭に無かった。

復讐の為にしてきた事が勉強の時間を削っていたのがいけなかった。



もうどうでも良くなった。

あれだけ執着していた二次元の嫁さん達も…


なにもかも…



俺は多少の服と下着と少量の機械類以外の全て(土地も家も)を売り払い、行き着く所まで行く事にした。


もう誰にも俺の財産は渡さない!






あれから何ヵ月経ったのだろうか


家の中になんか凄いのがあったらしく、かなりの金額を持っていた。

そこに節約術が加わればいくらか持つ。


しかしそれもそろそろ終わりの様だ。

どうしようか…



気が付いたら海に居た。


「ああ、ここが…」


断崖絶壁…

目の前に広がる大海原…


これで俺も…帰れる…



体が前に倒れる。

俺は痛みを感じる前に意識を失った。


なにもかもありがとう

くそったれのゴッドさん


最後に俺は笑っていたと思う…











・・・・・・・・・・・・





「………ろ」


………?なんだ?俺は死んだ筈



「起…ろ」


起きろ?俺は寝てるのか?

スッと俺は起き上がる


「やっと起きたか」


「なんだお前、俺は死んだ筈だ!なんで生きている!」


起きたばっかなのに目の前の誰かに大声を出せる程俺は動揺していた。


「死んだ?ああ、あれか…」


「………?」


「手短に話そう。お前はこれから別の世界へ行く。そこで生きる為の力もやろう」


「え?…え?」


何がなんだか…


「ふっ、異世界を知る者など神じゃない限り存在しないのだがな…。どういう風の吹き回しか最高神様がそうしろと言うのでな。」


よく分からんが…


「つまり俺を異世界へ飛ばして力もくれるんだな?」

「そうだ」


だが…


「おあいにく様、俺はもう死にたいんだ。疲れたんだ。もう、嫌なんだ…。人と、世界と関わるなんて…」


「それなら強制的にやらせてもらう」


「はっ?」


人の意思を無視とか神様のする事か


「お前は神を便利屋と勘違いしてないか?」


「どういう事だ?」


「神だって人となんら変わりのない思考を持った存在だ。人と違う所と言ったら良心しか無い所くらいだ」


「良心、ねぇ…」


「なんだ、信じられないか?」


「まぁね」


「ならば説明しよう。仮に神が悪しき心を持ったとしよう。しかし悪しき心を持った瞬間己の力を失い、やがて消滅するのだ」


「ふーん」


「最高神様は気まぐれの良心でお前を長生きさせようと言うのだ。だから我はお前を長生きさせる手助けをしよう」


「拒否権は?」


「無い」


どうやら拒否権は無いようだ。



「…抵抗の感情が消えたな。では早速、転移の準備だ」


そう言って目の前の神は剣を構えて俺に振り落としてきた。


「殺す気になってくれたか…」


やっと、泣かなくていい…疲れなくていい…

楽に…なれるんだな…


すぱーん



…ん?なんだ?

なんだか体が軽いぞ?


ってオレ…


「「…生きてる?」」


「当たり前だ。この剣はお前の心の正と負の姿を分け、力を与える物」


「「はい?」」


「私から見て左のお前が正の姿、そして右のお前が負の姿だ」


「「へぇ〜」」


俺はまっ2つになったのではなく、2人になっているらしい。


とりあえず周りを見てみた


お?右に誰か居る


「…なんちゅうイケメンだ」

「可愛い…」


最初の高い声が俺

イケメンが後


高い声?可愛い?


オレの心を察した様に、目の前に巨大な鏡が出てきた。


「え?え?えぇぇぇ!?」「おぉぉぉぉぉ!!」


可愛い声と元オレの声がこだまする


「なんで女になってんだよ!」

「イケメンだ!やりー!」

そう、なんとオレは女になっていた。


「心の姿を表した結果だ。正のお前は元々の正の心がキレイだった今の姿に。負のお前は復讐に満ちたそれも純粋でまっすぐな復讐心だった上、臆病で女々しいか弱き心だったから今の姿になった」


「め、女々しい…だと?」


そ、そんなはずは…


「心からイケメンだったのか、俺!」


くそ!なんでオレが!

…うぬぬぅ


「さて、能力はもう分かってるだろう?使いこなせば新たな力も生まれる。力をどのように使うかはお前達次第だ。平和利用するもよし、悪事に使うもよしだ」


「ああ、分かった」


オレではなく俺だけが返事をした


…悪事になど使わないさ、この力

自分の為だけに使うんだ。


…その時、死にたいという感情から異世界を見てみたいという感情へ変わったのだ。

恐らく働く為に封じられてきた知識欲からも来てるのだろう。



俺が手に入れた力は

『どんな物であろうと創造できる能力』

『見た物、記憶にある物を複製する能力』

『残像を使える能力』


の3つだ

最初の能力は奥が深そうだ。

複製も便利だろ絶対

そして残像かぁ。カッコいいなぁ


「正のお前はとても優しい心で染まっていた。よって正のお前は弱き者を助ける旅をするそうだ。負のお前はどうする」


俺は…


「自由に生きるさ」


「そうか、では最後に言っておく…」


「お前達は相対する存在を忘れる。つまり正のお前は負のお前を、負のお前は正のお前を忘れる」


「どうしてそんな事を?」

金髪のイケメンが聞いた


「その方がお前達にとっても良い筈だ。…もし天文学的な確立で出会ったとしてもお互いを思い出す事はあるまい」


「まぁ俺はチート級の能力持ちみたいだし別に良いけどな。女って事以外はな」


金髪の美少女、オレがそう言った


「最後に言葉でも交わしとくと言い。俺はロマンチックな事など信じないのだが、もしかするとその言葉は脳裏に焼き付き、お前達を引き寄せるかもしれないな」


そう言うと神様さんは両端に光のゲートを作った



「可愛い拓海、いつかまた!」


「ふっ、イケメンなんかと会いたくねーよ、じゃあな色ボケたくみっ!」


「…あ、そうだコレやるよ」

俺は早速力を使い、『翻薬(ほんやく)』を渡した


「なんぞコレ」


「コレを飲むと知らない言語も理解可能!全ての言語が話せるぞ」


「おおお!いわゆるアレだな」


「そうだ」


「じゃあ俺はコレを」


そういってイケメンは星形のネックレスを渡してきた


「コレは俺の祈りが掛かってる。大事にしろよ」


俺も持ってるっつーの

でもちょっと嬉しいかな



「「…それじゃあ、また!」」

「イケメン野郎!」「お姫様!」


2人はそれぞれのゲートへ歩きだす


そして2人の拓海は言った


「「あ、じゃあな渋いおっさん!」」


「……おっさんじゃねぇし…まだお兄さんだし……(小声)」


と神様さんはいじけた口調で言ったとか…




これからは俺の新しい人生が始まる


もう1人の奴はどんな能力を手に入れたか知らないが、きっと勇者にでもなるんだろう…。あの顔立ちだからな…。


あれ?もう1人の奴って誰だっけ…


体が光に満たされる中、何かが抜けた気がした。






・・・・・・・・・・・・



2人がゲートを通った後、神はこう呟いた


「イケメンは0、ロリは73か…」


ゲートに写し出される数字を見てそう言った。


「しかし、正の優しき心と負の弱き心が同じ体に存在すると死にたくなるとは…」


「2つの傷付いた心…か」


「人間の中にはあれだけ綺麗な心さえも破壊する程に、醜く腐った輩が存在するのか…」


色々呟いた後、神はその空間から姿を消した







あ、この作品はいわゆる「次回作」とやらです。

こっちも欲望をぶつけていくので主人公はロリです。(当たり前!)

次へ >>目次  更新