7.色欲は罪よ!②「ブレイブの元カノ視点」
私は、行商人とは名ばかりの盗賊に追われてもうダメと思った矢先にSSSS(カルテットS)ランクの冒険者に助けられた。
SSSSランク冒険者なんて滅多に会えない。こんなチャンスを逃さまいと、まず私は助けてくれた彼の素性を訪ねた。
「あなたもしかして召還勇者様ですか?」
「あ、はい。日本という国から召還されてきました。SSSSランク冒険者の服部丈太と言います。」
「素敵・・・。」
しばらく魔法で助けてくれた彼と見つめあっていると・・・。
「動かないで!」
びっくりして声のした方を向くと、私の膝にできた傷口に手をかざしている私と同年代くらいの女がいた。
見る見るうちに傷口がふさがっていく、おそらく女は回復術師だろう。
服装は完全に誘っているような格好をしていた。
助けてくれるのはいいけど、私のときめきを邪魔しないでよ!
「大丈夫ですか?すごい顔をしていますけど・・・。」
いけない!無意識に女をにらんでいたみたい。
「え、ええ。傷口が痛くて・・・。」
「ハイ、もう大丈夫ですよ。」
「あ、どうも。」
立ち上がってふと、女の手元を見ると右手の中指にもアダマンタイトのリングがはまっていた。
「あ、あなた様もSSSSランクなのですか?!」
すると女の代わりに、リーダーらしき深紅の短髪男性が私に近づいて話してくれた。
「そうさ、俺たちは日本出身のSSSSランクの召還勇者で構成された冒険者パーティ『神の落とし子』だ。メンバーは魔導士の服部、ヒーラーの小山内、タンクの鬼山、そして俺が、こいつらのパーティリーダーの御手洗勉喜様だ。知らないなんて言わないよな?」
「も、もちろん存じておりますわ!」
嘘だけど、っていうかこんな優秀な人たちがいるなら紹介しなさいよ!あの糞豚。
彼らだったら有り余るほどの金を持っているかもしれない!
そう思った私は、リーダーの御手洗に精一杯上目遣いをしながら自分が可愛いと思えるような表情を作った。
「・・・。」
「ん、どうした?」
「私は結婚を約束してくれた彼に裏切られてお金がありません。人助けだと思って恵んではもらえないでしょうか?」
「わかった!恵んでやろう。」
「本当ですか?!」
「その代わり、俺を体で満足させてくれたら・・・な。」
男はにやりと笑った。
「ふざけないで!!」
腐れ外道の言葉に私の頭に血が上った。
「ああん?」
「アダマンタイトだからっていい気になってんじゃないわよ!女一人奉仕できない屑が!!せいぜい病気で野垂れ死にしてしまえばいいんだわ。」
向こうの方が悪いはずなのに謝りもしないどころか男は私の胸倉をつかんだ。
「黙っていればつけあがりやがってこのメス豚が!!いまここでオークのえさにしてやる!!」
すぐさま仲間が止めに入った。
「こういう人は相手にしない方がいい。」とモブ顔。
「そうです。殺したらこの欲深い悪女と同じ土俵に立つことになります。」と痴女。
「然、乙女ちゃんの意見に賛成なのである。われらの強さやありがたさがわからぬバカは放っておくのが一番である。」と髭マッチョ。
「・・・わかった。おい女!お前が俺たちに助けを求めようとしても無駄だということは理解しておくんだな。」
リーダーはそう吐き捨ててパーティメンバーとともに行ってしまった。
「ふん、こっちから願い下げよ!」
私は、恥知らずな冒険者パーティどもと別れて町の方へと歩みを進めた。
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