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【AIOライト 9日目 07:10 (2/6・晴れ) 南の森林】


「さて、まずはソロでもいけそうなダンジョンを探さないとな」

 翌日。

 装備の修復含め、準備を整えた俺は南の森林を一人で歩いていた。

 なお、インベントリの中についてはこんな状態である。



△△△△△

ゾッタ インベントリ:17/27


プレンスチールタバルジン

新緑の杖

プレントータスメット

プレンキャタピラシャツ

プレンウッドアーム

プレンキャタピラズボン

アイオライトのピアス

新芽の指輪

プレンメディパウダー×5

普通のリンゴ×3

プレンカッパーボトル

▽▽▽▽▽



 回復アイテムと食料があるので、今回は多少長居する事も出来るだろう。

 また、空きが10もあれば、中でアイテムを幾らか回収する事も可能な筈である。


「少し急ぐか」

 そう言うわけで、俺は昨日よりも更に避けられている気配を感じつつも、南の森林の奥地に向かって多少駆け足で歩き出した。



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【AIOライト 9日目 10:12 (2/6・晴れ) 南の森林】


「うーん」

 で、そうして彷徨うことおよそ三時間。

 俺は森の奥で一人唸っていた。

 と言うのも……


「良いのが無いなぁ……」

 ソロでも攻略できそうな自動生成ダンジョンが見つからなかったのだ。

 別に選り好みをしているわけではない。

 本当に見つからなかったのだ。

 現にここまでに見つけた自動生成ダンジョンを挙げるならば。


【『蟲殺しの砂漠の塔』 レア度:1 階層:3 残り時間08:18:27】

 既に誰かが発見して、残り時間がだいぶ少なくなっている物。


【『同盟組む湿地の図書館』 レア度:3 階層:5 残り時間71:59:59】

 どう考えても突入する事自体が死亡フラグとしか思えないような物。


【『攻撃力溢れる機械の街』 レア度:1 階層:4 残り時間71:59:59】

 俺の能力でソロ攻略をするには厳しいのが目に見えている物。


【『激痛招く凍土の神殿』 レア度:2 階層:3 残り時間71:59:59】

 扉の前に立っただけで嫌な予感がしてしょうがなく、挑んではいけないと感じた物。


 と言う、今回の俺の目的である自動生成ダンジョンの攻略には向かなさそうな物ばかりだったのだ。

 まあ、発見だけして放置と言うのもどうかと思い、最初の『蟲殺しの砂漠の塔』以外は自動生成ダンジョン発見報告スレに挙げておいたが。

 興味があるなら俺以外の誰かが挑んでくれる事だろう、たぶん。


「……」

 ただこのままでは一日、ただ森の中をモンスターを避けながら散策していただけになってしまう。

 そう思った俺は、心の中で次に見つけたダンジョンには何も考えずに飛びこむべきかと悩み始めていた。


「ん?」

 と、そんな時だった。

 十分な高さの木々が生い茂り、陽の光の量がだいぶ抑えられている南の森林の中で、例外的に陽の光がよく射している場所……倒木によって一時的に生まれた花畑を見つけたのは。

 そして、その花畑の中心で、今正に白い光が集まり、白磁の扉が生み出されていた。


「……。行ってみるか」

 ダンジョンの生成途中であるにも関わらず、俺は直感的にあの白磁の扉から繋がっている自動生成ダンジョンこそが目的のダンジョンだと感じていた。

 勿論、普通の思考ではない。

 GM(ゲームマスター)がまた何かしらの干渉を仕掛けている可能性はあった。

 だが、そんな思考への干渉を含めてもなお、俺の直感はあのダンジョンに挑むべきだと言っていた。


【ゾッタは『柔軟な森の洞窟』を発見した】

「『柔軟な森の洞窟』……」

 柔軟……柔らかい……体が柔らかく、色々な体勢を取れるという意味なら厳しいが、硬い甲殻や爪、角の類が柔らかいという意味ならば、敵の火力の低下に繋がるだろう。

 それはつまり、ソロでもどうにかなる可能性があるという事でもある。


【『柔軟な森の洞窟』 レア度:1 階層:3 残り時間71:59:59】

 目の前で生成されたのだから、当然時間はたっぷりと余っている。


「挑んでみるか」

 俺はそう判断すると白磁の扉に触れ……『柔軟な森の洞窟』に侵入した。



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【AIOライト 9日目 10:22 (2/6・晴れ) 『柔軟な森の洞窟』】


「無事に侵入完了……っと」

 光が収まった後、そこは俺の背後にある白磁の扉以外、全てが木と枝葉で出来た洞窟の中だった。

 床は何百本と言う木の根で、微妙な凹凸が付いている上に色合いも所々違っている。

 壁は木の幹同士が癒着して壁になっているようで、床と同じように微妙な凹凸と色の違いを持っている。

 入口の部屋とダンジョン本体を分ける扉は、大きな葉の付いた細い蔓を編んで造ったような扉になっていて、向こう側が全く見えないようになっていた。

 天井は無数の枝葉によって覆われており、木漏れ日程度は緑のカーテンを通して入ってくるが、枝葉の先にある空間については全く見えなかった。

 空気はよく澄んでいて、まるで本物の森の中に居るようだった。

 物音は……壁の向こうから、枝葉の向こうから、何かが歩く音や、幹を小突くような音、モンスターの鳴き声まで色々とする。

 そう、ここは正に『柔軟な森の洞窟』と言う名前の通り、森がそのまま洞窟になったかのような場所だった。

折角なので紹介しておきますと、


蟲殺し:キルインセ(虫特攻 ただし百足なども含む)

同盟組む:アライアス(PT強化)

攻撃力溢れる:パワー(攻撃力強化)

激痛招く:ペイン(激痛 詳細はいずれ)


と、なっております。

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