12月20日:天よ墜ちよ、地よ割れよ。決戦の先触れは蒼く
やること多すぎ+単純にド難産+後半まるっと書き直し=更新間隔
◇
「……勝ったな、風呂入ってくる」
果たしてその言葉がフラグとなったのか。あるいは単に間が悪かっただけか。
しかし事実として、ぱやぶさがぼそりと呟いた瞬間……玉座の間が
「ちょ……はぁあ!?」
爆発音と、不吉な揺れの直後に天井を突き破って降り注ぐ瓦礫の雨。
割れ、砕けた天井が追加の瓦礫となり、殺意ある質量が玉座の間にいる全てに襲いかかる。
「やったぜ同志!!」
「たまんねぇなぁ! 一応人間サイドの最重要ランドマークだぜここ!!」
「本気でアルブレヒトキルする気じゃーん!」
降り注ぐ瓦礫の豪雨、王を守るべく振り返ったアルブレヒトの手足にかろうじて生き残った同じ顔をした襲撃者達がまとわりつく。その光景は正気度を削らんばかりの不気味さであり、いっそ死した亡者が縋り付く方がまだそういうものと納得できる。
だが、アルブレヒトは揺るがない。
だが、時間にして数秒にも満たないその停滞は、致命的な破局の到来には十分すぎる猶予で。
荘厳なる玉座の間は瞬く間に瓦礫によって埋め尽くされ、砕かれていく。
視界の全てが物理的質量に埋もれゆく中で、玉座に向けて駆け出し───
……
…………
尖塔の爆破、それによる大質量を以て場所ごと全てを潰す。
突出した個人達を面で叩き潰す一手によって、エインヴルス王城の玉座の間は文字通り崩壊した。
ガラガラと未だ瓦礫の流れる中で……淡い光が瓦礫を押し除け現れる。
「くっ………おおお………!!」
それは水晶より放たれた守護の輝き。掲げられし騎士の盾は、瓦礫の滝を受け止めなお陰りなし。
だが、王盾クリスタル・パラディンの力はあくまでも「絶対不通の力場を作る」のみ。大質量を受け止め、潰されなかった膂力は盾の使い手……すなわちアルブレヒト自身の身体能力によるもの。
『アルブレヒトッ!』
「陛下はっ!」
無傷ではない、しかしダメージはアルブレヒトの武威を損なうものでもない。端的な声音のみでそれを伝えたアルブレヒトが鋭い眼差しで瓦礫の山を見回し……見つけた。
「キェェェェェェェェェ!!」
「薄皮一枚じゃねーか! 袋叩きだオラァ!」
「ちょっ、ヤバいって!全員配信に出せない言動だってヤバいヤバいヤバい! あーやめて! せめて不適切言語はやめてーっ!」
新王アレックスと、その側に控えていた開拓者。恐らくその開拓者が展開し、瓦礫より王を守り抜いたのであろう障壁に群がる暗殺者達。
「っ!」
判じ、断ずるまでに迷いなく。
御身の無事、敵の襲撃、自身の状態。その三つさえ知れたならばあとは動くのみ。
瓦礫を踏み抜かんばかりの一歩を踏み出したアルブレヒトは──────
「ちょっと失礼、騎士サマ?」
天より縦一閃に振り下ろされた「刃」をすんでのところで回避した。
「何者ッ!」
「
軽く振った頭の動きに、長く艶やかな髪が後を追う。崩落によって天井の消えたこの場所で上から奇襲を仕掛けたということは即ち、その女が天から落ちてきたという事実。
「おお同志!」
「同志がついに前線に!!」
「こりゃあ爆発オチかぁ!?」
「それは君らの頑張り次第だよー、ほら配信者一匹くらい早く片しちゃいなよ」
姿かたち以外似せる気の無い
腕のいい鍛冶師が仕立てたのであろう軽装の防具は、どこぞの組織などに属するそれではなく……即ち開拓者特有の
顔には鼻から上を覆う
だが、アルブレヒトの卓越した戦士としての
「貴公が襲撃の首謀者か?」
「いかにもいかにも。サードレマ大公、そして前王トルヴァンテの威光の元に”悪”なる簒奪者より王権を取り戻しに参りました…………なーんて、いい感じにキマったかな?」
襲撃者は名乗らず、獲物を軽く振る。その刃にこびりついた僅かな砂塵が振り払われ、未だ煙る虚空をゆるやかに裂く。
「…………………」
その刃は、片手で振るにはいささか長すぎるはず。
だがその女の肘から先をすっぽりと覆う
「敗軍の将になる覚悟は出来たかな
蒼く、そして淡く光る”刀”を軽々と振り回しながら、襲撃者は前王陣営最大の
どうして「そうだ、刀使わせよう」なんて思いついたんですか???(整合性を合わせるために頭を必死に捻る今の硬梨菜から過去の硬梨菜へのメッセージ)