9:永遠の黄昏、狂宴の歌ー1
ーLHF ドレイフの東門ー
「美味しい狩り場とかもう分かってるの?」
「サービス初日だから皆手探り状態よ。取り敢えず近場の草原か、少し行った所にある森に行ってるみたいね」
「俺達も最初は草原で良いか。慣れてきたら先に進むか」
「あのっ、プレイヤーの方ですか?」
「ん?」「誰?」「知らない人だな」
この人はNPCか。もしかして何かあるのかな?
「はい。私達はプレイヤーですが貴女は如何されたのですか?」
「わ、私はそこの服屋に勤めているクローディスといいます…。実は私の子供が『取り替え子』されたのです…。それでプレイヤーの皆様に私の子供を取り返してきて欲しいのです」
「『取り替え子』?とは一体何なのでしょうか?」
「『取り替え子』とは妖精の悪戯の1つで人間の赤ん坊を拐い、代わりに魔物の卵を置いていくというものです…」
「それは何て非道い…」「流石に気分悪い話ね…」「子供、特に赤子に手を出すのは無しだろう…!」
「それで、こうして取り返してもらえるようプレイヤーの皆様に頼んでいるのです…。妖精の棲む『薄暮の幻丘』はそこの『石呑の草原』の先にある『霧吹の黒い森』から行けると伝わっています。どうか、あの子を取り返して下さい…。お願いします!」
[クエスト『黄昏の丘』を受注しますか?〈YES〉・〈NO〉]
「答えは決まっていますね」「そりゃそうよ」「当たり前だ」
「「「YESで」よ」だ」
[クエスト『黄昏の丘』を受注しました]
「そうと決まれば急ぎましょう」「ええ。早く我が子の顔を見せて上げたいしね?」「そうだな……2人とも掴まれ。一気に駆け抜けるぞ」「「え?」」
ムラマサはそう言うと僕とアカツキを左右の触手で抱えて走り出した。って角が燃えてる!?というか…
「はっ、速い!速いって!なんでこんなに速いの!?」「うっ酔いそう……」
明らかに僕より速いんだけど、どんな技能を使ったの!?
〜少女達 移動中〜
ーLHF 霧吹の黒い森ー
そうして凄まじい速さで森に着いた僕達は
「「「ハアッハアッ」」」
全員バテていた。
「め、滅茶苦茶振り回された…」「うぷっ、吐きそう……」「…この技能は封印だ。二度と使わん!」
それから数分後、無事全員復活した。
「酷い目に遭った…。今度から技能を使う時は予め教えてよ…」
「酔いが状態異常判定だから法術で治せる事に気付かなかったら危なかったわ……」
「すまなかった…。まさかここまでの効果になるとは思わなかった…」
「まあ良いわ!気をとりなおして森に入りましょう!」
そうアカツキが宣言し、改めて森の方を向く。それは、まるで炭のような木々が立ち並び薄い霧で満ちた暗い森だった。
「でも、どうすれば薄暮の幻丘に行けるのか全く分からないし、どうする?」
「一先ず森を探索すれば何か見つかるかもしれんな。頼んだぞ、ツクモ」
「うん、了解。魔物とかの対処はよろしくね、2人とも」
「任せなさい!」「当然だ」
そうして森に入る。入り口近くでも何箇所か採取ポイントを見つけたので採取して鑑定してみる。
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『霧纏いの黒枝』素材、位階:2
説明:『霧吹の黒い森』に生える木の枝。周囲の霧状の物を引き寄せ纏う性質を持つ。
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『霧吹きの石』素材、位階:2
説明:『霧吹の黒い森』に落ちている石。周囲の液体を霧状に変える性質を持つ。
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『貯め込みの黒土』素材、位階:2
説明:『霧吹の黒い森』の黒い土。液体を溜め込む性質を持つ。
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『夜霧草の黒蜜』素材、位階:3
説明:本来なら夜にしか咲かない夜霧草が一日中咲くことで溜まった真っ黒な蜜。独特の甘さで妖精の好物。
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「うん?これ使えるんじゃ?」
「どうしたのツクモ?何かあった?」
「そこで採取したアイテムの中に、妖精を誘き寄せられるかもしれない物が有ったんだよ」
「本当!?早速誘き寄せましょう!」
「頼んだぞ、ツクモ」
「うん。それじゃあ罠を仕掛ける為に2人も手伝って」
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