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夢にまで見た世界の現実

「貴方は死にました」

真っ白い部屋に白いワンピースの女性。

「貴方は死にました」

女性は目も開けずに繰り返す。


俺は狭いのか広いのかわからない空間で一人で立っていた。

見渡してもこの目の前の女性以外何も見当たらない。


「貴方は死にました」

女性からの何度目かの通告。

俺は死んだ?死んだつもりはないし、でもおれは...あれ?思い出せないぞ?俺は誰で何をしてたんだっけ?


「貴方は死にました」

らちが明かない。

「わかりました、わかりましたけど、死んだこと以外何もわからないんですけど?」

そう、死んだことはこの女性が教えてくれているそれ以外は何も思い出せない。

「大丈夫です。貴方は死にましたが今生の生命を全うしたに過ぎません。私は転生の神、貴方の次の生へと案内する者。」

転生の神、生まれ変わるってことでいいんだろうけど。

「貴方は大した功績もなく、決して善行を行っていたわけでもありません。しかし貴方はあまりにも寿命を残しました。」

「そんな貴方に次の生はせめて少しは満足のいく生を与えましょう。」

生は全うってのは精一杯生きたけどってことで、寿命を残したってことは予定より早く死んだってことだよな?

「ちなみに俺は、何年の寿命を残してたんですか?」

「70年」

「はい?」

「70年ありました。」

そんなにもか?さぞ俺は無念の死だったろう。

「まぁ、次はその年数に応じただけ満足のいく人生をプレゼントしてくれるってことですよね?」

「いいえ、満足のいく可能性を与えるだけです。可能性をどうするかは貴方次第となります。」

可能性か、どのみちどう生きていくかは自分で決めていけと

「きちんと貴方の生前の望みに添えるように転生をしますので安心してください。」

「生前の望みですか?ちなみにそれはどんな望みですか?」

「それは言えません。それは誓約に違反しますので。貴方の死の間際に聞いた望みを叶えるための誓約です。」

んー今の俺は転生するための存在で生前の俺の影響はあまり受けていないってことか。

「わかりました。じゃあ転生した先はちゃんと俺の望む世界で俺の望む物はてに入る可能性を含んでいるんですね?」

「はい。それは保証します。」


「ではそろそろ新しい生へと向かいましょう。次の生では貴方が道半ばで倒れて仕舞わぬよう祝福を授けましょう。」

そういうやいなや、俺の体を白い光が包み込む。

そして消える。


「あぁ、バカな子、もっと平穏ど幸せな人生を選べたでしょうに。なぜあのような望みを」

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