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本日は二話更新になります。

こちらは一話目です。

【AIOライト 20日目 10:12 (1/6・晴れ) 『狂戦士の砂漠の塔』】


「さて、着いたな」

 『狂戦士の砂漠の塔』第三階層の探索を始めた俺たちは、バーサークゴーレム、バーサークイグアナ、バーサークボアを退けると、ボス部屋の前に辿り着いていた。


「ボス戦かぁ……」

「緊張すんなぁ……」

「この人数なら大丈夫っしょ」

「油断すんな。特性:バーサークの厄介さは分かってんだろ」

「そうだぜ、ボスの強さは半端ないんだからよ」

「ホムンクルス二体目……うん、ゲットしたいな」

 さて、これで後はボスを倒せば無事に街へと帰還出来るわけだが……不安要素はかなりあるな。

 装備品の耐久度にアイテムの残量については心配しなくていいだろう。

 装備品の消耗は殆ど無いし、アイテムについてもギルド製の携帯錬金炉を既に持っているプレイヤーが補給してくれているからだ。

 だがボスの正体が分からない現状では……そして、ボスが物理型か魔法型か分からない現時点では、警戒し過ぎても足りないという事はないだろう。

 なにせ特性:バーサークと物理型モンスターの組み合わせの危険さは、これまでの道中でバーサークゴーレムが証明してくれているのだから。


「全員、覚悟はいいな。では、突入する!」

 トロヘルが扉を開けて部屋の中に入る。

 アライアンスの残りの面々も、トロヘルに続いて部屋の中に進入する。


「頑張りましょうね。マスター」

「ああ、頑張ろう」

 そして俺とシアも部屋の中に進入した。


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「さて、ボスは何処に居る?」

 部屋の中は全面石造りで、他の部屋に比べて広さ自体も、天井の高さも、段違いだった。

 天井には幾つかの穴が開いていて、そこからはとても強い砂漠の日差しが挿し込んでいる。

 そして、部屋の中の幾つかの場所には黄色い砂が小山のように積もっていた。


「特殊型だと楽なんだけどな」

「それには激しく同意」

 アライアンスの面々は、円陣を組むと近接戦闘能力が高いものを外側に、遠距離攻撃手段を持つ物を内側にする形で、何処から敵が現れてもいいように周囲を警戒し続ける。


「……」

 そうして俺たちが警戒をし続けていると、やがてそれが部屋の奥からゆっくりと姿を現し始める。


「フゴアァ」

 それは大きさこそ2メートルを超えていたが、概ね人の形をしていた。


「ちっ、運が悪いな」

 右手には鋲の打たれた金属製の棒を持っており、それ以外に身に付けているのは革製と思しき粗末な衣服ぐらい。

 だが、それでも何の問題ないと言わんばかりに全身の筋肉は鍛え上げられ、赤銅色の肌を大きく盛り上げていた。

 そして頭には……


「オーガとか特性:バーサークとの相性は最高じゃねえか」

 頭には長い二本の角が生えており、口からはそり返った牙が二本天井に向かって飛び出していた。

 故にその名前の想像も容易く、頭の上に表示されている名前も俺の想像通りだった。


「ゴルアアアアァァァァァ!!」

「「「!?」」」

 『狂戦士の砂漠の塔』のボス、その名は『狂戦士の鬼人の王』Lv.10。

 何処からどう見てもその姿は俗に鬼と呼ばれる存在のそれだった。


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「ゴ……」

「いっくよー!」

 『狂戦士の鬼人の王』が動き出す瞬間、俺の傍から一人の影が飛び出す。

 シュヴァリエだ。


「ふんっ!」

「ガッ!?」

 シュヴァリエは『狂戦士の鬼人の王』に素早く接近すると、その胸の中心に細剣を突き入れ、相手の注目を自分に集めると同時に、『狂戦士の鬼人の王』の足を止める。

 それはつまり、遠距離攻撃を得意とする面々が一方的に攻撃できる距離で、『狂戦士の鬼人の王』の位置を止めたと言う事だった。


「一斉射!」

「「「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」

「フゴアッ!?」

 トロヘルの号令に合わせて俺の後ろに居る面々から『狂戦士の鬼人の王』にむけて様々なものが飛ぶ。

 それは魔法の光であったり、矢や銃の弾丸であったり、斧なんかでもあったりした。

 そして『狂戦士の鬼人の王』に殺到したそれらは、素早く退いたシュヴァリエを巻き込むことなく『狂戦士の鬼人の王』に直撃。

 『狂戦士の鬼人の王』のHPを勢いよく削り取っていく。


「近接組!行くぞおぉぉ!!」

「「「おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」

 そうして『狂戦士の鬼人の王』のHPが減っていく中、トロヘルの号令に合わせて、俺を含めた近接攻撃を得意とする面々が『狂戦士の鬼人の王』に向けて突撃を敢行する。


「おらああぁぁ!」

「ふんっ!」

「ぶっ倒れなあぁ!」

「ぬおりゃあああぁぁ!」

 トロヘルの槍が、マンダリンの刀が、クリームブランのメイスが、俺の斧が、他のアライアンスの面々の攻撃が『狂戦士の鬼人の王』に突き刺さり、そのHPを減らしていく。


「ガンガン攻めるぞ!このまま何もさせるな!!」

「「「おうっ!」」」

 このまま行けば『狂戦士の鬼人の王』に何もさせずに倒す事が出来る。

 そんな期待を抱きつつ、俺たちはさらにもう数度の攻撃を加えようとした。


「グッ……」

 だがそんな淡い期待を裏切るように『狂戦士の鬼人の王』の右腕が動き、


「ガアアアアァァァァ!!」

「「「!?」」」

 俺を含めた『狂戦士の鬼人の王』の近くに居た面々を、金属製の棒の横薙ぎによって吹き飛ばした。

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