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本日は二話更新です。
こちらは二話目です。
「……ふぅ。無事に出来……っと、意外と重いな」
賢者タイムに入ろうとした俺の左腕に対して新緑の杖の重みがかかってくる。
片手で持てない程ではないし、持ったまま飛んだり跳ねたりも出来るだろう。
けれど、見た目よりも重量がある感じがするし、その点には幾らか注意する必要があるだろう。
「えーと、性能は?」
俺は新緑の杖の性能を確認してみる。
△△△△△
新緑の杖
レア度:PM
種別:武器-杖
攻撃力:125
耐久度:100/100
特性:リジェネ(回復力を強化する)
ソイル(地属性の力を宿している)
それはCommonではなくSoleである。
大地の恵みをその身に秘めた木製の杖。
見た目に反してこの杖は装備者に強い癒しの力を与え、如何なる災禍にも抗わせる。
以下の起動文を発声することで、MP消費と引き換えに魔法を発動する。
『ブート』『リジェネ』『ソイル』
▽▽▽▽▽
「……」
レア度:
特性二つかぁ……これって仕様的にどうなんだ?
まあ、あの
新芽の指輪と一緒で、自己責任でって事なんだろうけど。
「起動文で発動する魔法については……明日プレンウッドバックラーと入れ替えて、確かめればいいか」
後気になる点は『ブート』『リジェネ』『ソイル』の起動文で発動する三つの魔法についてだが、掲示板情報によれば『ブート』の中身については物理属性の魔法弾攻撃で固定。
それ以外の魔法については……ぶっちゃけランダムらしい。
特性によってある程度は効果を絞れるとの話も出ていた気がするが、それでも現状では杖業界は一種の博打場と化していたはずである。
なので、効果については実戦で確かめるしかない。
【ゾッタの錬金レベルが5に上昇した。錬金ステータスの中から上げたい項目を一つ選んでください】
「と、レベルアップか」
と、此処で俺の前にステータス操作用の画面が表示される。
前回のレベルアップが新芽の指輪を作った時だった事を考えると、もしかしなくてもレア度:PMのアイテムを作るのに成功すると多量の錬金経験値を得られる仕様になっているのかもしれない。
と言うわけで、俺は画面を操作して武器類の項目を上げると同時に、装備品の方も代えてしまう。
△△△△△
ゾッタ レベル3/5
戦闘ステータス
肉体-生命力13・攻撃力10・防御力10・持久力9・瞬発力10・体幹力10
精神-魔法力10・撃魔力10・抗魔力7・回復力15+2+3・感知力10・精神力11+1
錬金ステータス
属性-火属性10・水属性10・風属性10・地属性10+1・光属性7・闇属性10
分類-武器類11・防具類10・装飾品13・助道具13・撃道具10・素材類13
▽▽▽▽▽
△△△△△
ゾッタ レベル3/5
総攻撃力275
総防御力137
右手:プレンスチールタバルジン
左手:新緑の杖(特性リジェネ・ソイル)
頭:プレントータスメット
胴:プレンキャタピラシャツ
腕:プレンウッドアーム(回復力+1)
脚:プレンキャタピラズボン
装飾品1:アイオライトのピアス(精神力+1)
装飾品2:新芽の指輪(回復力+2・特性リジェネ)
▽▽▽▽▽
「これでよし、と」
操作を終えてよくよく見ると、地味に戦闘ステータスの回復力と錬金ステータスの地属性がそれぞれ+1されている。
どうやら新緑の杖に付いている特性は二つともきちんと効果を発揮しているらしい。
うん、まさかこんなところで回復力の実数値が20に到達するとは思わなかった。
「と言うか、総攻撃力って地味に見づらい仕様だよな……」
後、気になるのは装備画面の総攻撃力という項目。
数字上は175→275と100も上がっているが、実際には両方の武器を同時に当てられる事など無いし、ぶっちゃけ変化はないだろう。
と言うか、可能なら斜線なりなんなりを入れて左右の武器毎に表示してもらいたいものである。
見づらくて仕方がない。
何処に要望を送ればいいかすら分からないので、独り言で呟くだけだが。
「と、そう言えば錬金レベルが5に上がったという事は……」
立ち上がった俺は部屋の隅に用意されているそれ……カロリーバーと水の自動販売機に近づく。
「おおっ、追加されてる……」
そして表示されたメニューの内容に少しだけだが感動してしまう。
追加されたカロリーバーの味は主食シリーズと銘打たれており、その名に相応しいラインナップになっていた。
具体的に言えば、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、大豆、サツマイモ、キャッサバ、そして……米が有った。
ああ、感動的だ……米が食えるなんて本当に感動的だ。
「でも出来る事なら……粒でほしかったよなぁ……」
尤も、どの味でも結局はいつものカロリーバー。
味は正確に、食感もある程度は再現されているが、結局は棒状のそれである。
いやまあ、今までの薄塩味と比べたら遥かに食事らしい食事だからだいぶマシなんだけどさ、うん。
なお、水については世界各国のミネラルウォーターが出るようになっていた。
が、申し訳ないが俺にはその味の違いは分からなかった。
ただの水や砂糖水より美味いのは確かだったが、それだけだった。
「うんまあ、でもこれで明日以降も頑張る気にはなれるな」
いずれにしても錬金レベル5でこれならば、いずれは料理の味がするカロリーバーが追加される可能性はある。
それを目標に頑張るというのは、決して悪い考えではないだろう。
俺はそんな事を思いつつ、身体を癒す為に眠り始めた。
米が来ました