プロローグ2 尋問
「つまり、あれか。
どうしても俺と一緒にしたくて、あわよくば一緒に寝たかったから爺さんにおねだりしてわざわざダブルベッド仕様のDDDを作ってもらった、ってことか?」
「はい。……ぅぅ、ほっぺが痛いです」
リサを尋問して吐かせたところ、このような理由だったらしい。
「このブラコンが……」
「むっ、ブラコンの何がいけないのですか?」
まぁ、いつものことと言えばいつものことか。
「まったく爺さんもリサには甘い。わざわざこんなのを作るとか……」
「あ、販売が決まっていて意外と好評らしいですよ。二次ロット以降の予約も始まっているのですが、恋人や夫婦でしたい方なんかに需要があるみたいで」
俺とリサがDDDとDead and Alive Onlineを手に入れたコネというのは、これらを開発した会社の社長をしている俺らの爺さんのことだ。
「VRMMOってそんなに女性人気があるのか? ウィンドウオンラインゲームだと女性キャラは高確率でネカマって呼ばれる男だけど」
VRゲームがある現代でも昔からある画面上でやるゲームというのは未だに人気がある。何でもVRゲームは全身運動みたいなものらしく、古くからいるタイプのゲーマーにとってはあまり楽しくないんだとか。
「結構ありますよ。VR内だといくら食べても太りませんからね」
「ああ、なるほど…………ってそれならVRクッキングとかがあるだろ?」
「アレって自分でレシピを開発するのは手間ですし実際の料理とは別のセンスが必要なんですよ。それに既存の料理ソフトは結構高いですし。
VRMMOならその料金は運営会社持ちですし、実在店との宣伝コラボがあったりして運営会社もあまり損がありませんから、メニューも豊富ですし」
「へぇー、そうなんだ」
「ところで兄さん、そろそろキャラ作成を始めませんか? サービス開始は明日からですが、キャラ作成と登録はすぐにでもできますから」
「ああ、そうだな……」
う~ん、キャラ作成や最初のうちはβ経験のあるリサにアドバイスをもらいながらやる予定だったんだが……
「リサ、勝手なことをしたお仕置きで、キャラ作成は俺一人でやる」
「そ、そんなぁ……」
リサにオススメとかを聞きながら作るのも悪くはないが、自分で一から作る方が愛着が持てそうだし…………そもそも一緒にキャラ作成するのはリサからのおねだりだったしな。
「で、でも一緒にプレイはしてくれますよね?」
う~ん、そっちまで取り上げるのはやり過ぎか? でも簡単に赦すのもあれだしなぁ…………あ、そうだ、
「そうだな、サービス開始後一時間以内に俺を見つけられたら、一緒にプレイしようか」
サービス初日は人が多い上に、外見の変わるアバターで俺を見付けるのは難しいだろうからお仕置きにはちょうどいいだろう。見付けられなくても、一緒にプレイすればいいし。
「う~、はい、絶対に兄さんを見付けてみせます!」
「よし、それじゃあ部屋に戻りな。俺のアバターは明日まで内緒だ」
「わかりました。あ、あとでキャラネームとIDは教えて下さいね、万が一出会えなかった場合に連絡が取れませんから」
「ああ、それはいいけど、俺はキャラ作ったあとはすぐ寝るぞ」
「すぐって……まだ十九時前ですよ?」
「明日に備えて早寝と寝溜めするんだよ」
「はぁ……、わかりましたではまた明日ですね。
お休みなさい、兄さん」
「ああ、お休み」
さて、リサも行ったことだし、キャラ作成を始めるかね。