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この幕間はあくまでも作中の物語であり現実とは一切関係がない、いいね?

インベントリアに投稿しようかなー、と思ったんですが書いてるうちに「これ普通に本編に出さないとダメな情報しか出てないのでは?」ということでこっちに投稿です。


これはあくまでも情報提示であって現実の出来事とは一切関係がない、いいね?

「サンラクサン、サンラクサン。最近お元気ですわ?」


「ん?」


来たる対人無限(有限)組手に備え、最近妙に武器製作へのモチベーションが高いビィラックのところに寄った帰り道。どうも大親分(ヴァッシュ)から自宅待機(おるすばん)を言い渡されているらしいエムルと遭遇した。

なんだか妙に久しぶりな気分だ、期間的には別に長い間顔を合わせていないわけじゃないし、なんなら下手すると他のクランメンバーより顔を合わせてる回数は多いんだが………色々準備をするために方々を駆けずり回っているからか? あるいは物事というものは本番までの準備期間(・・・・・・・・・)こそが最も長く感じるからだろうか……


「元気も何も見て分かるだろ、超・元気だぜ? つーか最近も何も昨日も顔合わせたろ……」


「そうだったですわ!」


ハッとした様子のエムルと並んで歩きながら、ピーツの露店へと向かう。彼とは良い取引をしているからな……ご愛顧、というのは過去だけではなく現在、そして未来もお前のところを使うぞ、という意味なのだから換金頼むぜピーツ君………


どこかで「いややーーーーーっ!」という嘆きが聞こえた気がするが、どうもピーツのやつは弟属性故にこの兎御殿でちょくちょく見かけるAtoZヴォーパルバニーのA~Oの兎に頭が上がらない様子なのできっと俺の来訪を予知して悲鳴を上げたわけではないのだろう。


「おとーちゃ……カシラにダメって言われてなければサンラクサンと一緒にまだ見ぬ敵をバッタバッタと倒しての大冒険が出来るのに………無念ですわぁ………」


およよ、と鳴き真似をするエムルに俺は前々から気になっていた質問をぶつける事にした。


「そもそもなんで兄貴は出禁命令なんて出したんだ? あー、確かエムルって「旅をして色々なものを見聞きする」ってのが仕事みたいなモンなんだろ?」


エムルのサブジョブは確か「ヴォーパルバニー・トラベラー」なるもので、一度なにそれと聞いてみたところ俺が今言った使命があるとかなんとか言っていた記憶がある。

仕事してないで何してるんだ? と言外にスライダー軌道でぶん投げた質問にエムルはむむむ、と悩むそぶりを見せる。


「ほ、本当は言っちゃダメ―、っておとー、カシラに言われてるですわ。でもサンラクサンほどのヴォーパル魂の持ち主なら言っても許してくれると思うですわ……」


「ほうほう」


これもしかしてヴォーパル魂のパラメータが高いから条件満たして聞けるようになるタイプの話か?


「…………実はですわ」


「実はですわ?」


こういう時って大体何かしらの横やりが入って聞けないんだよなぁ、とふとお約束(・・・)な展開に備えていたのだがそんなことはなく、あっさりとエムルはその「秘密」を明かした。


「アタシ達ヴォーパルバニーは………「(おー)いなる()」と戦う、ってずっとずっと昔から決まってたんですわ」


「大いなる()?」


なんか思ったより重要(デカ)い情報出てきたな?


「アタシ達だけじゃないですわ………アタシ達よりもずっともっと昔のおにーちゃんおねーちゃんじゃない(・・・・)おにーちゃんおねーちゃん達も、おとーちゃんと一緒にそれに備えてきたんですわ」


兄姉(きょうだい)じゃない兄姉(きょうだい)……?」


何か言い間違えたわけではないだろう。その眼差しは今まで見たことも無いくらい真剣な光を宿しているし、どこかエムルではなくエムルを通して誰かが説明しているような印象すら受ける。


「おとーちゃんは「もうすぐ来る」って言ってたですわ。だからアタシ達も準備しないとダメなんですわ」


そこで気づいた、これはもう単なる会話ではないのだと。

これはレイドモンスターの話でもなければ来たるクリスマスのゴルドゥニーネの話でもない………ヴァイスアッシュ本来の、そして未だ公にはなっていない隠されし最後のユニークモンスター「不滅のヴァイスアッシュ」のユニークシナリオEX「致命兎叙事詩エピック・オブ・ヴォーパルバニー」が進行しているんだ。


「じゃあお前の兄弟全員ラビッツにいるのか? にしちゃあ新顔は見かけないが……」


「うぅ……アタシみたいなのはお留守番ですわ。イ―ヴェルおにーちゃんやシークルゥおにーちゃんはまだお外に出ていてもいいんですわ……」


脳裏に秋津茜と一緒にいる侍兎と、なんか(みょ~)に気に食わねぇヤンキー兎の姿が思い浮かぶ。今のエムルの口ぶり的に外に出ていい奴と出禁の奴がいるようだ。確かシークルゥもサブジョブトラベラーだったはずだし、あのヤンキー兎もトラベラーなのだろうか。


「エードワードおにーちゃんも、ビィラックおねーちゃんも、シークルゥおにーちゃんも、ディアレおねーちゃんも………エルクおねーちゃんも、みんな「お役目」があるから忙しそうですわ。でもアタシはお手伝いくらいしかやることが無いんですわ…………」


しょぼ……と落ち込むエムルを眺めながら考える。分からないことだらけではあるが、少なくとも確信と理解を得たことがある。


「ま、ここでパシリやってようが暇してようが少なくともお前にはこれから先、とんでもねぇ役目が待ってるんだぜ?」


「ふえ?」


俺は歩くのをやめて立ち止まり、エムルの方を向く。


「これから先、何が来るかは知らねぇが………ラビッツ総出の大決戦があるなら当然俺も名誉国民としてそこに飛び入り参加するわけだ。そしてその時俺は後詰めで大人しくしてるつもりはねー訳で………分かるかエムル、そん時俺のオプションパ………ごほん、お供としてお前も最前線で大暴れするんだぜ?」


「…………!!」


「今は待機だとしても、だ」


こういう時はちょっと気取ったくらいが丁度いい。シャンフロでのロールプレイってのは恥じらいを捨てなきゃ満点が取れないシステムだからな。


「お前の役目はきっと来る、そん時に「準備不足でしたですわ~およよ~(裏声)」なんて泣き言ほざいても無駄だぜ? 最前線がどれだけ地獄でも俺が引きずり出すからな……!」


故に! と力強く俺は言葉を告げる。


「ちゃんと準備して、フルパワーを出せるようにしとけよ相棒(・・)! それがヴォーパル魂、だろ?」


「……わ、分かったですわーっ! サンラクサン、アタシ頑張るですわっ!!」


ぴょんこぴょんこ、と大跳躍を繰り返しながら跳ねるエムルの様子に、ロールプレイのクリティカルヒットを確信しつつ、俺はくるりと振り返る。何故なら立ち止まったこの場所こそが、俺のゴール地点なのだから………


「さぁてピーツ君………」


「か、堪忍や………い、今懐がちょーっと厳しくてな………」


「知ってるんだぜ……エルクおねえちゃんに頼むとお金貸してくれるんだってなァ………!」


「殺生やーっ! なぁーんで銭ゲバ同士で結託しとるんやーっ! ッうひゃあ?!」


特技選定所の方から冷たい電撃の如き寒気を齎す何かが飛んで来たのか、ピーツが突然ぶるりと震える。


「それじゃあとりあえず手始めにいつもの蠍素材から売却だァーーーーーっ!!」


「ほぎゃーーーーーっ!!」


どじゃらどじゃらとインベントリアから素材をぶちまけながら考える。脳裏に浮かぶはエムルの言葉………







──────「大いなる”(かたき)”」ってのは一体どういう事なんだか。

タイトルと前書きについてはとりあえず忘れてもろて……

内田雄馬さん日高里菜さん、ご結婚おめでとうございます!!


多分シャンフロ婚じゃなくてりゅうおう婚な気はしますが、なにはともあれリアルタイムでお二人を共演させているので祝う資格はあるはずです。この手の共演同士でのご結婚、というと自分の世代は種死or空の境界の方々を想起するのですが、まさか拙作でそれが起きるとは…………

一応言っておくと、サンラクとエムルの声優は完全にオーディションで硬梨菜、不二先生、編集サイド、アニメサイドで推しを掲げての殴り合いを経た結果決まったので完全に偶然です。不二先生が繰り出す黄金の右はめちゃくちゃ高威力でした、T2ジョーカーメモリで変身したライダーの必殺パンチくらい威力ありました。

寝起きに編集I氏から知らせを受けた時は寝耳にハイドロポンプ過ぎて明晰夢の線を疑ったのですがまごう事なき事実だったので緊急でこれを書いたため、またシャンフロクリスマスは遠ざかったわけですね……


一度顔合わせした程度で完全に無関係の赤の他人ではありますが、ささやかながら祝わせていただきます………改めて、ご結婚おめでとうございます! 末永くお幸せに!!




思えば和氣あず未さんもシャンフロに関わっていただいて以降にご結婚されてましたね………シャンフロ、恋愛パワーがあるスポットだった………? あるいはヒロインちゃんの身体から抜けた恋愛力が他者に還元されている……??

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