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【AIOライト 5日目 14:05(2/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】
「ふぅ、無事に帰って来れたな」
グランギニョルと別れた後、俺は鉄鉱石と銅鉱石の採取を再開し、インベントリが満杯になりそうなところで街に帰還した。
当然、採取活動をしている間にモンスターには二度程襲われたが、どちらも相手が単独だったので特に問題は無かった。
自動生成ダンジョンの入口も三つほど見つけたが、前回痛い目を見ているので、いずれも掲示板に場所の報告をするだけに留めた。
なお、街のすぐ近くの採取ポイントは相変わらずの賑わいようだった。
鉄製の装備品があってもそれを振れるだけの闘争心が無いとどうしようもないと思うんだがなぁ……。
「ま、どういうプレイをするもソイツの勝手。俺が気にする事じゃないか」
街に帰ってきた俺は『
自室でカロリーバーを頬張り、満腹度を回復する。
当然薄塩味だ。
だれが無味なんて食べるか。
「さて、そろそろ始めますかね」
満腹度が回復した所で、俺は今日の錬金術を始める。
まずは採取してきた鉱石の精錬からだ。
「えーと、銅鉱石二つに抽出、魔力を注ぎ込んで……」
俺は普段通りの方法でもって錬金術を行う。
流石に新芽の指輪の時と同じ方法を毎回やっていたのでは、命も時間もまるで足りなくなってしまうからだ。
それに……うん、どうにもこの鉱石たちからはそうするべきと言う感じがしない。
そんな物を無理やり混ぜ合わせようと思っても、俺の実力では無理だろう。
『ingotTenoha meTalwo AthukaiyaShuiyouni SUl』
「はいはい、最後はIじゃなくて小文字のLね。」
と言うわけで、素直にシステムを利用して、今日採取してきた銅鉱石八個と鉄鉱石六個を錬金、インゴットに変えていく。
△△△△△
普通の銅の鋳塊
レア度:1
種別:素材
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
銅を精錬し、扱いやすい形に成形したインゴット。
金属としては鉄よりも少し柔らかいので、注意が必要。
▽▽▽▽▽
△△△△△
普通の鉄の鋳塊
レア度:1
種別:素材
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
鉄を精錬し、扱いやすい形に成形したインゴット。
最も一般的な金属であり、基準点でもある。
▽▽▽▽▽
「よし、問題なく出来たな」
結果は普通の銅の鋳塊が四つに、普通の鉄の鋳塊が三つ、全て無事に成功である。
なお、鋳塊とはインゴットの和訳であるらしい。
それと今回作ったインゴットは、見た目としては金の延べ棒の色を変えただけのような感じだった。
金の延べ棒の実物なんて見た事が無いので、正しいかは分からないが。
「さて、鉄インゴットの方はとりあえず倉庫行きだな」
俺は普通の鉄の鋳塊を倉庫ボックスに移動。
その内これで武器と防具を作るつもりだが、今はこのインゴットと組み合わせるアイテムが無いので、こうするしかないのである。
「で、銅の方は……アレを作るべきか」
で、残るは普通の銅の鋳塊だが……こちらはやはりアレを作るべきだろう。
今日は幸いにしてなかったが、いつアレが来てもおかしくはないのだし。
「よし、作るか」
と言うわけで俺は錬金鍋の前に移動すると、MPバーがしっかりと回復している事を確かめてから画面を操作して、普通の銅の鋳塊を二つ投入、変形を選択。
変形先は容器、それも水も入れられるような瓶型のそれである。
そう、思い出すは三日前の事、容器がないためにプレンワームの体液を逃した一件。
アレは地味に悲しかった。
容器の数が揃わない間は同じ事が何回も起こるのだろうけど、それでも回数は減らしたいものである。
「魔力を注ぎ込み……」
『FkusuiHa Bonniha kaERanai YocuOb0eteOkucotda』
「打ちこむ!」
なので今回俺は全力で造っている。
魔力は注げるだけ注いでいるし、キーボードの打ち込みも慎重に慎重を期して、正確にやっている。
後、毎度毎度の事だが、0と大文字のoを混ぜるな。
嫌がらせか!嫌がらせだろうな!
「よし、完成。出来は……」
まあ、Oと0をはじめとした間違えやすい文字シリーズについてはもうそう言う仕様だと思って諦めているからいい。
気をつければ回避も問題ない。
それよりも気にするべきは作った品の出来だ。
△△△△△
プレンカッパーボトル
レア度:1
種別:容器
容量:1(液体状の物限定)
耐久度:100/100
特性:プレン(特別な効果を持たない)
普通の銅で出来た小さな小瓶。
少量ではあるが、中に液体を入れて持ち運ぶことが出来る。
容器の中に入っている物は容器含めて一つの物として扱われる。
なお、種別:容器のアイテムは錬金レベル/10(小数点以下切り上げ)の個数しか持てない。
▽▽▽▽▽
「よし、問題なし」
種別:容器で被っている以上プレンウッドボックスと一緒に持ち歩く事は出来ないが、これで液体状のアイテムでも回収する事が出来るようになった。
明日辺りは、こちらを持って戦闘に専念してみてもいいかもしれない。
「じゃ、もう一個作っておきましょうかね」
ただ、死に戻りでロストした際の保険も欲しい。
と言うわけで俺はもう一つプレンカッパーボトルを作成。
こちらは倉庫ボックスの中に入れておいた。
「さて、明日も頑張りますかね」
錬金レベルこそ上がらなかったが、今日は進展があった。
俺はそう思いつつ、今日の作業を終えることにした。