時間効率が悪いとイライラするアレ
すごい今更ですが感想など貰えますと作者が気持ち悪い笑顔を浮かべてモチベーションが向上します
・石ころ
何の変哲もない石の礫。
鉱石としての価値は皆無であるが、礫玉としての利用価値はある。
・灰色鉄鉱
灰色の鉄鉱石。
特殊な効果こそないものの様々な用途に加工することができる。
磨いても光沢を放たないため装飾品としては下の下。
・銀色鉄鉱
銀色の鉄鉱石。
これを用いた装備は「魔力強靭」の効果を持つ。
銀だけど鉄。
・沼棺の化石
おそらく何かのモンスターの一部であろう化石。
四駆八駆の沼荒野に乱立する沼棺は遥かな太古に在った生物の記憶を内包していることがある。
掘り当てたそれがただ過去の残滓なのか、過去からの遺産なのかは運次第……
十分間作業的にツルハシを振り下ろし続けるのは中々にクソゲチック(クソゲー的であるという様)であったが、結果としては中々に上々と呼べるのではないだろうか。
特にポロっと一つだけドロップした泥棺の化石なるアイテムは激レアなオーラがプンプンする。
どうやら一定回数採掘しきると岩……沼柱?なるオブジェクトは崩れてそれ以上の採掘ができなくなってしまうようだ。最後の灰色鉄鉱をドロップしたところで沼柱は崩れてしまった。
「さてどうするか……」
まぁ一旦戻って武器を作ってもらうのが最善かな。とりあえず今回収したアイテムで何が作れるのかを調べておきたい。足りないようならもう一度ツルハシを担ぐ、足りたようなら作ってもらった武器でレベリングしてからツルハシを担ぐ。
まだこのエリアには大量の沼柱があるのだ、とりあえず片っ端から掘ってアイテム検証だ。
いやしかし、ウチの高校が他と比べても早いタイミングで夏休みに突入したのは本当に助かった。なにせ夏休みシーズンと言えば大体の業界で稼ぎ時だ。当然現在進行形で神ゲーまっしぐらなシャンフロが夏休みシーズンに売り上げ記録を更新するのは自明の理、きっとこれから先は最初の街は新規プレイヤーで埋まることになるだろう。
言い方は悪いが、新規プレイヤー達が一斉に冒険を始めようものなら、蝗の群れよろしくあらゆるエリア、アイテムが食い尽くされることになる。一応対策はされているらしいが、そこら中にプレイヤーがいる光景は中々に……うん、鬱陶しいだろう。
「おうい、鉱石集めてきたけどこれで何が作れる?」
「見せてみな……ほう、中々に集めてきたじゃねえか。これなら大体のものは作れると思うぜ」
沼柱一本掘り尽くせば武器は作れる、これなら余程のことがない限りは少数のプレイヤーが沼柱を掘り続ける必要性は薄いってことか。まぁ掘るがな。
「ふむふむ………」
新しく表示された武器の中で気になるのは二つ。
・湖沼の短剣
10,000マーニ
・凶暴の双鋸
16,000マーニ
「まぁ気になるだけで買うのは決まってるケド、湖沼の短剣を二つ作ってくれ」
跳梁跋扈の森で稼いだアイテム類を売り払い、金にはいくらか余裕がある。それにどちらにせよ沼柱は掘るしモンスターも狩るしでもう一方も買えばいいだろう。
「あいよ、ニイちゃん二刀流使いかい?」
「ん?まぁね。」
「二刀流用に同じ武器を二本作るのも久しぶりでなぁ!はっはっはっ!!」
へぇ、二刀流使いは少ないのかな?
とはいえ、材料と金を渡してはい完成、とはいかないようだ。
夜になったら来な!と言われたため、手持ち無沙汰となってしまった。
「どうすっかなー………」
まぁ、レベリングかな。
というわけで戻ってきました四駆八駆の沼荒野。夜までどうするか考えたが、結局レベリングすることにした。
金も稼がないといけないしとりあえずマッドフロッグ乱獲しよう、そうしよう。
と、ゲーム故かあからさまに「今から襲いますよ、備えて。」とでも言いたげな甲高い鳴き声が頭上から響く。
見上げれば、最初にここにきた時にちらと見かけた鳥……改めて見ると、ハゲタカ?みたいなモンスターがまさに俺に襲いかからんと降下してきていた。
「検証対象が自分から来てくれるとはありがたい」
俺の頭に鋭い爪による蹴りを食らわせようとしているハゲタカを一歩横にステップして避けつつ、ゴブリンの手斧をハゲタカの脚に叩きつけて見る。
「ギャエエ!!?」
「うげぇっ!一発破損!?」
一方は激痛に、一方は損害に悲鳴を上げる。消耗はしていたがまだ三分の二は耐久が残っていたんだが、まさか一撃破損とは。ゴブリンの手斧が通用しない頑丈なモンスターなのか、それともあの脚が特別頑丈なのか……まぁいい。
「おりゃあ!」
残ったもう片割れの手斧をハゲタカに投げつけ、新しい……と言ってもマッドフロッグを倒した時に消耗はしている手斧を二本持って、羽に投げた手斧が命中したことで動きの止まったハゲタカに肉薄する。
「頭!羽!胴体!もっかい脚ぃ!!」
く、結構殴ってるんだが一向に倒せん。ゴブリンの手斧はマッドフロッグが限界なのか?地面に落ちたハゲタカを石器で滅多打ちにする光景は中々シュールではあるが、大体四十秒ほどひたすら殴り続けてようやくハゲタカは羽を残してポリゴンに変換され爆ぜた。
「時間かかるなぁ………ていうか羽か。」
拾いつつ、調べてみる。
・
バンディットバルチャーの羽毛の一枚。
文字通りただの羽であり盗賊組合の証として用いられる以外に価値はない。
だが故にこそ、かつてはただ罪人としてしか扱われなかった者達の証なのだ。
「割りに合わねぇ!!」
労力の対価としては低すぎる価値に思わず悲鳴をあげてしまった。
実際のところ40秒間モンスターが怯み続けることは原則ありえません。
ただ、クリティカル攻撃には1秒程度のノックバック効果があるため、理論上は双剣や二刀流のような手数の多い武器でクリティカルを連発し続けることができれば、たいていの雑魚モンスターは完封することができます。悶えるモンスター相手に常に最適な角度で武器を振り下ろし続けられるのなら、の話ですが。
ちなみにある程度レベルの高いモンスターは特殊行動で強制的に怯み状態を解除します。