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本日は二話更新になります。
こちらは二話目です。
「これで終わりか?」
「そうね。これで終わりだと思うわ」
「ふむ、結局ノイズクラゲが一番厄介だったな」
「マスターのおかげで倒せましたけどね」
「それ以外に出番はなかったけどな」
さて、思わぬ反撃は喰らいつつも無事にノイズクラゲを倒した俺たちだが、その後は何の問題もなく最初の部屋のモンスターを狩り尽くす事に成功した。
具体的に名前を挙げればノイズモスLv.9、ノイズクラブLv.7、ノイズトードLv.7(二体目)と言う所だが……まあ、はっきり言って俺の出番はなかった。
なにせシア、グランギニョル、ブルカノさんの遠距離攻撃が一度ずつ決まってしまえば、それだけで倒せてしまうのだから、出番など存在しようがない。
更に言えば、速効で倒してしまうために、特性:ノイズが加わった影響がどのモンスターにどのように存在しているかも分からなかった。
【ゾッタの戦闘レベルが7に上昇した。戦闘ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「と、レベルアップか。少し待ってくれ」
で、そんな戦いでも戦闘に参加していた事には変わらないと言う事なのだろう。
戦闘レベルが上がったようなので、俺は回復力を1上昇させる。
△△△△△
ゾッタ レベル7/8
戦闘ステータス
肉体-生命力13・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力19+2・感知力10・精神力11+1
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10・光属性7・闇属性10
分類-武器類13・防具類11・装飾品13・助道具13・撃道具10・素材類13
▽▽▽▽▽
「これでよし……っと」
これで回復力は21か。
うん、今更な話ではあるが、このレベルアップごとに1しか上げられないというシステムを考えると、ステータスの上昇はレベルアップよりも装備品でどうにかする方が適切なのかもしれない。
掲示板情報によれば一つのアイテムに通常付けられる特性は二つまでで、装備品ならば特性とは別に一つ付与効果を付ける事が出来るらしい。
となれば、これらの効果を全てステータスアップ系で固めれば、それだけで3ポイント。
それが八部位存在するのだから、合計して24ポイント。
ああうん、素材が手に入るかどうか、錬金が上手くいくかどうかという問題点とリスクはあるが、誰がどう考えても装備品で上げる方が適切だな、これは。
機会が有ったら、ちゃんと整えよう。
「さて、それじゃあ沼に足を踏み入れないように気をつけつつ、採取の方を始めようかしら」
「はい」
「そうだな」
「分かった」
今はまず素材集めの方に専念するべき。
と言う事で、モンスターがリポップしない内に俺たちは散開、今居る部屋の中にある採取ポイントを片っ端から回収していく。
「へー、色々と取れるな」
「本当ですね」
で、その結果として色々なアイテムが手に入ったので、その中でも特に気になる物の詳細を確認する。
△△△△△
雑音招く白紙本
レア度:1
種別:素材
耐久度:100/100
特性:ノイズ(聞き取れない雑多な音を持つ)
中に何も書かれていない白紙のノート。
だが、何も書き込まれていないという事は、何者にもなれるという事でもある。
▽▽▽▽▽
△△△△△
雑音招く樹脂
レア度:1
種別:素材
耐久度:100/100
特性:ノイズ(聞き取れない雑多な音を持つ)
何かしらの植物から採れた天然樹脂。
加熱することによって溶け、様々な物に塗りつけることが出来る。
▽▽▽▽▽
△△△△△
雑音招く薬草
レア度:1
種別:素材
耐久度:100/100
特性:ノイズ(聞き取れない雑多な音を持つ)
手で摘み取られた極々普通の薬草。
そのまま食べても一応の効果はあるが、ただただ苦いだけで薬と呼べるほどの物ではない。
▽▽▽▽▽
「樹脂の方は雨具に使えそうですよね」
「そうだな。使えると思う」
雑音招く樹脂については間違いなく拾い物だろう。
普通に考えて樹脂は疎水性であるし、説明文に塗りつけることが出来ると書いてあるのだから、フード付きのマントのような物を造れれば、後はそれに塗りつけるだけで雨具になるはずだ。
で、薬草と白紙本についてだが、特性:ノイズが他の状態異常系の特性と同じように働いてくれるならば、これらのアイテムからノイズ状態を付与する、あるいはノイズ状態を回復するためのアイテムを作れるはずである。
もう一度このダンジョンに来る機会は無くても、『雑音招く……』と付いた自動生成ダンジョンに入る可能性は普通にあるはずなので、持っておいて損はないはずである。
「ゾッタ兄、回収終わった?」
「ああ、問題なしだ。そっちは?」
「こっちも無事に回収は終わったわ。インベントリも一杯になっちゃったから、もう帰る予定よ」
「インベントリが?」
と、此処でグランギニョルが声をかけてきたので対応するが、もう帰る?
いやまあ、俺とシアの方はインベントリが実質二人分なので、『雑音招く湿地の図書館』に入る前の回収分含めてもなお、グランギニョルたちよりも余裕があるのは分かる。
だがそれにしても早いような?
「私もブルカノさんも攻撃がアイテム頼みだから、容量が案外きついのよ。容器込みでもなおね」
「一応、攻撃アイテム用の容器は造ってあるが、そこに入れられる数もまだたかが知れているしな」
「ああなるほど」
と、俺の疑問の答えをグランギニョルとブルカノさんが教えてくれる。
なるほど言われてみれば確かにである。
グランギニョルの本も、ブルカノさんの爆弾も消耗品で、しかも爆弾の方は使い捨て。
確かにインベントリの容量はきつそうだ。
「じゃ、そう言う事なら俺たちも帰るか。そろそろシアのインベントリも拙いよな」
「そうですね。後二個しか入りません」
「じゃ、一緒に帰りましょ」
「帰りに変なのにからまれても面倒だしな」
「だな」
そうして、俺、シア、グランギニョル、ブルカノさんの四人は揃ってダンジョンを脱出し、街へと帰ったのだった。