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9.公爵の孫娘

ギガメスだけ変身を解いてもらって魔王城で待っていると、肌つやが良くなったオークたちが先程よりも憔悴した娘たちを連れて戻ってきた。


すでに魔法の効果は切れていると思うが、体力は存分に削られているので多分逃げられないだろう。


「どうじゃった。ビックよ?」


「ああ、素晴らしい!しばらくご無沙汰でしたので大満足の一言しか浮かびません!!」


表情もさきほどより明るくなっていた。


「そりゃあ、よかったの。」


「御命令通り、このメス豚どもは魔王様に差し上げます。何なりとお使いください!」


「うむ!大儀であったぞ、ビック。」


「感謝の極み。」


「そして、ブレイク。ビックを説得してくれたこと、感謝するぞ!お主には褒美の一つでもやらんとな。」


「であるならば、娘の一人を俺の所有物にしてもかまわないか?」


「ふむ、まあええじゃろ。」


魔王の許可を得た俺は、とある娘を強引に檻から引っ張り出した。


それは、俺に対してありもしない噂を吹きかけた張本人である公爵の孫娘『ドール』であった。


ドールは、きめ細やかな白い肌に整った顔、肩まで伸びる金髪ロングヘアーで体のラインは男であるならば魅了されるものはいないのではと思わせるほど整っており、性格を除けば超絶美人な碧眼少女である。


俺は、彼女を時限拘束リミテッドホールドで動けなくさせて、下顎をがっちりつかみ無理やり顔を近づけさせた。


「無様な姿だな。孫娘さんよ~。」


ドールは憎悪をたぎらせた表情で俺に唾を吐いた。


「くたばれ!クソデブ!!」


俺は顔についた彼女の唾を指ですくって舐めた。


「威勢のいいお嬢さんだ。まあ、その威勢を保っていられるのも今のうちだけどな。」


俺は変身を解いた。


彼女の驚きと絶望が入り混じった表情を俺に向けた。


「い、インキュバス!?」


「俺自身も正直驚きを隠せないぜ。まさか、この俺が淫魔の血を引いていたなんてよ。」


何をされるのか察した彼女は、暴れようとしたが魔法のせいで動けないようだ。


「んじゃ、バイバイ。」


「嫌アアアアア!!」


俺が右手に力を込めようとしたその時、謁見の間に息を切らしながら眼鏡をかけた黒の三角帽子をかぶったゴブリンが入ってきた。


「ハア・・・ハア・・・第4師団副団長ゴブリンメイジのボビー!緊急報告致します!!」


「何事じゃ!?」


「ハアハア・・・!!また、SSSランク冒険者のパーティが城に侵入しました!!」


だが、ギガメスはあわてるなと言わんばかりに右手を少しだけ挙げた。


「なんじゃそんな事、たとえここにやってきたとしても奴らをワシらで適当に返り討ちにすればいいだけじゃ。」


しかし、ボビーは顔色を変えずにギガメスに報告を続けた。よっぽどやばいことが起きたのだろう。


「で、ですが今回、その冒険者たちに強力な同伴者がいるのです!」


「それは誰じゃ?」


「マミアカーダ王国の王立魔導騎士団第7師団団長、剣豪エル・ソビー・デカチノフであります!」


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