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最終話


ディアンヌはリュドヴィックの腕に手を回しつつも、彼に寄りかかるようにして目を閉じた。

こうして平和な時間を過ごしていると、豪華なパーティーに出席したことが嘘のようだ。

ディアンヌはまだまだ経験が足りず、自分の問題点が浮き彫りになった。

まだまだやれることはたくさんあると、やる気に満ち溢れている。


ベルトルテ公爵夫人としてまだまだ足りないことばかりだけれど、これからもリュドヴィックやピーターと共に過ごしたいと思う。


ララはディアンヌとリュドヴィックの前でクッキーや紅茶を用意しながら微笑んでいる。

マリアとエヴァも久しぶりの休暇を楽しんでいることだろう。

遠くからピーターが元気よくこちらに手を振っている。

ディアンヌも手を振り返すと左手の薬指にキラリと光る指輪が見えた。


今はリュドヴィックと結婚式の準備を進めていこうと話をしている最中だった。

そう思うと、なんだか不思議な気分だ。

ディアンヌは自分の指輪とリュドヴィックの指輪を見つめていると……。



「……ディアンヌ、何を考えていた?」


「リュドヴィック様、起きていたのですか?」


「君の隣は心地がいいんだ」


「ふふっ、お疲れでしょうから寝ていていいんですよ?」



そう言って笑うと、リュドヴィックは嬉しそうに微笑んでから触れるだけの優しいキスをする。

ディアンヌもリュドヴィックの愛情に応えるように彼の腰に腕を回したが、結局は恥ずかしくなってしまい顔を伏せる。

今にも口から心臓が飛び出してしまいそうだ。



「ディアンヌ?」


「リュドヴィック様が大好きすぎて心臓が壊れてしまいそうです」



深呼吸を繰り返していると、リュドヴィックは吹き出すようにして笑っている。



「笑わないでください!」


「ははっ、君が可愛すぎて……」


「……もう!」



ディアンヌが唇を尖らせていると、彼はそっと頬に手のひらをそえて視線が合うように顎を持ち上げる。

またキスされるのかと思い、瞼を閉じつつ震えていた。



「そんな風に可愛らしい反応をされると我慢できなくなりそうだ」


「……っ!」


「そういえばパーティーが終わったが、君に触れる許可はいつ貰えそうかな?」



想いが通じてから、一緒のベッドで眠るようになった。

けれど彼は、ディアンヌの心の準備ができるまでは待ってくれている。

日に日に愛情が増していくリュドヴィックにディアンヌは翻弄されっぱなしである。

ディアンヌが顔を真っ赤にしながら何も言えずに困惑していると、リュドヴィックは頬を撫でながら耳元で囁くように言った。



「ディアンヌ、愛している」


「……!」


「私は君に夢中なんだ」



そう言ってまた触れるキスをする。

子供扱いされることに気づいて、ディアンヌも負けじと声を張った。



「わ、わたしもリュドヴィック様が大好きですから!」


「──ボクも二人が大好きだよ!」



突然、ピーターが現れたことでディアンヌは驚きつつ彼を見ていた。

元気よく抱きついたピーターを二人で受け止める。



「わたしもピーターが大好きよ!」


「もちろん、私もだ」


「ボクたち、最高の家族だよね?」



ピーターはそう言って満面の笑みを浮かべている。

リュドヴィックと目を合わせたディアンヌは大きく頷いた。



「もちろん、最高の家族よ!」










end


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ここまで物語を読んでくださり大変嬉しく思います。

ありがとうございました!


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