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【AIOライト 6日目 14:00(1/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】
「んー……流石に2対1はしんどかったな」
プレンエルフ二人を倒した後、俺は無事に街にまで戻って来ていた。
そして、いつも通りに第24支部に移動した後、自室で少し休憩していた。
と言っても回復力の実数値が19あるおかげなのか、HPバーについては帰り道の途中で既に回復しきっているので、今の休憩は純粋に俺自身の精神を癒すための物である。
「と言うか、モンスターとは言え人型の……しかも女性に対して斧を振り下ろすとか、精神的に来るものがあるわ……」
それにしても何故俺が出会ったプレンエルフは女性の姿だったのか。
色々とツッコミを入れたい気分である。
なお、これは後に掲示板で知った話だが、母数がまだ少ないので確定ではないが、プレンエルフを含む人型モンスターの性別は男である確率の方が圧倒的に高いとの事だった。
なのに初遭遇でピンポイントに女性個体を引くのは……何処かの
単純に俺の運が妙なせいなのだろうけど。
「とりあえず、作るべき物を造りますかね」
いずれにしても何時まで落ち込んでいられない。
そう言うわけで、俺は今日の錬金術に移行することにする。
「えーと……まずは武器だな」
俺は倉庫ボックスの中にある普通の鉄の鋳塊と普通の丸太を、錬金術用のウィンドウの中で、錬金鍋に移動する。
操作は合成で、作成するのは武器の一つである斧。
魔力の注ぎ込みとタイピングも特に問題なし。
まあ、何と言うか今更と言う感じである。
「よし、問題なし」
そうして出来上がったのがこれである。
△△△△△
プレンスチールタバルジン
レア度:1
種別:武器-斧
攻撃力:150
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
木製の棒に鉄製の刃を二つ繋げただけのシンプルな造りの斧。
刃の鋭さではなく、刃の重さをもって断ち切る武器である。
▽▽▽▽▽
「攻撃力1.5倍かぁ……もっと早く造れば良かったな……」
今までに使っていたビギナズハンドアクスの攻撃力が100だったので、これだけでも相当な強化である。
それにしてもタバルジンか……ビギナズハンドアクスと見比べてみると確かに違う。
ビギナズハンドアクスが片刃だったのに対して、プレンスチールタバルジンは両刃だ。
つまり、武器を二度振る時に刃を返す必要が無くなったという事だろうか?
うんまあ、その辺りは実際に使ってみてから考えよう。
「じゃ、次は防具だな」
俺は続けて防具を製作するべく、再び錬金鍋の前でウィンドウを表示させる。
「……」
で、当初の予定ではプレンキャタピラの皮二枚を変形して服でも作ろうと思っていたのだが……うん、今になってちょっと思いついたことがあるので試してみようと思う。
と言うわけでプレンキャタピラの皮と普通の鉄の鋳塊を投入し、合成を選択、作る先はまずは胴防具で、問題なく成功した所で続けて脚防具も製作。
まあ、何の問題もなかった。
そして出来上がったのがこちらである。
△△△△△
プレンキャタピラシャツ
レア度:1
種別:防具-胴
防御力:36
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
プレンキャタピラの皮を鉄で補強して造られたシャツ。
身体の側面に付いている黄色い線がチャーミングポイントである。
▽▽▽▽▽
△△△△△
プレンキャタピラズボン
レア度:1
種別:防具-脚
防御力:36
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
プレンキャタピラの皮を鉄で補強して造られたズボン。
身体の側面に付いている黄色い線がチャーミングポイントである。
▽▽▽▽▽
「まあ、問題はないかな」
防御力に問題はない。
鉄による補強も肩や胸、膝と言った重要な部分だけであるので、見た目的には少し変わったライダースーツぐらいな感じだろうか。
後は着心地だが……。
「案外着心地も悪くないな」
装備変更を行って着替え、軽く室内で屈伸運動などをした結果から得られた感想がそれだった。
プレンキャタピラの皮の説明文に書かれていた通り意外と伸縮性があり、俺の動きに合わせて生地が上手く伸び縮みしてくれている感じもある。
重さも問題ない程度であるし、これならばいい具合に動き回れそうである。
「さて、と」
と言うわけで改めて装備品画面を確認してみる。
△△△△△
ゾッタ レベル3/4
総攻撃力175
総防御力162
右手:プレンスチールタバルジン
左手:プレンウッドバックラー
頭:プレントータスメット
胴:プレンキャタピラシャツ
腕:プレンウッドアーム(回復力+1)
脚:プレンキャタピラズボン
装飾品1:アイオライトのピアス(精神力+1)
装飾品2:新芽の指輪(回復力+2・特性リジェネ)
▽▽▽▽▽
「ふうむ……」
正直に言って悪くはないと思う。
少なくともこれで完全な初心者からは脱却したのではないだろうか。
ビギナズ装備は混じってないし。
「でも、やっぱりまだまだだよな」
勿論、強化の余地はある。
普通の薬草を付与することで回復力を+1するという分かり易い強化方法がまずあるし、特性だってプレン以外のものを付けたい。
素材そのものをグレードアップするという強化方法だってある。
ただそれらの強化を行おうと思うならば……
「自動生成ダンジョン……まあ、それしかないよな」
自動生成ダンジョンに挑む以外の方法は無さそうだった。
「んー……どうにかして簡単そうな自動生成ダンジョンを見つけて、パーティを組ませてもらうか」
普通に考えて、ダンジョンの中でまでソロでいるのは無理だろう。
俺はそう判断し、明日以降に備えて掲示板の確認を始めるのだった。
07/14誤字訂正