ギャルゲー乙女ゲーのとある虚弱少女

作者: 蛇真谷 駿一

お久しぶりですね。

『ギャルゲー乙女ゲー観察日記』の42、43の別キャラのお話になってます。


途中まで書いて止まってたものを終わらせた感じです。


後、スピンオフって書きましたが、なんか違う気がします。


 朝です。

 晴れです。

 絶好の学校日和です。

 今日みたいな日はお外でお昼ご飯を食べるのもいいかもしれないですねー。


 おや、申し訳ございません。

 まだ名乗ってはいませんでしたね。

 私の名前は四葉よつば阿澄あすみと申します。

 ぴっちぴちの高校二年生でございます。

 実はこの辺りでは有名な名家なのですよ?


「ああ、それにしても今日はとてもとても調子がいいです。もしかしたらいい事が起きるやもしれないですね。さて、そろそろお散歩にでも出かけましょうかー」


「………………保健室のベッドで横になりながら言うセリフではないし、今の時間は一時限目の授業の時間だ。散歩はさすがに許可できん……」


「まあ、私の心の中を完ぺきに読み取ったのは、私のお友達……いえ、それを超えた存在――相棒さんであらせられる、保健室の先生こと八神やがみ琢磨たくま先生ではありませんかー」


「誰が相棒か! 実際最近は職員室でも私とお前をセットで考えてるところがあるから、シャレにならん! そして心は読んでない! 口に出してた!」


 ふふ、幼いころから体が弱く、学業のほとんどを自宅か、学校に来たとしても、今のように保健室登校をしていた私にお友達が出来ることはほとんどありません。

 それでもこの高校に入ってからはたくさんのお友達が出来ました。


 中でも一番と呼べるのは、他でもない八神先生です。

 今までの学校の先生は、私と接するとき、家柄のせいか腫物を触るようでしたが、八神先生は最初から普通に話してこられたのです。


 あれ程嬉しかったことはありませんね。

 良い思い出です。



「あら、そうでしたか、それは失礼しました。それにしてもセットとは光栄ですね。あ、ちなみにお散歩とは授業を受けることを指しているのですよ?」


「お前にとって授業はそんな気まぐれで受けるものなのか」


 疲れたようにおっしゃる八神先生が面白く、少し笑っていると、先生は真面目な顔で聞いてきました。


「それはそれとして……どうするのか、決めたのか?」

 私はその言葉だけで、何のことかわかってしまいました。


 そうですよね。

 職員室で私とセットで考えられているなら……転校の話があることも、耳に入りますよね。


 先ほども述べたように体の悪い私は、以前から母の方から、自然が多い土地で綺麗な空気の中、療養しないかと言われていたのです。


「いいえ、まだ……」

 少し前までの私なら、すぐに転校を決意していたのでしょうが……今は、大事なお友達が増えすぎてしまいました。


「そうか…………どちらを選ぶにしろ、先延ばしはつらいだけだぞ」

「…………はい」


「……ただまあ……体もそうだが……自分の心を大事にしろよ……」

「ふふ、はい」


「笑うなよ……」


 なんだかんだでお優しい先生です。





 そのあと少しお話した後、私はゆっくり立ち上がりました。

「では、そろそろ授業に行きますね?」

「なんだ本気で言ってたのか」


「ええ、調子がいいのは本当ですので」

「ならいい。ここに戻ってこないように頑張れ」


「まあ! 仮に元気で下校時間を迎えたとしても、相棒さんに挨拶もなく帰れませんよー」

「やめれ!!」


「ふふっ」





 そして私は教室に向かいました。



「そして教室に着いたら授業が終わっちゃいました……」


 歩くのが遅すぎたのでしょうか……天気が良すぎてついつい窓から空を見てたのがいけなかったのかもしれません。


 そんなことを考えていましたら、休み時間になったからでしょう、ドアが開きました。

 開いたのは見知ったお顔でした。


「わ! ……え、四葉さん?」

「あ、藤原さん。おはようございます」


 出ていらっしゃったのは、藤原ふじわら真琴まことさんでした。

 藤原さんはクラス内の数少ないお友達の一人です。

 私、クラスにお友達は少ないんです。



「うん、おはよう。……今日は大丈夫なの?」

「ええ、ですから一時限目も途中から出ようとしたのですが、間に合いませんでしたー」


「あはは、なにそれ」

「ふふ、二時限目はちゃんと出ますよ?」


 とはいえ、私、二時限目になんの授業するのか知りませんけど……。









「…………………………体育でしたかー……」

 流石に手が出ませんね。

 結局見学ですか。


「おや?」

 体育を見学している私に、教室の窓から手を振っている方がいるではありませんか。

 あの階は一年生の教室……目を凝らしてみると……あ、緋山ひやま菜月なつきさんですね。

 彼女は明るくてとてもいい子です。

 きっとクラスでは人気者でお友達も多いのでしょう……少し、羨ましいですね。

 ――あ、外ばかり見ていたからでしょうか、軽く頭を叩かれました。


 あんなかわいい子を叩いたのです。

 クラスで暴動などが起きなければよいのですが。


 緋山さんと言えばお兄さん。

 緋山遥人(はると)さんともお友達なんです。

 彼もまたお友達の多い方で、私の所にも何度も遊びに来てくれました。

最近はかわいらしい彼女さんまで出来たみたいです。

 その彼女さんである星海ほしうみひかりさんとも紹介していただいたときに、お友達になっていただきました。

 お友達の人数が徐々に増えてきています。

 嬉しいです。


 ………………ですが、不思議なことに、初めて緋山さんに星海さんを紹介していただいたとき、何故か胸がチクリとしたのです。

 最初は新たな病を拾ってしまったのかと思ったのですが、その後はほとんどでなくなりました。


 ……一体何だったのでしょうね?



「…………はっ! 私としたことがいけません。もう既に体育が終わりかけではありませんか。二時限三時限と通した体育授業でしたのに、ボーっとしすぎましたかね……?」

 ですがめげてはいけません。

 次こそ。

 次の四時限目こそしっかりと授業を受けるのです!









「ああ……わりかしもったな」

「はい……八神先生。ただいま帰りました」


「…………おかえりとは言わんぞ」


 八神先生が呆れ顔で出迎えてくれます。

 結局保健室に戻ってきてしまいました。


「……まさか、四時限目が理科の実験とは……」

 ダメです。

理科室の匂いはいただけません……。


「ま、ほんとに元気そうだから、昼からまた戻ってみるといい」

「っ!! 八神先生……なんて心強いお言葉。私、がんばりますね!」

 まさかの八神先生――相棒さんからのエール。

 頑張らないわけにはいきません!


「なあ教えてくれ。自分で言うのもなんだが、さっきのは確実に適当に流した言葉にしか聞こえないと思うんだ。一体どう聞いたらそこまで気合が入るんだ……?」







「と言うわけで藤原さん。今日は教室でご飯を頂きましょう」

「あはは。うん、いいよ」

 藤原さんは快くお昼のご同伴を認めてくれました。


 しかし、八神先生への感謝を述べているときは何故か苦笑いでした。

 不思議ですね。


 お昼ご飯を食べ終わったので、少しお散歩に行ってきます。

 はらごなし……というものらしいです。

 と言っても教室を出て校内をウロウロするだけですが。


「あら?」

「ん? ……ぇっ!? よ、四葉さんが保健室じゃない!!」


「ふふ、珍しいですか? …………ええ、珍しいですね。我ながら」

「体調がいいんですね。今日」

「はい! 珍しくすこぶる良好です!」

 ……その割には授業にはあまり出られていませんが……。


 偶然出くわしたのは、私の三番目のお友達にして、生まれて初めて出来た、男子のお友達。

 何度もお話に付き合っていただいたり、看病していただいたりと、これまでお世話になりっぱなしである文芸部部長さんの――「あ、いたいた! 友達さん!」……おや?


 廊下を走ってくるのは菜月さんです。

「廊下を走ったらダメだと俺は思うんだ」

「そうですねぇ……でもとてもうれしそうですよ」

 なんとなく、こう……そう、パタパタ揺れる、わんこのしっぽが見えますね。


「あ、四葉さんこんにちわ。さっきはどうもです。さて友達さん。今暇ですか? 暇ならちょっとお話ししましょう!」

「……まずは落ち着いてください」

 ふふふ、どうやら菜月さんのテンションにタジタジ状態の――「ちょ、ちょっと待ってよぉー……!」……あら?

 尻尾を振りながら(私にはそう見えます)話しかける菜月さんの後ろを、てててっと早歩きしてくるのは、瀬戸せと結衣ゆいさんですね。

 瀬戸さんは菜月さんと大の仲良しさんです。


 とても羨まし――いえ、違いますね。私にもお二方と同じくらい仲のいい八神先生がいらっしゃるので、羨ましくはないです。


 話がそれましたね。


「菜月ちゃん……早いよぉ……それに廊下を走っちゃ、め!」

「はーい。……あれ? 結衣ちゃんはなんでついてきたんだっけ? 私と友達さんのお話に参加したいんだっけ」

「違うよ!? そもそも部長に用があったのは私だよ! 部活の件で話があるから、探すの手伝ってって言ったの忘れたの?」

「忘れてた!」

「ひどい!」


 どうやら元々の用事は瀬戸さんみたいですね。

 ふふ、菜月さんが「冗談だよー」と笑いながら言っています。

 それに対して瀬戸さんもあまり怒った様子を見せずに笑っています。

 微笑ましいです。

「…………いったいどういう心境で、そんな慈愛に満ちた表情を二人に向けてるんでしょう」

「あら? 私はいつも、どなたに対しても慈愛の心を持ち合わせていますよ? もちろん、貴方にも……」

 私はニッコリ笑みを向けてみます。


 ふふふ、彼の苦笑いのツッコミが目に浮かびます。


「……っ……そのようですね」

 ツッコミはないのですか……。

 ? どうして顔を背けるのでしょう?


 そのことを尋ねる前に、二人に連行されていってしまったので、真相は闇の中なのです。


 しかし、今日はとてもよくお友達と会います。

 お友達デーですね。

 つまり今日はとてもいい日です。

 この勢いで授業もがんばりますよー!









「…………で? そこからどうして保健室(ここ)に舞い戻る結果に?」

「少々長くなりますが、よろしいですか?」

「……許可する」


「そのまま他のお友達を探して歩いているうちに体力が尽き、軽くふらついて、倒れてしまいました」


「とても長く丁寧な説明ありがとう。………………とりあえず寝てろ」

「そうですねー…………」


 その言葉を聞いたせいでしょうか、すぐに眠気が襲ってまいりました……。










 ふと目が覚めたときには、すでに六時限目が始まったでした。

「…………あぁ、また授業に出られませんでした……」


 私は本当に体が弱すぎます。

 色々な人に迷惑や心配をおかけして……。



「――…………空気の綺麗な所で療養すれば、私はもっと……普通になれるのでしょうかね」



「かもしれないけど、さ」

「ぇ!?」

 驚きました。

 独り言のつもりだったのですけど、聞かれていたようです。


 それも、八神先生ではありませんでした。


「え、いつからいらしたのですか? 私の三番目のお友達にして初めて出来た男子のお友達、そして文芸部の部長であらせられる「長い長い! 何故寝起きでそんなにボケるんだ……」……ふふ、ごめんなさいー」


「まったく……。五時限目の終わりに、例の如く保健室の先生に拉致られたよ。……バカップルが気になってるのに」


 後半はよく聞こえませんでしたが、やはりご迷惑をかけているみたいです……。


「すみません……」

「え? ああ、いや別にいいんだけどさ。どうせあいつらも放課後まで動きないだろうし。……後、六時限目英語だったし、むしろちょっとラッキー」


 からかうように笑顔で言われ、自然と私も笑顔になります。


「あ、駄目ですよそんなお考えは」

「すまみせん。…………で、さっきの話だけど」


 う、その呟きを聞かれているのでした。

 どうしましょう。


「あ……その……」

「…………その前に、一つ相談に乗ってくれない?」


「え?」

「俺の友達が一人、悩んでるみたいだからさ。俺もその悩みを何とかしてやりたいと思って」


 話を逸らしてくれた……んでしょうか……?


「え、と……私でよろしければ」

「ありがと。……俺の友達の一人に、転校の話が来てるんだ」

「え?」


 転……校?


「その友達は昔から体が弱くて、授業もあんまり出れてなくて、学校生活のほとんどを保健室か自宅で過ごしてる奴なんだけど、その友達の親御さんが体の事を考えて、環境のいいところに転校させようとしたみたいなんだ」


「……ど、どうしてその話を…………」

「うん? 何が? これは、俺の友達の話だって」

「あ、う……」


「話をつづけるな? もちろんその友達も体を良くしたいとは考えているけど……それ以上に今の学校を離れたくないみたいなんだよね」


「っ!! …………」


「それはそうだよな。今まで学校にさえ来ることが難しかったって言ってるのに、その学校に入ってから、どんどん友達が出来るんだから」


「ぅぅ………………」


「俺からすると、だったらそう言えばいいのに、って思うんだけどさ。だって、別にこっちにいたら治らないと医者に言われたわけじゃないんだし。……ただその友達は…………優しい奴で、自分が寝込んだり休んだり倒れたりすると、周りに心配させて、迷惑をかける……なんてことを考えてるっぽいんだよなー」


「で、でも!!」

「ん?」


「そう考えるのは当たり前の事ではないのですか!? 実際に迷惑も心配もかけているのですから!」


「んー、多分本人からしたらそう思ってしまうのかもな。……でも、こっちからしたら迷惑だなんて思ってないんだよ。誰一人」

「そんなの……わからないじゃないですか」


「わかるよ。だってその友達は心配かけてる自覚もあるんだよ?」

「え?」


「わかんないかな。心配するのはさ……大切だからなんだけど」

「大、切?」

「どうでもいい奴なんて……迷惑だと思ってるやつの事なんて誰も心配しないって。その友達が大切な友達だから、心配する。当たり前だろ?」


「………………」


「……さて、少し話ずれたから、戻すな? もちろん俺としても、その友達が本気で空気の綺麗な所で療養したいって考えてるなら、笑顔で送り出すが、その友達が俺たちと離れたくない……って考えてるんだとしたら、無理していくことはないって思ってるんだけど…………四葉さんは、どう思う?」


「私は…………」


 私は、どう……したいのでしょう……。

 確かにこの体が良くなるなら……。



『……ただまあ……体もそうだが……自分の心を大事にしろよ……』



「あ……」

 八神先生は、このことを仰っていたのでしょうか……。


 そんなことを考えていると、ノックの音が聞こえました。

 今は八神先生もいらっしゃらないのですが……。


「失礼します……!」


 入ってきたのはなんと、緋山さんでした。


 緋山さんの登場に驚いていたのは私だけで、二人はそのままお話を始めてしまいました。


「おお、やっぱり来たか」

「当たり前だろ。授業中に八神先生が来て何かと思ったら、四葉さんが倒れたって言われたんだから」


 緋山さんの言葉に私はまたも驚かされました。

「え!? どうして」

 八神先生が……?


「俺が頼んだんだよ、四葉さん」

「え?」


「八神先生が俺に看病を任せたときに、ついでに頼んだんだ、四葉さんが倒れたことを伝えてくれって。……すまんが、ほんの少しだけ大げさに頼んだが」

「…………やっぱり大げさだったか……よかった」


「えっと、どうしてそんなことを…………」


「さて、どうしてだろうな? まあ、それはそれとして、この後も続々お見舞いが来ると思うぞ? 四葉さんを大切に思ってる友達が」



「あ…………」


 もしかして、先程の……。


「この後は、四葉さんが決断しなよー。四葉さんを大切に思ってる友達と話した後にな……?」

 そう、くつくつと笑いながら言われてしまいました。


 ずるいですね……そんなの答えを誘導してるのと同じではないですか。


 私の顔を見て、また笑い出す「なんか俺の分からない話してるみたいだけどさ」さん……おや?

「いかがされましたか? 緋山さん」


「いや、四葉さんじゃなくて。とりあえず俺代わるから、お前授業に戻れよ」

「え!? なんで!?」


「なんでって、そういう条件で授業抜けてきたんだ。一度に何人も授業抜けるわけにはいかないから」

「えぇー……」


 どうやら私の看病? お見舞い? のために、授業を抜けてくるために先生の方と相談されたようです。

 ……何人もと言うことは本当に色々な方が来てくださると……何でしょう……申し訳ないと思うのは変わらないですが、先程までの気持ちと違ってすごく……嬉しいです。


「えー、じゃない。そもそもその条件だって俺らの成績がそこそこいいから通ったんだから」

「へいへい、じゃあ四葉さん。お大事に……それと、少しゆっくり考えるといい」


「…………本当にありがとうございました「いいからさっさと教室に行け」さん…………おや?」


 そのまま緋山さんに言われてすぐに出て行ってしまいました。


 出て行かれて、少々沈黙があり、私は緋山さんに向きなおりました。


「緋山さん……わざわざありがとうございます」

「いいって。それにさっきも言ったけど、俺だけじゃないよ。この後代わる代わるお見舞いが来るからさ」

 そう微笑みながらいう緋山さん。

 本当に皆さんいらっしゃるのですね…………皆さん成績がいいのですねー。


「あ、それより大げさに伝わってしまったようで、申し訳ありませんでした」

「んーん、いいんだって。まあ確かに皆心配してたけど、とりあえず安心した。てか悪いのあいつだし」

 その言葉に二人で少し笑い合いました。


 何でしょう…………一人でいるときより調子がいい気がします


 緋山さんを見ているうちに、ふと一つ思い出しました。

「あ、それと、お誕生日おめでとうございますー」

「え、あ、うん。ありがと」


「これから星海さんとデートとかですね? 羨ましいです。星海さんもお付き合いしてから一カ月もたってないですから、彼氏さんの誕生日を知った時は焦ったでしょうねー?」



「はは、そうかもね。俺の誕生日を……知った……時……?」

「え?」


「…………………………」


 緋山さんが突然顔面蒼白で固まってしまいました。


 ……良くわからないので、少しそっとしておきましょう。





 その後も色々な方がお見舞に来てくださいました。


 いらっしゃらない方は、どうやら成績が足りなかったようです……。










 朝です。

 晴れです。

 絶好の学校日和です。

 今日もまた、昨日同様お外でお昼ご飯を食べるのもいいかもしれないですねー。


 おや、申し訳ございません。

 二日続けて名乗るのを忘れていたようです。

 私の名前は四葉よつば阿澄あすみと申します。

 ぴっちぴちの高校二年生でございます。

 実はこの辺りでは有名な名家なのですよ?



「お前の一人語りはもういい!」

「さすがは相棒さんです。やはり以心伝心ですねー」


「……本当に表情で読み取れるようになっている自分が憎い」


 そう言いながら項垂れる八神先生に少し笑っていると、真剣な眼差しで向きなおしてきました。

 真面目なお話ですね。


「……で、決めたのか?」

「…………はい。私はこちらで体を良くする方法を探します。……お友達と離れたくないですから」


「いいのか? お前の体の事だぞ。大方昨日の一件で決めたんだろうが……それで後悔しないんだな?」

「はい。これが……私の心を大事にした答えです」


「……そうか。……まあ、いい友人を持ってよかったな」

「! はい、最高のお友達です。………………残る問題は母をどう説得するか、ですね」


 両親ともに私に対して過保護なのですが、方向性が違うのです。

 父は大切にし過ぎて甘やかし、母は大切にし過ぎて大げさに守ろうとする。


 父の説得は簡単ですが、母は一度決めたらなかなか意見を替えないのですよねー。


「…………ならば私もその説得についていこうか」

「え!? …………よろしいのですか……?」


「……まあ、教師の意見も必要だろ。それが保険医ならなおさらだ」

「それは、そうなのですけど……八神先生からおっしゃってくださるとは」


 私がそう言うと、八神先生は眉間にしわを寄せ、何故か言いづらそうに頭を掻き毟りました。

 どうなさったのでしょう?


「八神先生……?」

「あー……さっき自分で言ってたろうに……」


「え?」





「お前と私は……相棒なんだろう?」




「!! 八神先生……!」


 まさか……八神先生のお口からその言葉が聞けるなんて……!


「はい! 一緒に頑張りましょう!!」

「…………私は説明するだけだ。基本はお前だけがんばれ」


 ふふ、口ではそう言っても、いざ母を目の前にすれば、親身になって手伝ってくださるに違いありません!


 何だかんだでお優しい先生ですので。






「ふふふ、それよりも先ほどの言葉! もう一回八神先生の口から聞かせていただきませんか!?」

「やだよ、二度と言わん」


「そこを何とか!」

「やだって言って……つかお前今日元気だな!?」









 ゲーム『キミだケに』における『四葉阿澄』の好感度を上げる選択肢は『相手を気遣うものを選ぶのが無難だが、時折天然なことを言い出すので、ツッコミの選択や世間とずれていることを諌める選択も必要』であり、ストーリーは『保健室登校の多い彼女と友人として仲良くなり始めるが、母親が主人公と友人であることに反対し、主人公がそれに負けず、彼女との仲を深めていく』である。



 そして、ゲーム『キメラレナイノおんりーわん』における、隠しキャラ『八神琢磨』の出現方法は『ゲーム開始から十日間、全ての時間と日数を、保健室に行くことを選択する』であり、ストーリーは『よく保健室を利用する主人公と他愛ない話をしながら、過ごしていくうちに、互いに好意が芽生えていくストーリー』である。






 ――二つのゲームのキャラが生きる世界で、今の二人の関係は…………?


書いてる途中に、自分でも何書いてるかよくわかんなくなった所があったんですが、大丈夫でしたかね……?


感想、お待ちしております!