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誰もいない学校
あれから一時間ほどプールで泳いでいた僕らは少し休憩をしていた。
体も少し乾いてきたので、上着を着て少し学校を探索しようという話に気がつけばなっていた。
日光の照りつけはきつくて、外にでていれば水着はすぐ乾いてしまうだろう。
「そろそろお昼の準備する?」
お昼は学校の家庭科室を借りて少女が料理をするとのことである。カレーでも作るかなと少女は言っていた。
「作りすぎたらどうするんだい?」
「キーマカレーにしようかなって思ってるんだ」
なるほどそれなら余っても持ち帰られるな。
「ご飯炊かないといけないし、家庭科室に行こっか」
「そうだね」
食材はすでに家庭科室に置いてきてある。あとは向かうだけだ。
「夏休み期間はグランピング施設として活用するっていう話も出てるみたい」
「この学校を?」
夏休み期間はほぼ活用する機会がないというのと、昔ながらの木造建築を何か生かせないかという試みの一環ということらしい。
いまのところは計画があるというだけのようだが。
「家庭科室はエアコンついてたっけ?」
「使う教室は基本的に取りつけたって聞いてるよ」
それなら期待できるかな。
昔から子供がそれほど多くなかったのか学校自体は案外コンパクトである。
家庭科室へ行く道もそれほど迷うことはなかった。
古めかしい雰囲気の廊下は夜なんかだと雰囲気はでるんだろうなと思ってしまう。
もっともいま学校にいるのは僕と少女に職員室に管理人のおじさんが一人いるだけだ。
そのせいもあって学校という広い空間にあって、恐ろしく静かである。
ちょっとした探検家の気分である。これはこれで楽しいと、そういうことだった。
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