1:プロローグ
前に書いていた作品を書き直した物です。
よろしければ評価していってください。
ー学校 放課後ー
「『Life Harvest Festival』って何?」
友人の口から出た単語はどこかで聞いた覚えはあったが、何なのか思い出せなかった。
「いやいや、嘘でしょ⁉︎いくらハクだって知ってるはずよ、テレビでも宣伝されているのに⁉︎」
そう言われてみれば家族がテレビを見ている時に新作ゲームがどうのと聞こえてきた覚えがある。
「確か新しく出るってやつだっけ。それでそのゲームがどうかしたの?」
「やっぱり知ってたんじゃない!そう、それでねそのゲームが三人分当たったからハクも一緒にやらない?」
こうやって幼馴染のヒカリは、時々突拍子もない事を言い出して僕たちを振り回すことがある。
「でも、ツルギも居るんでしょ。僕が邪魔にならない?」
「は、はあ?アイツは関係ないでしょ! それに私はあなたに合いそうなゲームだから誘ってるのよ」
「僕に合いそう?」
言っては悪いが僕はかなりの変人だ。そんな僕に合うなんてどんなゲームなのか少し興味がわいた。
「それってどんなゲームなの?」
「少しは興味が出てきたみたいね。それでねLHFは簡単に言うとプレイヤーが神の眷属になって魂を集めるゲームなのy「その集める魂ってどのくらい種類があるの!?」って落ち着きなさい!?」
「えっああ、ごめん、つい興奮しちゃって」
またやってしまった。僕は昔から何かを集めるのが大好きだった。もはや生きる目的とすら言ってもいいくらいに。そのせいで『集める』と耳にすると興奮しすぎて度々暴走してしまうのだ。
「まったく、その暴走癖は直した方がいいわよ?」
「ごめんごめん、それで?集めるってどれくらいの種類があるの?千?万?」
まあどうせ数百種類ってところだろうけど。
「まったく反省してないみたいね。それでね公式が言うにはほぼ無限、だそうよ」
「無限!?いやでも組み合わせ次第で実質的に無限ってやつでしょ?」
「公式はそれにも言及しているのよ。どうやら能力値が一違うだけとか、スキルの組み合わせが云々じゃないらしいわ」
それでほぼ無限に種類がある?運営は何をどうしたら実現出来たんだ、そんなこと。
「そんなの有り得ないでしょ」
「まあまあ、それでも公式が言ってるぐらいなんだから、試してみない?せっかく電子福引きで当てたんだから枠が余ると勿体無いじゃない」
確かにゲームが始まる前からテレビでも宣伝してるってことは、それだけ力を入れてるんだろうな。普通に面白そうだしやってみようかな?
「分かったよ。ありがたく二人のおこぼれに預からせてもらう事にするね」
「あら?思ったより素直ね。何かあったの?」
「あったというか、無くなったんだよね、お金が。実はコレクションのために使いすぎちゃったんだ。だから無料で遊べるんならありがたいんだよね」
使い切ってはいないけど手持ちが今月はかなり厳しい。でもあんなプレミア付きのレアカードと、現代では貴重な標本があったらつい買っちゃうよね?
「またやらかしたの?前やって懲りなかったみたいね。今月は私たちも厳しいから何もできないわよ」
「分かってるよ。それで、どうやってプレイするの?機器をそっちの家に持っていくとか?」
「誤魔化したわね。まあいいわ、そうねーーそうするしかないわね」
「えっ、冗談のつもりで言ったんだけど本当にそうやるの!?」
あの機器は、僕一人でも一応運べるくらいの大きさと重さだから、たぶん出来なくはないと思うけど、遠慮したいやり方だなぁ。
「流石に嘘よ。私の端末からハクの方に直接コードを送るから、それを自分のVR機器に読みこませればいいの」
「なんだ嘘だったのか、ビックリしたよ」
「さっきの暴走とこれでチャラにしてあげるわ」
また暴走して大声出しちゃったし、これくらいで許されるならいいか。ヒカリは本気で怒ると怖いからね。
「それじゃあ読み込むね」
「ええ、さっさとやってね。そろそろ帰ってゲームの準備がしたいの」
「りょーかいっと」
ピコーン
「おっ、読み込みが完了したみたいだね」
「やっとね。地味に五分ぐらいかかったわね」
「こんなコードを読み込むだけなのに妙に時間がかかったね。なんでだろう?」
「どうでもいいでしょ。端末の容量がもう無いんじゃない?」
まあどうせそんなところだろう。
「じゃあゲームで会いましょう?」
「うん。じゃあありがとね」
ー自宅 自室ー
ピコーン
VR機器から音が鳴る。
「やっと終わった」
コードの読み込みがようやく完了したようだ。今日の宿題と復習を終わらせて待っている間に、ネットで検索してみると、LFHについて語っているスレッドを見つける事が出来た。そこでは事前に公開されていた情報からLFHや命祭と呼ばれていたが、どうやら情報がほとんど公開されていないためにヒカリから聞いたこと以外まともに分からなかった。
せっかくだからと、電話でヒカリやツルギ以外の友人とも連絡してみると幸運にも数人が手に入れていた。
そんなこんなで二時間程かけて読み込みが終わったのだ。
はやる気持ちを抑えて早速ログインする。ようやく“僕の望む世界”に出会えるかもしれない!
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