サービス開始
Side アリサ
さあ、今日は待ちに待ったDead and Alive Online!、通称『ダァ!』のサービス開始日です。ちなみにサービス初日の混雑回避とサーバー負担軽減の為のログイン制限はありますが、私たちには『運営会社社長のお爺ちゃん』という最強のコネがあるので開始時刻の午前十時からプレイできます。
ただいまの時間は午前九時。あと一時間でログイン可能になるのですが……
「……スー……スー……」
兄さんはぐっすり眠っていますね。昨夜、兄さんはキャラクターを作成したあと、今日に備えてすぐに床についたはずですが……寝すぎじゃないですかね? 昨夜と表現しましたが、私が部屋をあとにしたのは確か十八時頃でしたし……。
十九時に寝たとしても十四時間……寝すぎですね。普段ならじっくりと兄さんの寝顔を堪能しているところですが、今日は兄さんに手取り足取りじっくりとレクチャーする絶好の機会なので逃す訳にもいきませんし。
「兄さん、朝ですよ。起きて下さい。兄さん……」
むぅ、起きません。
「兄さん、起きないとイタズラしちゃいますよ……」
眠りが浅い時ならこれで起きるのですが……起きないということは眠りが深いみたいですね。
………………これはもしかしてチャンスでしょうか? ちょっと準備をして…………ゴソゴソ
Side リン
ゴソゴソ
「……もう、少しで…………」
「……ん? もう朝か?」
「あ」
すぐ近くで物音がするので、目を覚ますと、目と鼻の先にはリサの顔がある。
それ自体は大した問題ではないのだが、リサの服装がおかしい。
「Yシャツ一枚で何をしているんだ?」
「おはようございます、兄さん。いい朝でふにぇ」
格好もおかしいが行動もおかしいので、何をしているか問いかる。だが、リサはそれに聞き流そうとしたのでお仕置きをする。
「俺の服を脱がせて何をするつもりだったんだ?」
明らかにスルーできることじゃないんだから、無駄な抵抗するなよ。
「う~、既成事実を捏造しようとしてました」
「はぁ……、またか。そんな赤い染みのついたタオルまで用意して、無駄に手の込んだ真似を……。
だいたい何ではだかYシャツなんだよ……」
「だって、兄さん好きでしょ?」
うん、まぁ、好きだけどね。黒ストニーソ装備なのも高ポイントだし………………ん?
「何で知ってるんだよ!?」
「兄さんのことなら何でも知りたくなるのが妹心というものです! と言いますか、タンスの最下段の下と床の隙間は意外とメジャーですよ」
「自信満々にトレジャーハント宣言した上に隠し場所にダメ出しすんな!
…………って、まてよ、もしかして時折ラインナップが変わってたのはお前の仕業か?」
時々、一部なくなったり、逆に増えたりしてたのは、なくなっているだけならともかく、増えてもいたから父さんがやったとばかり思ってたが……。ちなみになくなってたのは巨乳もので、増えていたのは姉・妹もの。
「もちろんです。巨乳は死すべしですし、妹は至高です…………が妥協して姉は許します。
兄さんはもう少し妹ものを増やすべきです!」
「どういう妥協の仕方だよ……、あとキレ気味にラインナップのダメ出しすんな。
まったく、朝から疲れる。もういいから着替えるぞ」
「はい」
いくつか驚愕の事実が判明したが、これ以上ツッコミで疲れるのは嫌なので、気にしないことにして、ベッドから下りて着替え始める。
朝からこれだけ疲れると、昨日早寝した意味がほとんどないぞ。それに巨乳死すべしって、リサのもそれほど小さい訳じゃないだろうに……。
「……そういや今何時だ?」
サービス開始時間間際になって慌てたくないので、隣で着替えているリサに時間を聞く。
「九時四十分くらいですね」
確か十時からだから…………
「あと二十分じゃねぇか!? もう飯食う時間も微妙……」
「はい、兄さん、おむすびです。あと洗面の準備もできてます」
既に時間間際な事実に焦るも、リサがやたらと完璧な用意をしているので大丈夫なようだ。
「ありがとう。
でも、さっきの仕込みといい、やけに準備がいいな。起こしてもらって文句を言える立場じゃないのはわかっているが、それなら早めに起こしてくれと思うのは贅沢か?」
「贅沢です。だって私、九時頃には一度きちんと起こしましたもん」
「そうか、それはすまん」
「いえいえ」
はぁ、やっぱりリサには微妙に頭が上がらんな。
サブタイのサービス開始とはゲームのではなく、リサちゃんのサービス開始です
ゲームの方は次です