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【AIOライト 2日目 14:27(5/6・晴れ) 始まりの街・ヒタイ】


「さて、まずは検分かな」

 トロヘルと別れた俺は西の大門近くにあった『巌の開拓者(ノーム)』ヒタイ第3支部を登録すると第24支部に帰還。

 その後部屋の倉庫ボックスに荷物を預けてから市場に繰り出し、幾つかのアイテムを購入すると自分の部屋に戻ってきた。

 と言うわけでまずは購入品含め、今日一日で手に入れたアイテムの確認である。



△△△△△

普通の薬草×9

普通の毒草×3

普通の石ころ×3

プレントータスの甲羅

プレンラビットの耳

プレンマッシュの石突

普通のリンゴ×2

普通の白紙本

普通の小麦粉×2

普通のロープ×2

▽▽▽▽▽



 市場で購入したのは普通のリンゴを含めた四種類のアイテムであるが、リンゴについては完全に食事用である。

 味無しのカロリーバーは出来るだけ食べたくないのだ。

 で、他のアイテムについてだが、薬草と毒草は草が生えている採取ポイントで、石ころについては岩の近くの採取ポイントで採取できたものである。



△△△△△

普通の毒草

レア度:1

種別:素材

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


手で摘み取られた極々普通の薬草。

一応有毒なので食べると幾らかのダメージが有ったり、軽度の下痢を起こしたりはするが、いずれの効果も極々短い時間で終わる程度の物である。

▽▽▽▽▽



 なお、毒草とは言うが、現実に存在するトリカブトやジギタリスのような強力な毒草とは違って、効果は低く、ゲーム内でよく存在するようなものと違って継続性もない。

 ただ服用者にその場でHPダメージを与えるだけの代物であるらしい。


「さてどうするか……」

 さて、確認も終わったところで錬金術を行うのだが、どれから始めるのが適当だろうか。

 案自体は複数あるが、途中で錬金レベルが上がるならば本命は後回しにした方がいいだろうし、上がらないならば集中力が十分にある最初にやってしまうのが正解だろう。


「まあ、悩んでも仕方がないか」

 いずれにしても最終的にやる事は変わらない。

 そう判断した俺は錬金術の鍋に普通の薬草を二個投入して、付与の操作を選択、魔力を注ぎ込む。

 目的とするのは薬草の効果を強化した上位の薬草である。


『Solewa imaNoOmaeniha haYeai』

「ふんふんと」

 俺はキーボードをゆっくりと、けれど正確に打ちこんで入力する。

 うん、今回は間違いはないと言い切れる。


「ん?」

 が、反応が収まった後に出来たのはただのゴミだった。


「……」

 俺は目の前の結果に暫く悩む。

 失敗した原因と考えられるのは三つ。

 一つ目は俺のキーボード入力に間違いがあった。

 が、今回は打ち間違いはないはずなので、これは違うだろう。

 二つ目は実は時間制限が存在していた。

 でもあのGM(ゲームマスター)ならプレイヤーを焦らせる意味でも、何かしらの形で制限時間を表示するだろうし、これも違う気がする。

 三つ目は単純に錬金レベルが足りない。

 うん、これが一番有り得そうな気がする。

 俺が造ろうとしたのは薬草の完全な上位互換だ。

 それならば作成者にもそれ相応の腕を要求してくるのはシステム的に当然の事と言える。


「レベル不足なら……今は諦めるしかないな」

 システム的にレベルが足りないのではどうしようもない。

 そう判断した俺は薬草の上位互換を造るのを諦めて、次の案に移る。


「さて……こっちは上手くいくといいんだが……」

 次の案は普通の薬草の効果を別の物質に移す事である。

 これが成功すれば、戦闘中のHP回復が出来るようになるかもしれない。

 俺はそう考えて、この案を考えた。


「と言うか上手くいかないと何時か詰むよな」

 実際、これについては何時か作るべきだろう。

 と言うのも、今はまだ戦闘中の回復も、戦闘後に急速に回復する必要もないが、そんなのはゲーム序盤だけの話に決まっている。

 ゲームが進めば進むほど、HPを回復する手段と言うのは必要になってくるはずなのである。


「まずは……使い捨てになりそうな石から始めるか」

 俺は錬金術の鍋に普通の薬草と普通の石ころを投入する。

 で、後の操作は先程と同じだ。

 勿論、打ち間違いはない。

 そうして出来上がったのは……



△△△△△

普通の薬石

レア度:1

種別:素材

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


僅かではあるが癒しの力を持った石。

粉末状にする事で、薬として用いる事が出来る。

▽▽▽▽▽



「んー……追加の錬金が要るな」

 そのままでは駄目なアイテムだった。

 うん、まあ、後で変形を利用して磨り潰すとしよう。

 そうすれば説明文通り薬として使えるはずだ。


「じゃあ次っと」

 続けて俺は普通の薬草と普通の小麦粉の組み合わせと、普通の薬草と普通の白紙本の組み合わせで錬金を行う。



△△△△△

プレンメディパウダー

レア度:1

種別:道具-薬

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


僅かではあるが癒しの力を持った粉末。

服用、あるいは塗布することによって傷を癒す事が出来る。

※使い捨て

▽▽▽▽▽


△△△△△

プレンメディブック

レア度:1

種別:道具-本

耐久度:100/100

特性:プレン(特別な効果を持たない)


僅かではあるが癒しの力を持った書物。

魔力を注ぎ込みつつ本の中に書かれている文章を読むことによって、自分あるいは周囲の味方一人のHPを回復する事が出来る。

※耐久度の回復は不可能

▽▽▽▽▽



「これは上手くいったと言っても良さそうだな」

 俺は出来上がった二つのアイテムの説明文を見て笑う。

 回復量については使ってみなければ分からないが、プレンメディパウダーは俺の望む通りの品であるし、プレンメディブックに至っては俺の望む以上の品であると言える。

 しかも恐らくだが、プレンメディブックについては複数回の使用が可能だ。

 難点は素材である普通の白紙本が、安売りと書かれている店で買っても一冊100Gと割合高価な物である事だが、効果量次第ではこれからの戦闘で必携のアイテムになるのではないだろうか?


「うん、明日辺り効果を確かめてみよう」

 俺はそう判断すると両方ともインベントリに収納。

 明日の狩りで使えるように備えておく。


「じゃ、MPバーが回復次第次の作業に移りますかね」

 さて、今日の錬金術はまだ終わっていない。

 もう二つほど案がある。

 なので俺はその案を少しでも早く実行するべく、MPバーの回復が早くなるようにと体を楽な姿勢にした。

錬金レベルにはちゃんと意味があるのです


06/30誤字訂正

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