70:13-7
本日は二話更新になります。
こちらは一話目です。
【AIOライト 13日目 18:12 (満月・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】
「さて、満腹度の補給は終わったし、作り始めるか」
「頑張ってくださいね。マスター」
東の丘陵から帰ってきた俺とシアは、別途購入するべき物を買うと、自分の部屋へと戻ってきていた。
さて、ここからは戦いは戦いでも、モンスター相手ではなく素材と
いやまあ、モンスターについてもGMの悪意は存在しているのだが……以前の食べ物を作ろうとした時のアレを思い出すとどうしてもね、うん。
まあ、雑念についてはここまでにしておこう。
「それじゃあ……まずは俺からのでいいか」
俺はまず、練習も兼ねて自分の雨具を作る事にする。
材料は『雑音招く湿地の図書館』に入る前に狩ったプレンシープの毛と『雑音招く湿地の図書館』内で手に入れたノイズクラゲの電撃結晶である。
なお、例の繋がりのような物は見えていない。
なので、極々普通に錬金することになる。
「操作は……合成かな」
操作は合成。
製作物の形状は装飾品分類の一つ、雨具。
魔力注ぎは問題なし。
タイピングは……
『sUcoci gUcHilou Yo-vunna CeikenCHin0 Kanlyu- mEndoI』
ああうん、これぐらいなら問題ない。
と言うわけで、難なく物は完成した。
△△△△△
ノイズシムンレインコート
レア度:1
種別:装飾品-雨具
耐久度:100/100
特性:ノイズ(聞き取れない雑多な音を持つ)
プレンシープの毛で織ったフード付きのコートにノイズクラゲの脂を混ぜ合わせた雨具。
着用すると、雨の影響を抑える事が出来る。
静電気を非常に溜めやすいので注意。
風属性+1
▽▽▽▽▽
「よしよしっと」
これならば、明日雨が降っても大丈夫だろう。
静電気を溜めやすいというのは少し気になるが……まあ、恐れずに手全体で掴むように金属製の物に触れれば大丈夫なはずだ。
「じゃあ、次はシアのだな」
「はい、よろしくお願いします」
自分のが完成した所で、俺はシアの雨具作成に取り掛かる。
と言っても変わるのは材料とタイピングだけだが。
で、材料だが、南の森林の何処かで回収していたらしいプレンディールの毛皮と雑音招く樹脂を使用する。
この組み合わせならば、先程と同じように錬金出来るはずである。
『sHicasanha k0NcaimofuvinDAna deMosikatagNaine』
「うーん、相変わらず法則性が分からない」
俺はタイピングの内容に少し愚痴をこぼしつつも、打ち間違いなく、かつ素早く入力を終える。
そうして出来上がった物の詳細を確認すると、シアにそれを渡す。
△△△△△
ノイズディルレインコート
レア度:1
種別:装飾品-雨具
耐久度:100/100
特性:ノイズ(聞き取れない雑多な音を持つ)
プレンディールの毛皮から作ったフード付きのコートに雑音招く樹脂によるコーティングを行った雨具。
着用すると、雨の影響を抑える事が出来る。
▽▽▽▽▽
「ありがとうございます。早速試しに来てみますね」
「着心地はどうだ?」
「着心地は問題ないですし、歩いたりするのに邪魔になる感じもありませんね」
「そうか、ならよかった」
ノイズディルレインコートを着用したシアは、部屋の中を軽く歩き回ったり、腕を動かしたり、飛び跳ねたりしてみる。
特徴的かつチャームポイントである金髪も耳も隠れてしまったが、うん、これはこれでいいな。
プレンディールの毛皮の模様が女子向けな物であるお陰で、非常に可愛らしく仕上がっている。
勿論、シアでなければここまで可愛くはならないだろうが、此処まで見事に着こなしてくれると、作った側としても嬉しくて仕方がない。
【ゾッタの錬金レベルが9に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「と、レベルが上がったか」
「じゃあマスター。私は保存食を作り始めてますね」
「ああ、よろしく頼む」
と、ここでレベルアップの通知が飛んで来たので、俺は装備品のアイオライトのピアスを外してノイズシムンレインコートを着けると、錬金ステータスの中から防具類を選択して上昇させる。
△△△△△
ゾッタ レベル7/9
戦闘ステータス
肉体-生命力13・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力19+2・感知力10・精神力11
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10+1・地属性10・光属性7・闇属性10
分類-武器類13・防具類12・装飾品13・助道具13・撃道具10・素材類13
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△△△△△
ゾッタ レベル7/9
総攻撃力175
総防御力162
右手:プレンスチールタバルジン
左手:プレンウッドバックラー
頭:プレントータスメット
胴:プレンキャタピラシャツ
腕:プレンウッドアーム(回復力+1)
脚:プレンキャタピラズボン
装飾品1:プレンウッドリング(回復力+1)
装飾品2:ノイズシムンレインコート(風属性+1 特性ノイズ)
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「これでよし、と」
アイオライトのピアスを外した影響で精神力が1下がってしまったが、まあ別に問題はないだろう。
今後の戦闘で精神力が下がった悪影響を感じたら、晴れの日または屋内限定で戻せばいい。
「マスター、こちらもまずは一つ出来ましたよ」
「お、本当か」
と、シアの方も一つ保存食作ったらしい。
と言うわけで、俺はその詳細を見てみる。
まあ、何を作るつもりだったのかは知っているので、念のためにだが。
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プレンボアの塩漬け肉
レア度:1
種別:道具-食料
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
プレンボアの肉によく塩をまぶし、揉み込み、乾燥させた肉。
丁寧な仕事で処理された物は、耐久度の減りが著しく遅くなり、年単位での保存も可能になる。
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「うん、美味しそうだ」
味を想像するだけで口の中に唾液が溢れてくるのが分かる。
うん、これならば明日からの旅も頑張れそうだ。
俺はそう思いつつ、シアが作り上げた六個の塩漬け肉をインベントリにしまうと、明日に備えて早めに寝るのだった。
08/07誤字訂正