12月20日:拳で騙る、盾が語る
AC6楽しすぎる、バズーカ!バズーカ!バズーカ!!
あとクリアしました
◆
ガル之瀬。今のところ分かっているのは武器防具、そしてパリィの腕前が
とはいえ、だ。全ステータスカンスト、全スキル全魔法使用可能、最強装備! みたいなオフゲーの最終装備ってわけじゃあないだろう。
どこかを伸ばせばどこかが凹む、そういうゲームだぜシャンフロは。
だから、俺がなすべきはガル之瀬の凹み……奴が不得手とする「弱点」を見つけ出すことだ。
「…………」
仮にあのタワーシールドが完全にブラフだったとしても、手持ちの銃じゃ貫けそうにはないな。第一、明らかにリソース込めてますといった感じの盾にあの立ち振る舞い……パリィ「も」出来ると考えて間違いないだろう。
そうなるとあのタワーシールドと、その陰から繰り出されるパリィにどう対処するか、だ………てかそもそも肘でパリィってできるもんなのか? いや、頭で出来るのは自分で実証済みだったな……
下手に武器で殴りかかって弾かれたらたまったものじゃない。ここは……
「
いざ前進。
武器を使わないのは様子見の面もあるが……何より、
そも、「
通すにしてもキッカケがいる、元手がいる。正面から割るのは……理論上は可能かもしれないが、理論値だ。ガル之瀬相手に大盾を突破することに専念するのがリスキーなことくらいは分かる。
一気に肉薄しつつ、しかし距離は体一つ分離す。そう、丁度ガル之瀬は手持ちの斧でしか俺に干渉できない距離……!!
「っ!!」
毎秒事に駆け引きなんて現実的じゃあない。程よく雑に、程よく繊細にが強いプレイヤーの最低条件だ。上手いタイミングで雑にぶっぱされる強い手札こそがこの世で最も恐ろしい。
インファイト、引くことのワンステップ! ここを基準にする。そしてここからが実証の時間だ。
ワンステップ、拳の届く圏内に踏み込んだ俺は身を深く沈める。
対するガル之瀬はタワーシールドを構え、こちらの攻勢を正面から塞ぐ狙いのようだ。奴の身の大半を隠すタワーシールド……だが視線だけは通っている、自分の盾で相手を見失うようなヘマはしないと。上等!!
「っ!!」
身を深く屈め、アッパーカット……と思わせて、右にステップを入れる。この時にスキルエフェクトをわざとらしく見せつければ───!
「く……!」
「ブラフだぜ」
「!?」
偽装
ギャギギッ!! と金属音を立てて、ガル之瀬の肩に拳が当たる。すかさずバックステップを入れつつ見れば、ヒットポイントには四本の
大振りながらも、隙のない……否、隙を潰したハンドアックスによる横薙ぎを避けつつ今の一打の結果を考える。
今の攻撃……パリィされなかった。肩では出来ないのか、あるいは出来なかったのか。考えてみれば俺がウェザエモン戦でやった頭パリィも装備ありきのものだった。となればガル之瀬の肘パリィも防具……あるいは何かしらのスキルやアクセサリーによる外部補強によるものなんじゃないか?
「………妙な話だ」
「ん?」
「握り拳で切り傷が出来る……グーがチョキの役目も担うのは反則じゃないか? 先ほどもそうだ、
「どう思う?」
大体当たりだ。
両手に装備されたアクセサリー……
その効果は至ってシンプル。「素手の攻撃全てに斬撃判定を付与する」というものだ。つまり俺のチョキは本当に紙が切れるし、ビンタで頬が裂ける。
ただ、あくまでも付与されるのはあくまでも斬撃判定だけ。手の材質……耐久やダメージ倍率は素手殴り、素手受けと変わらない。
つまりさっき奴の斧を受け止めた「手刀」は───
◇
───先ほど、自分のハンドアックスを受け止めた「手刀」は、何かしらのスキルと見て間違いない。ガル之瀬はそう結論づけた。
(あれがアクセサリーの力だけで使えるなら今使わなかった理由がない。少なくとも常時付与される強化タイプではなく、一定時間の攻撃……いや、ワンアクション付与型のスキルと見ていいはず)
ガル之瀬の脳裏に過ぎるは、暗殺者ロールプレイの対戦者を追い詰めた黄金のラリアット。シャンフロは様々なスキルエフェクトが存在するが、黄色でも橙色でもなく「黄金」の輝きがラリアットと手刀で一致していた事を既に見抜いていた。
(ジャブであることを踏まえてもダメージは無視していいレベル、火力方面は外付け依存ってのは間違いないらしい……だが、攻めに転じるのは悪手だな)
シャングリラ・フロンティアに一体幾つのスキルがあり、魔法があるのか。それはあのライブラリをして「無理」と白旗を振る程度には膨大だ。
そも、小柄な少女が岩を砕く一撃を放ってもおかしくないのが「ゲーム」というものだ。であるならば、サンラクという
「それに、この距離は……俺の得意距離でもある」
インファイト、"足すことの"ワンステップ。
対策として一歩分離したサンラクとは違う、インファイトに一歩分の空白を足したこの距離こそが……ガル之瀬の最も得意とする距離なのだと、彼は口には出さない。
だが、
「ふんっ!!」
「ぐおっ!?」
二歩分を
百里を駆け抜ける神速は要らない。一歩で二歩分を突き進む、それだけあれば盾は全てを打ち砕く